反抗的なライセンシー IPWatchdog Webinarより | The U.S. Patent Practice

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米国での特許実務に役立つ情報を発信しています。

今日は自分のゴールデンタイム (7-11am)を使ってIPWatchdogのウェビナーを聞いていました。

 

タイトルは、"SEPs, Unwilling Licensees and FRAND"ということで、前職ではSEP案件を多数扱っていたこともあり、ふと思い立って聞いてみることにしました。

 

※追記:録画が公開されたようなのでリンクを追加します

 

 

スライドがなくパネリストが話すだけの内容だったので、全てを書き出すのが難しいのですが、自分なりにまとめると、

 

・Appleのような大企業は、SEPオーナーからの交渉に応じず訴訟に持ち込み、時に10年にわたる長い年月をかけて相手方の浪費・断念を待ちつつ、最終的に負けたらFRANDで安い対価を支払う(特に中小規模の特許権者に不利)。パネリストはこれにおかんむり。

 

・ドイツの裁判所では、一連の訴訟の経緯をみて、ネゴシエーションに真摯に対応していないかどうかを判断するようになっている

 

・米国でAppleのような戦略がまかり通るなら、米国のイノベーター達(主として中小規模)は標準化活動に参加しなくなるだろう。一方で、中国などは積極的に活動をつづけ、米国は通信技術やAIなどの重要産業の領域において孤立することになり、結果的に米国の安全保障の問題となる

 

次期政権の特許政策がどうなるかまだ読めませんが、この懸念が共有されて対策がとられるのであれば、SEPに関するネゴシエーションに不誠実(Bad faith)に臨み、訴訟を遅延させたら、懲罰的賠償金 (Punitive damage)を課しやすくするような法整備がなされるかもしれません。