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The U.S. Patent Practice

米国での特許実務に役立つ情報を発信しています。

3月にLashify v. ITCの事件について本ブログで取り上げましたが、その決定について、ITCが大法廷による再審理の申し立て(5/21付)を行いました。

 

IPWatchDogの記事 (申立書)

 

事件を簡単におさらいすると、特許権者 Lashify が、類似商品を輸入する業者の行為に対し関税法第337条の救済を受けるべく、ITCに訴えを提起していたところ、ITCは、その救済を受けるための一要件、すなわち、特許で保護される製品に関連する産業が国内に存在する必要がある点が満たされていないとして、救済を認めませんでした。

(a)(3) 第2項の規定の適用上、合衆国における産業は、特許によって保護される物品に関して、合衆国において以下のいずれかの状況がある場合に、存在するものとみなされる。
(A) 設備への相当な投資。
(B) 労働力または資本の相当な投入。
(C) その産業の活用に対する相当な投資。
CAFCは、3月の決定で、上記(B)の労働力または資本の規定に関し、製品の製造に関連するものだけでなく、販売やマーケティング、在庫管理など幅広い投資を算出に含めるべきとし、ITCによる判断を一部取り消していました。
 
(なお、Lashifyは、製品についてのデザインやリサーチを行っていたようですが、それらは海外で製造され輸入されていました)
 
これに対し、ITCは、本申し立てにおいて、第337条は国内産業要件に定めているのだから、ここでいう労働力または資本というのは、国内において産業を実際に創り出すものに限られるべきと主張しています。
 
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ITCの主張も理解できる半面、製造は海外で行うことが多い米国企業の実態もあり、どのような判断となるか注目されます。本件について進捗をウォッチしておきたいと思います。