PFAS汚染対策、住民の世論と運動、都議会での論戦で都政を動かす | 尾崎あや子オフィシャルブログ「東へ!西へ!尾崎あや子の活動報告」Powered by Ameba

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4月29日、日本共産党小平市議団「PFAS汚染から市民の健康を守る 学習・対話集会」が開催されました。私・尾崎あや子は「都議会での取り組み」について、都の260か所の水質調査の結果から横田基地や複数の汚染源が存在することや都議会での論戦、小池知事の姿勢などについて報告しました。

 

鈴木市議からは公平市議会の様子と住民から出されたPFAS汚染対策についての陳情の質疑状況などについて報告があり、参加者の疑問に答えながら、今後の取り組みなどについて意見交換しました。

 

 

<尾崎あや子の報告を紹介します>

PFAS汚染対策、住民の世論と運動、都議会での論戦で都政を動かす

                            

はじめに

 有機フッ素化合物(PFAS)汚染問題について、「安心して飲んでいた水に発がん性物質のPFASが含まれていたなんて、とても不安」「宝の水を守りたい」と都民の不安や怒りが広がっています。

ところが、小池都知事は「都民の健康・命を守る」と言いながら、PFAS汚染対策について、都議会の本会議や予算特別委員会で質問しても、何一つ答弁に立たない状況です。

 

1, 都民の世論・運動と連携した議会論戦で都政を動かしている

 消極的な小池都政のもとでも、都民の世論・運動と連携した議会論戦で都政を動かしてきました。

 

(1)「2023年度中に全都の水質調査を完了する」と検査計画の前倒しが実現

 都内全域の地下水の調査は、通常、4年間で都内を一巡する計画ですが、昨年の第3回定例会(6月議会)の代表質問で、汚染の実態解明のためにどう取り組むのか、厳しく質すと「今年度中に、都内全域の調査を進めていく」と、調査を前倒しする答弁を行いました。汚染の実態をつかむ上で、重要な成果です。

 また、第4回定例会(12月議会)の代表質問では、横田基地でのスプリンクラー破損にともないPFAS汚染水が国の暫定指針値の5万倍を超えていたことを示して質疑。環境局長から「高濃度汚染のところは調査の地点を増やす」と重要な答弁を引き出したことも大きな成果です。

 

(2)地下水調査の結果は17区市28箇所で暫定指針値を超過

 東京都は、2024年3月29日、260カ所の地下水を対象とした調査結果を公表しました。全体の約1割にあたる17区市の28カ所で、国の暫定指針値(1リットルあたり50ナノグラム)を超過していました。23区では渋谷区(330ナノグラム)、文京区(120ナノグラム)、世田谷区(120ナノグラム)など、多摩地域では立川市(620ナノグラム)、狛江市(410ナノグラム)、府中市(260ナノグラム)、国立市(190ナノグラム)、国分寺市(140ナノグラム)、青梅市(140ナノグラム)、八王子市(99ナノグラム)、小平市(85ナノグラム)などです。

 この結果から、米軍横田基地以外にも複数の汚染源が存在すること、多摩地域だけの問題ではなく、全都の問題であることが明らかになりました。

 

(3)2024年度予算案にPFAS対策増額

 PFAS汚染対策について、東京都市長会の2024年度予算編成に対する「重点要望」に、はじめて盛り込まれ、都議会でも論戦に生てきました。

 2024年度予算の環境局のPFOS等対策予算額が2023年度予算1,900万円から2億3,700万円に増額されたことは大きな前進です。

 環境局のPFAS汚染対策の特徴は、1つは、新規事業で「PFOS等含有泡消火薬剤の転換推進事業(1億5千万円)」で、PFASが含まれている泡消火薬剤の交換に都が支援するという事業です。中小企業に3分の2を支援し、大企業に2分の1を補助するものです。これはビルなど屋内の大きな駐車場に設置されている泡消火薬剤には、PFASが含まれているものがあるため、都として代替品への交換に財政支援を行います。

 2つ目に、新規事業で「区市町村と連携したPFOS等地下水調査促進事業(1,400万円)では、区市町村の地下水調査に補助する事業」で、都が費用の3分の2を補助します。区市町村の判断で独自の調査を進めるうえでも都の財政的支援は重要です。

 3つ目に、新年度でも都内260か所全域を前倒しして調査を実施、高濃度のところの調査地点を増やすことが盛り込まれました。汚染源を明らかにするうえでも、徹底した水質調査が必要であり、重要な取組です。

 

 

2, 東京都の問題点と今後の課題について

(1)東京の水道について

 東京都水道局の現状は、多摩地域の水道水源に利用している井戸は277か所です。このうち、PFAS汚染の影響で、2023年度末42か所が取水停止(立川市・小平市・国分寺市・国立市・府中市・調布市・西東京市の7市)しています。水道局は、河川の水とブレンドし、蛇口で国の水質暫定目標値(50ng/L)以下なら、井戸でPFASが検出されても、また、それが暫定目標値を超えていても取水停止はしないという対応であり、今後の課題だと考えています。

 沖縄県では、水道に含まれるPFAS濃度を低くする対策として、活性炭について2年間調査を行い、一番効果のあるものにして現在は、定量下限値の1リットルあたり1ナノグラム未満になっています。県の担当者は、「住民の不安を解消したい」と取り組んでおり、東京都とは姿勢の違いを感じました。活性炭の設置を都に求めていきます。

