コロナ禍によって,マスクの効果の議論がかまびすしく行われています。その議論の中で,直接防御と間接防御が混同されています。一部には,わざと混同させているのかもしれませんが,
直接防御,間接防御は,もともと軍事用語です。直接防御は,直接打撃を被むらないようにするアプローチ。間接防御は,打撃を被むっても致命傷にならないように耐性を高めるアプローチです。直接防御のわかりやすい例は,戦艦大和などの装甲板です。装甲板が厚いほど,敵艦からの砲弾に耐える力が強くなります。間接防御のわかりやすい例は,不燃対策,消化設備の充実,防水区画の細分化など,ダメージコントロールの強化です。
なお,旧帝国海軍の軍艦は,米国のそれと比べて,沈みやすかったとされています。その主な理由は,装甲板は,厚く直接防御は米軍と勝るとも劣らなかったものの,不燃対策,消化設備が不十分で,間接防御が,米軍と比べて著しく劣っていたためだとされています。特に,基礎工業力が不十分で,塗料と電線が燃えてしまったことが致命的だった言われています。
さて,ウイルスに対して,マスクは効果が殆どないという主張があります。その根拠は,ウイルスは非常に小さく,マスクのメッシュを容易に通過してしまうというところにあります。飛沫にしても,完全に防げるわけではない。これは,正しいです。これは,いうならば,直接防御。
しかしながら,マスクの主な効果は,ウイルスを阻止することにあるのではありません。① 粘膜の保護 と,② 鼻と口に対する直接接触の防止 にあります。
① 粘膜の保護
ウイルスは体内に入るときは,鼻および口を介して粘膜から侵入します。この粘膜は,乾燥すると,ウイルスに対する耐性(免疫)が落ちます。他方,マスクをすると,直接乾燥した外気が粘膜に入ることを防止できます。この効果が,ウイルスに対する耐性(免疫)を維持することができます。
②鼻と口に対する直接接触の防止
ウイルスは,鼻および口を介して侵入します。マスクにより,鼻および口が,ウイルスに汚染されている物(特に人間の手)触れることを防止することができるばかりでなく,ウイルスに汚染されている粉塵をブロックできます。
特に,コロナウイルスは,大気中では,イガイガがO2の攻撃を受けやすい(酸化されやすい)のです。飛沫状態で感染するのは,このイガイガが,細かな水滴である飛沫によってO2の攻撃から守られているためです。飛沫が蒸発してなくなると,イガイガがO2の攻撃を受け,感染力がなくなるとされています。ところが,コロナウイルスが物に付着すると,イガイガがO2の攻撃かから守られて,長期間(1週間以上?)生存してしまいます。
以上,マスクの主な効果は,① 粘膜の保護 と,② 鼻と口に対する直接接触の防止という間接防御にあります。ですから,マスクは効果がないという,〇×式の単細胞的な愚論に惑わされてはなりません。
なお,マスクの間接防御効果を専門家が裏書しています。医療関係者向きですが,参考まで
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