前回のエントリに関連して、Broadest Reasonable Interpretation (BRI) の判断に関するフローチャートの日本語訳をメモしておきたいと思います。
JPOの翻訳文:https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/usa-shinsa_binran2100.pdf
なお、右下の「通常的、かつ慣例的な意味を使用する。」とは、「当該技術の熟練者にとって」の意味を示します。
クレーム全体から見て、その発明が特定の技術分野に関するものが明らかであるにも関わらず、そのクレームで使用されている文言が、その分野における通常的な意味で解釈されていない場合(あるいは明細書の定義に反する場合)には、反論すべきです。
とはいえ、感覚的に、審査官の文言の解釈が不当なまでに広いというケースは、そこまで多くはない印象です。出願人も、クレームの文言は、できるだけ広く、汎用的な用語を使用して記載しますし。
どちらかというと、出願人サイドでの解釈の誤りのほうが多いように思います。典型的なパターンは、(1)限定を追加しようとしているが、その限定をBRIで解釈すると、依然として引例との差異がない(不十分な限定)(2)反論の根拠がクレームの文言の狭い(BRIではない)解釈に基づいている、といったものです。
現地代理人とのやりとりが一方向だと、このような問題が生じても、スルーされ、そのまま次のOAに直行しがちです。特に BRI の問題は、普段日本語で実務をしている担当者からすると、判断が難しいことも多いです。そこで、出願人側から応答案について指示を出した後、その内容が不十分な場合、(1)米国代理人側でそのまま進めず問い合わせする(2)方針から逸脱しない範囲で裁量で対策を追加する、などの対処が柔軟にとれる体制にしておくことが重要と考えます。