都市づくりについて伺います。
都内では、2000年以降、高さ100m以上の超高層ビルがすでに290棟も建設されているのに、国家戦
略特区の指定を受けるなど、いまだに超高層ビルの建設ラッシュが進んでいます。
大型道路建設も、とどまることなく推進されています。1メートル1億円、大深度地下トンネル方式で建設される東京外環道は、地下水分断、膨大な発生残土など様々な未解決の課題を抱えています。その建設費は本体部分だけでも1兆2820億円、しかも高速道路建設であるにもかかわらず、国直轄事業として税金投入が事業費の8割、1兆358億円にもおよぶものとなっています。
このようなやり方は、欧米の先進国大都市と比べて極めて異常です。多くの国や都市で環境にやさしい都市づくりが強調され、高密度化をおさえ、自動車交通を削減していく都市づくりが進められています。
Q35 ニューヨーク市は、車道を公共スペースにかえたり、自転車レーンの設置を推進するなど、車道を減らす取り組みを進めています。フランスの交通計画では、二酸化炭素排出量を減らすために、自動車から公共交通などの移動手段に移行させる政策がとられています。
ボストンやサンフランシスコでは、オフィスビルの床の総量規制や、容積率の引き下げが進められ、オフィス建設だけでなく低所得層むけ住宅供給が進むよう誘導策が実施されています。パリでは、住宅を建設する場合は300%、事務所建設の場合は150%などの規制がかけられています。ドイツでは、都市開発は既存の地区構造の保存的更新、修復型の街づくりが主流です。また多くの都市で開発を行う場合、中低所得層向け住宅を義務づけているのです。
知事は、このようなことはご存じだと思いますが、東京でもこうした欧米の取り組みにも学び、東京にあった、人と環境にやさしい都市づくりを正面に掲げていくことを求めますが、いかがですか。
Q36 都が事業化を進めようとしている外環の地上部街路「外環の2」は、3千棟にもおよぶ住宅の立ち退き、自動車公害の増大などで、地域環境と住民生活に甚大な影響をおよぼします。そもそも「外環の2」は、本来、外環本線の地下化の決定にともない、廃止してしかるべき道路であり、当時の石原知事が、地上部の道路計画は廃止されたのではないか、という旨の発言をしたほどです。このため当時の石原知事は、現地を視察するといい、猪瀬前知事も現地視察の方針を引き継ぎましたが、現地視察は実現しませんでした。舛添知事は現地を訪れたのですか。訪れたとしたら、いつ行ったのですか。地域の住民の声は直接聞いたのでしょうか。
Q37 都がみずから「外環の2」を廃止しないことから、杉並区の住民が、都市計画法の提案制度を活用し、善福寺2丁目の295㍍の部分を廃止する提案を提出しました。この地域では、対象地域の地権者の8割近くが「外環の2」を不要と判断し、今回の提案にいたっています。知事は施政方針で、「都議会の皆様と議論を重ねた政策も、実際に前に進めるには、都民の皆様の協力が不可欠だと思っております」と言いましたが、8割近くが反対するという重みを、知事はどのように受け止めていますか。
Q38 東京ではこれから高齢化が急速に進むと同時に、人口減少に向かいます。都市づくりのあり方とともに、都の財政運営も、抜本的に見直すことが必要です。新規の大型開発は見直して、維持・更新や耐震化に重点化し、都債発行を適正に抑制すること、そして少子高齢社会対策をはじめとした福祉、医療、教育、雇用対策の充実、生活の質の向上を進めるための予算を思い切って確保することが必要だと考えますが、いかがですか。
Q39 持続可能な都市づくりを進めるためには、ヨーロッパ諸国のように再生可能エネルギーの急速な普及が欠かせません。
東京でも、住宅、マンション、学校、公共施設、福祉施設への太陽光パネル設置、上下水道を利用した小水力発電、ビル風利用の都市型風力発電、飲食店からでる大量の生ゴミや西多摩の森林資源を活用したバイオマスエネルギー、島しょなどの波力発電をはじめ、再生可能エネルギーの大きな可能性があります。
ところがこの間の都の再生可能エネルギー普及は大きく立ち遅れています。今後、どのようにして普及のテンポを引き上げるのですか。
Q40 NPOや住民の取り組みとも連携し、大規模団地や地域ごとにエネルギー自給地域をつくり広げていく取り組みも重要ですが、いかがですか。
Q41 新設される水素社会・スマートエネルギーの基金は、水素だけでなく、再生可能エネルギーや省エネルギー化に、積極的にあてることが求められますが、いかがですか。
Q42 次に、戦後70年という節目の年に当たっての、都の対応について伺います。知事は施政方針で、「先人が築き上げてきた平和を、次の世代にいかに引き継ぐのか、これは現代に生きる政治家の大きな責任である」と表明しました。大事な発言だと思います。
