50代女性
【主訴】
ふくらはぎの肉離れ
&
不眠症・ふらつき・頭痛・慢性疲労症候群…長年続いている自律神経症状
【問診】
先日自宅で急いで階段を登っている際に左ふくらはぎに激痛が走った。
とりあえず応急処置ですぐにアイシング。
実は今回の様な肉離れは2回目である。
以前も整形外科で『肉離れ』と診断された。
その時、安静にするように言われ包帯で固定して終わった。
そこから数週間で痛みも徐々になくなった。
しかし足の硬さと可動域制限は残ったまま、普段通りの生活に…という感じだった。
今回はまた同じ場所を痛めてしまった状態。
翌日から仕事がある。
営業職で歩かない訳にはいかないので少しでも歩行が可能になれば…
また、上記の症状とは別にここ最近、不眠やフラつき、
それも一緒に治してほしいという依頼。
最近脳のMRIにて軽い脳梗塞が見つかった。
調べると脳内の血流量がかなり悪い状態のようで、
今回の肉離れを含め、首の環境改善による脳血流増加も視野に入れて治療をしてほしい…という事で国立おざわに来院しました。
【視診・触診】
視診
ふくらはぎにはまだ皮下出血はみられない。
歩行時に踵がつけない。
触診
左腓腹筋の内側に顕著な圧痛と認知覚がある。
【治療①】
まずは受傷している下腿内側と同側の外果周辺に痛みが出ている為
主な治療部位
①腓腹筋
②長、短腓骨筋
③外側靭帯(前距腓靭帯)
《治療経過》
1回目
術後、踵がつけるようになる。
2回目
皮下出血が出てくる。
痛みが低下し外果周辺の腫れも少し引いてきた。
ペインスケール10→8
3回目
8→5
若干庇っているようにみえるが、
【治療②】
首肩に形成されたトリガーポイントを除去する事による自律神経治療・脳内血流量改善を目的とした。
【治療部位】
①頭半棘筋
②僧帽筋
③板状筋
④胸鎖乳突筋
⑤大後頭直筋
⑥肩甲挙筋
4回目
5→3
前回後、よく眠れる。身体も軽くなった。
5回目
足の痛みはほぼ消失。
外果の違和感はまだ若干残っている。
フラつきや頭痛も消失。調子も良い。
6回目
前回治療後、病院にて脳内の血流量の検査をした。
以前よりも改善著しく、手術は回避。
経過観察になる。
鍼治療は現在も週に1回治療継続中である。
【首凝りを治せば脳血流が変わる?~現代人は脳血流が悪化傾向~】
先ず初めに肉離れについて。
肉離れはちょっと損傷(Ⅰ度)部分断裂(Ⅱ度)完全断裂(Ⅲ度)に分かれます。
大抵はⅠ度orⅡ度損傷。アイシングや固定などで治しても、『ある程度』は治ります。その『ある程度』は『痛みと可動域』です。なぜ、『ある程度』というかというと実際損傷した筋線維は同じ筋線維で修復はされません。
『筋線維に似た組織』で修復されるので、損傷個所は周囲とは弾力性が異なるのです。
弾力性が異なる部位があるので、鍼で患部を内側から外科的に血流増進することにより周囲との線維緊張が限りなく近くなります。これが肉離れの後の最善の治し方です。
さて、現代人はスマホやPCで首の環境が悪化しています。
首は『頚部浮腫』といって、首にトリガーポイントが多数存在することにより浮腫みます。
浮腫むと自律神経が乱れるのですが、同時に首から脳に向かう栄養血管も圧迫を受けます。
交感神経緊張により末梢の血管も収縮します。
近年は、脳血管障害が増えているそうです。認知症も同じく。
脳はエネルギーを莫大に使う部位です。
マインドフルネスや瞑想などが流行っている理由も『脳が疲れている』からです。
私は『脳疲労の大元は首凝りに在り』と考えています。
マインドフルネスをしても、どうしても交感神経緊張の人間は雑念が入ります。
首凝り治療を行って副交感神経機能を活性化させるとマインドフルネス効果も上がります。
(実は『マインドハリネス®』で商標登録をしています)
鍼治療時は現代人が生きている中で『唯一の何もできない時間』です。
鍼でいうとこれを『置鍼(ちしん)』といいます。
置鍼時間は鍼治療効果&マインドフルネス効果の両方を体感できる時間です。
トリガーポイント治療は強制的に副交感神経機能を亢進させるので効果的です。