   

(2)血液検査に後ろ向き

 都は血中濃度検査について非常に後ろ向きです。都独自に調査するよう求めても、国の大規模・広域の調査まかせで、都民の不安に直接寄り添う姿勢が全くありません。しかも、国の「エコチル調査」の対象地域には、東京・都民は含まれていません。また、母子を対象とした調査であり、それ以外の人への健康影響を調べるには、別の調査が必要です。

 世界保健機構WHOの専門組織は昨年11月30日、代表的な有機フッ素化合物のひとつPFOAについて、分類を2段階引き上げて「発がん性がある」と変更することを公表。PFOSについては「発がん性の可能性がある」に分類されました。このことを示し、第4回定例会・代表質問で、「知事は、“健康への影響は明らかではない”と発言してきたが、認識と対応を変えることが必要ではないか」と質すと、知事は答弁に立たず、保健医療局長は「この評価は、人に対する発がんの原因となり得るかどうかの根拠の程度を示すものであり、物質の発がん性の強さや暴露量に基づくリスクの大きさを示すものではない」と答弁し、これまでの認識も対応も変えないというものでした。

 今年3月の予算特別委員会で「血中濃度と健康被害の関係についての知見を増やすために疫学調査を実施することは重要であり、日本における疫学調査を増やす必要があるのではないか」との質問に、都は「国の専門家会議によると、国内において、疫学研究などの関連する研究を推進すべきとされている」と答弁するにとどまりました。

 水質調査で高濃度だった地域や、希望する都民を対象に血液検査を行うよう、責任を果たさせる必要があります。

 

(3)汚染源は横田基地のPFASを含む泡消火薬剤

 昨年3月の予算特別委員会で私は、都の過去の不作為を問いただしました。都は2019年1月、過去の燃料漏出事故の際にもうけた横田基地周辺の4本のモニタリング井戸、立川市・昭島市・武蔵村山市・福生市の井戸のうち、立川市の井戸で1リットルあたり1340ナノグラム、武蔵村山市の井戸で同じく143ナノグラムという高濃度のPFASを検出(2020年1月6日の朝日新聞で報道)していました。ところが都は、これらの井戸のうち立川、武蔵村山の井戸の検査をこの時限りでやめてしまったことを認めました。飲用では使われていないというのが理由ですが、本当にそれが理由だったのか、疑問が残ります。

国の対応にも問題があり、都は2018年から2023年6月まで5回、国に横田基地のPFASについて問い合わせていますが、まともな回答が得られていませんでした。

 2018年12月10日付けの「沖縄タイムス」で、ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏は米国情報開示により「横田基地では2010年から17年にPFOSを含む泡消火薬剤が計3161リットル漏出し、2012年には泡消火薬剤3、028リットルが貯蔵タンクから土壌に漏出した」ことを報じました。

 昨年6月29日の国会での聞き取り調査が決定的でした。防衛省は米軍提供の資料に基づき、2010年から2012年、横田基地で泡消火剤の漏出が3件あったことを初めて認めました。国は4年半も隠していたことになります。

 都は、翌6月30日の「しんぶん赤旗」報道に基づいて国に確認し、その後、7月5日に都と横田基地周辺5市1町と連名で国に対する要請を行い、「速やかに情報提供がなされなかったことは極めて遺憾」と異例のコメントを発しました。

ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏の情報開示で横田基地のスプリンクラーが破損(2023年1月25日・26日の2日間)し、PFAS入りの消火剤で汚染された水(760リットル)が漏れ出したことが、昨年11月3日の「沖縄タイムス」で報道されました。国の暫定指針値の5万4千4百倍だったことが明らかになりました。事故現場は民間地との境界から100メートルしか離れておらず、側溝から流れた可能性はないのか、疑問が残るなか、米軍は「基地の外には流れていない」と説明しました。

 11月の公営企業会計決算特別委員会の全局質疑で、環境科学研究所が「飛行場の排水が、最後、下水道処理場を通じて多摩川に放流されている」と示している「飛行場」とは横田基地であることを質すと否定できませんでした。

 都議会での質疑を通じて、横田基地の泡消火薬剤に含まれているPFASが汚染源になっていることが明らかになりました。

 私は、今年3月の都市整備委員会で「横田基地の泡消火薬剤の漏出事故に伴い、漏出した量はいくらか」と質しました。都は「国からは2010年から2012年に発生した3件の漏出事故で、合計約3,200リットル弱が流出したと聞いている」と答弁。PFASが含まれる泡消火薬剤は今年9月までに原料にPFASを含まない非フッ素消火薬剤に交換するか、水消火設備に移行する予定であると答えました。

 引き続き、横田基地への立ち入り調査の実現にむけて全力で取り組みます。

 

3、都知事選挙の争点に

 昨年第4回定例会(12月議会)では、関係する局が一堂に集まり一問一答できる「PFAS汚染対策特別委員会」の設置を求め、立憲民主党・生活者ネット・グリーンな東京が賛成しましたが、自民党・都民ファースト・公明党などが反対し否決になりました。引き続き、特別委員会設置を目指します。

 PFAS汚染の問題は多摩地域だけでなく東京全体の問題であり、6月20日告示で行われる都知事選挙の争点に押し上げ、都民の命に向き合わない知事は変えていきましょう。