20年前の戦後50年の節目に開催された、「東京都平和の日記念式典」において、「日本国憲法が基本理念とする恒久の平和は、私たちすべての願いであり、人類共通の目標」である、「軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰り返さない」などの内容をもつ「都民平和アピール」が採択され、都民広場に掲示されています。
戦後70年の節目にあたって、こうした「都民平和アピール」の精神や、平和と友好を掲げるオリンピック憲章の立場から、東京都が平和と核廃絶、友好の立場を発信していくことを求めるものです。知事の見解を伺います。
Q43 東京大空襲、被爆体験などの膨大な貴重な記録を都として収集、保存し、広く都民に普及・活用していくことが重要だと思いますが、いかがですか。
Q44 首都圏の横田基地や厚木基地など、全国各地でオスプレイの飛行と訓練の「日常化」が広がっています。しかも、「日米合意」を無視して、住宅密集地での飛行を平然と行っています。
また、ここ数年、横田基地での各種軍用機の飛行が急増し、福生市の調査によると、昨年と一昨年は1万回を大きく超えています。危険な低空、旋回飛行、夜間飛行も急増して、騒音の増大となり、部品落下の事故も頻発して、これまで行われたことのなかったパラシュート降下訓練もひんぱんに行われ、周辺住民の不安が広がっています。
知事は「国の専管事項」だと言いますが、戦後70年もの間、首都東京の人口密集地に米軍基地が居座るという世界に例のない異常な状態に加え、こうした米軍の横暴を黙って見過ごしてよいのですか。住民の安全・安心に責任をもつべき自治体の長としての対応を求めるものです。知事お答え下さい。
Q45 都が一貫して掲げてきた、米軍基地の整理・縮小・返還をめざす立場が、長期ビジョンには示されていません。「中間報告」では述べられていた「横田空域全面返還」という立場もなくなりました。なぜでしょうか。
昨年末、都と基地周辺の「市町連絡協議会」が、政府と米軍に対して行った「基地の整理・縮小・返還」「騒音防止」「事故防止」などの10項目の要望に対して、どういう回答がされているのかもあわせてお答え下さい。
最後に、東京の教育について知事に伺います。
Q46 すべての子どもたちが人間として大切にされ、学校教育のなかで様々な人間的ふれあいを通じて心も体も豊かに成長してほしいというのは都民の願いです。ところが石原都政になって以降、全国に例を見ない教育現場への管理統制と介入が強められ、学校教育が歪められてきました。
2003年には、卒業式や入学式の椅子の並べ方から式次第にいたるまで画一的なやり方を強制する通達が出され、国歌斉唱の職務命令に従わなかった教員などが大量処分されました。これに対し最高裁は、国歌斉唱などを命じた職務命令が、思想および良心の自由について間接的な制約となり得ることを認め、減給と停職処分を取り消しました。また補足意見では、いたずらに不起立と懲戒処分の繰り返しが行われていく事態が教育の現場のあり方として容認されるものではないと指摘し、自由で闊達な教育が実施されるよう努力することを求めています。
知事、この最高裁判決と補足意見を。どう受け止めていますか。
Q47 また、七生養護学校では、全国的に高く評価されてきた性教育が、一方的に突然、不適切とされ、一昨年裁判で都教委の敗訴が確定しましたが、教員は厳重注意、校長はいわれのない停職と降格処分にされました。
これらは「逆らうと処分される」という見せしめとなり、教育現場を萎縮させました。
職員会議は一方的な伝達の場になり、気になる生徒について議論することも、教育論をたたかわせ合意形成を図ることも困難になり、挙手による教員の意向確認すら都教委により禁止されています。教員相互の協力・協働を損ない、教育と相容れない目先の「成果主義」をあおる業績評価や、上意下達の人事制度もつくられました。
舛添知事就任から一年になりますが、石原都政以来進められてきた、こうした教育の現状を、どうとらえていますか。
Q48 知事は、施政方針で教育について、「知事と教育委員会がさらに力を合わせ、子どもの可能性を伸ばし、引き出してまいります」とのべました。子どもの可能性をのばし、教育をするには、教員が専門職として尊重され、授業の自主性・創造性が保障され、地域や保護者とともに教育について議論しあえることが重要です。そして、子どもたちが主権者として多様な価値観を身につけ、平和と基本的人権、民主主義をしっかり身につけることができる教育を進める必要があると思いますが、知事の基本見解を求めます。
わが党は今定例会に、都議が本会議などに出席する際の交通費である費用弁償を廃止する条例を提出します。多くの都民のみなさんから、費用弁償は歳費の二重取りという強い批判がよせられています。全国的にも廃止などの見直しが進んでいるものです。すべての会派、議員のみなさんのご賛同を訴え、再質問を留保して質問を終わります。