エントランスの前は小さな庭になっていて、池もある。
が、狭い車寄せの前の門扉の向こうは、生活感に満ちた路上だ。
目の前にはロシア正教と思われる教会が、民家と商店にきつく挟まれていた。
ブランドショップやデパートが立ち並ぶワイ海中路を少し入ったところにあり、
地下鉄の駅にも近い。
少し歩けば、日本人客の多い「オークラ・ガーデン・ホテル」がある。
コンビニと有名チェーンのマッサージ店が至近だったこと以外は、
今の私にはごちゃっとしすぎたエリアだった。
中国がごちゃっとしているのには慣れている。
ごちゃっと、が醸す生活感は嫌いではない。
しかし、このエリアは通りも人も少々いらだっているように感じた。
自然と歩く速度が上がり、のんびり散策とはいかなかった。
ホテルの部屋から見えた、隣接する長屋の窓には、
見えるだろうか、魚が干してあった。
ゴージャスなカーテンに囲まれたガラス越しの景色に、
少し和んだ。