一級建築士である私が設計した物件をはじめ、インテリアや家づくりについて情報発信しています。
また、築52年の中古住宅を購入しリノベした記録、日々の暮らしについても書いています。
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「無垢材はメンテナンスが大変ですよ~」
と、ハウスメーカーの営業からこのように言われたことがある方も多いはず。
これ、正解のようで正解じゃない。
むしろ間違っています。
まずはこちらを見てください。
岐阜で素晴らしい住宅を建てている工務店様よりお借りした画像です。
このお宅の外壁はシングルパネルといって、素材は無垢材(レッドシダー)なのですが築年数を聞いてビックリ。
なんと築35年。
しかも外壁は無塗装でノーメンテナンスと聞いてさらに驚愕。
(南面の一部分だけ数年前に張り替えたとのこと)
私もお客さんに板張りの外壁を勧めてきましたが、これを見てさらに自信になりました。
このなんとも言えない渋いカッコよさ。
これぞ板張り外壁の醍醐味です。
年数が経つにつれて、カッコよくなる外壁なんてまず他にないですからね。
こちらは築15年くらい。
うちでもよくやるベベルサイデイング(鎧張り)ですが、全く傷んでる様子も見えません。
実際に現地で確認した方も、全く問題なかった仰ってます。
これからもっとシルバーグレーになっていき、味わい深い家になるのでしょう。
2階部分は吹付でしょうか?
窓からの雨染みがちょっと気になりますね…
ちなみに窯業系サイディングは、一般的に10数年ごとにメンテが必要になります。(上位グレードはもう少し長持ちするのかな?)
もちろん初期コストは板張り外壁のほうが高いのですが、このメンテナンス費用も考慮したら…どちらがお得でしょうか。
ではなぜハウスメーカーは「無垢材はメンテナンスが大変」と言って、勧めないのか。
それはこの画像に答えがあります。
こちらもシングルパネルの外壁ですが、経年変化の過程でこのようにまばらな黒ずみになることがあります。
日当たりや雨の影響によるもので、あくまでも見た目だけの問題で外壁材としての性能が低下しているわけではありません。
このような状態になることは、事前にお客さんに説明はするのですが中には「こんな風になるとは思わなかった」と、クレームの対象になることがあります。
このようなクレーム対応を嫌うハウスメーカーが、「メンテナンスが大変ですよ」という便利な言葉を使って、お客さんを洗脳するわけです。(洗脳は言い過ぎ。笑)
こちらのレッドシダーのウッドデッキは15年目だそうです。
一般的に寿命が10年程度と言わるウッドデッキですが、朽ちてる様子は全く見られません。
もちろん樹種、施工方法や環境条件でこの寿命は大きく変わります。
勉強になる画像をたくさんお借りしました、ありがとうございました。
今までたくさん建てさせてもらった、板張りの家。
これからどのように年を取っていくのか楽しみですね。
そうそう、
外壁の板張りだけではなく、屋内の板張りについても話さなければいけません。
ビニールクロスの壁紙が裂けたり、継ぎ目が離れたりしてませんか?
(木造住宅では仕方のないことですが…)
板張りの壁ではまずそれらの心配はありません。
しかしクロスにはクロスの良さもあります。
我が家も部分的にクロスは使ってますし、それぞれのメリットデメリットを理解して使いわけることが大切です。
そして全ての無垢建材がノーメンテというわけにはいかないのもまた事実。
例えば建具は反ったりしますし、床材は傷が付きやすかったりもします。
でもメンテナンスって案外楽しいもんですよ?
自分の家に対する愛着も湧いてきます。
「無垢材はメンテナンスが大変」
大変かどうかは、ハウスメーカーの営業が決めることじゃないんです。
そこに暮らす人が決めるのです。
営業はそのために無垢材に対する正しい知識を持って、しっかりとお客さんに説明をするべきですね。
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