昨日のExample 42と同じ資料の先頭にある例なので、ついでにメモしておきたいと思います。
2019 PEG Examples 37 through 42 (2019/1/7発行)
Example 37は、コンピュータの画面上で、使用頻度の高いアイコンをスタートアイコンの近くに並べ替える方法に関するものです。ここでは、クレーム1と2の差分(ハイライトの部分)と、特許適格性がある理由のみを端的に記しておきます。
この例では、いずれも特許適格性ありとされているのですが、クレーム1については思考プロセス(Mental Process)、すなわち抽象的概念と判断された上で適格性ありとされている(Step 2A, Prong Two OK)のに対し、クレーム2はそもそも抽象的概念ではない(Step 2A, Prong One OK)と判断されています。
ハイライトのあるステップのみに着目します。
Claim 1では、a processorという文言を除き、人間が思想的に実行可能(アイコンの使用量を手動で計算可能)なので、思考プロセス、すなわち抽象的概念と判定されています。単なる processor という汎用的な用語の記載だけでは、「思考プロセス」という枠組みから脱するに不十分とされています。
一方、Claim 2では、プロセッサが実行する動作(アイコンに関連付けられたアプリケーションに割り当てられたメモリ量を監視する)が、人間によって実用上思想的に実行できない("cannot be practically applied in the mind")ことから、そもそも「思考プロセス」ではないという判断になっています。
コンピュータの処理について、ざっくりMental Processだと認定されたら、本件のような理屈で反論または補正をご検討ください。
私が実務で、人間が思想的に実行するものではない(実務上コンピュータが実行する)と主張するときに使用する文言の例をいくつか示しておきます(100%反論に成功するとは限りません)。
表示に関する内容の場合、単にdisplayというかわりに generate a screen for display ...
データの変換が関係する場合、convertのかわりに encode/decode data ...
具体的な良い動作がみつからない場合、execute a ... process (コンピュータで実行されることが知られている処理の名前)
その他、pixelやbitなどの用語を使用して、デジタルな処理を行うことを明らかにするのも一案です。