モーツァルトの作品を練習することは、とても美しい粒の揃った美しい音を出すのに良い練習になります。
又完成された古典形式、和声など、練習することにより、感性を磨く事にもつながります。
自分自身の事を思い出すと、ソナチネを終了する時期あたりから、モーツァルトの作品をよく弾きました。
演奏会でも何度か弾きましたし、試験の課題にもよく取り上げられました。
子供でもあまり手に負担がかからないので、安心です。
実は成人してから、ほとんど弾いてません。(いけませんね
)
伴奏を依頼されたり、「この曲を弾いて下さい」と指定があれば弾いてますが・・・(笑)
苦い想い出があるのです。トラウマ・・・
私の子供時代、指はきちんとあげて、独立させるという事に、大変重点が置かれていた様に思います。
それはもちろん大事な事です。作品(作曲家)によっては、かなり手に負担がかかる奏法を強いられる事はよくあります。(リスト、ブラームス等)
しっかりした筋肉をつくり、指を独立させられないと、手におかしな負担がかかり傷めてしまいます。
指をたてて上から落とす、一つ一つの音が非常に明確になる弾き方を、基本として習った方も多いと思います。
「もっと指をしっかり動かして!」
「5の指、4の指がふらふらしてますよ!」
「ハノンやらないからそういう事になるんです!」
私の先生は特にベートーヴェンがお好きでしたから、余計その傾向が強かった様です。
小学生の頃使用していた当時の楽譜には、何ケ所か、「100」と書いてあります。
弾けないとよくしかられまして、「毎日100回弾きなさい!」・・・・・はい!(やりました)
ある意味それも大切な事です。
自分で反復して練習を重ねる事により、筋肉がついたり色々な感覚が身についたりもするのですが・・・
ま、当時はそういうスパルタ時代でした。学校でもうさぎ跳びしましたし、体育の時間水飲むなと言われた世代ですから(笑)
で、その弾き方で、モーツァルトは弾けないのですね。美しくないのです。
散々練習しても弾けないので、嫌いになってしまいました。
音大時代、モーツァルトが課題になった事がありました。
レッスンのたびに「そんな音では違います。もっと練習しなさい」
わからなくて、自分の中で逆切れしちゃいました。
試験までの半月、毎日12時間以上格闘の末・・・やっと弾き方を掴みました。
掴んでみれば、拍子抜けするくらい、楽な奏法でした。
こんなに簡単に弾けるんだ・・・・(絶句)
モーツァルトは練習すれば必ず弾ける様になります。
ロココの軽やかで粒の揃った美しい音は、努力で必ず習得できます。
ただ不器用な自分には、あまりにも遠回りしたつらい想い出でした。
美しい音楽ですし、又多くの方々がモーツァルトの作品に魅せられるのも解ります。
「モーツァルト、本当に最高ですよね~」
苦しかったな~・・・・(笑)
「私は音楽性がないのです。」とか、「テクニックより音楽性で勝負します」等と仰る方が時々いらっしゃいます。
よく音楽性よりテクニック重視の先生とか、その逆の表現もされます。
実はこの両者は一体でして、別々に考えるとおかしな事になります。現実には別々に考えたくもなりますが。
音階、ハノン、ツェルニー・・・etc
指のトレーニングは、長い時期に渡り行う事になりますので。
ある程度上手な生徒さんの例ですが・・・
どうしても腕と肩がガチガチになります。
相当弾けるのに、肩が力み、完全に上がってる事もしばしばです。
見ると呼吸がおかしい。弾き始め、緊張してすぐ息を吸って止めてしまいます。
その瞬間身体も手も上に上がってがっつり固まってます。
テンポが走りだし、力んで思う様に指が動いてくれません。
そこで、とにかく歌ってもらいます。
フレーズを認識し、実際に声を出して頂くと呼吸が治ります。(息吐かないと歌えません)
フレーズの最後まで丁寧に大事に歌う様にする事で改善してきました。
ピアノは初めてという方にも、以下の事を徹底してもらいます。
音が少なくてドレミだけでも、大事に音を出し、フレーズを丁寧に歌うこと。
フレーズの始まりは意志をもって歌いだし、フレーズの最後は丁寧に。
音符の長さ、拍子は徹底的に正確に。
曲調と合わない身体の動き、呼吸をしない事。
静かな夜の様な曲で、はずむ様な身体の動きは不自然です。
遠くに広がる曲は、頭をあげ身体を広げるイメージで弾いてもらいます。
曲が広がるのに身体が縮こまるのは不自然です。
それを最後鍵盤から手を離し、ひざの上に置くまで、徹底してもらいます。
呼吸その他の身体意識と曲調を一体化させる事は、多くの悪癖を避けるためにも大切です。
正しい身体意識は、正しい音楽理解力を必要とします。
どんなレベルの方でも、行き詰りを感じたら見直して下さい。
音を大事に出していますか?
根幹である拍子をなくしていませんか?
リズムを細かいところまで意識してますか?
どんなに短いフレーズでも、大事に歌っていますか?
曲にそぐわない動き、呼吸をしていませんか?
次は音楽性、表現力と一般に言われることについて、まとめてみたいと思います。
ピアノを初めて習うという大人の方が多くなり、指導法も見直す必要があります。
奏法。
音楽性とのかかわりもありますが、ここではテクニックのお話です。
本来、指を独立させ、動かす筋肉をつけます。
特に小指、薬指・・・手を支え、指を動かす神経と筋肉必要です。
他の3本と比べ、日常使われないので弱いのです。
指が独立し思う様に動かせないと、手首や肘で補おうとします。
手を卵型にして指を動かしきちんと音を出しましょう!
指以外を動かさないで弾きましょう!
手の甲、手首、肘をゆすらないで弾きましょう!
成長前の手に負担をかけず、少しずつ負荷を上げます。
ソナチネ→モーツァルトソナタ
モーツァルトの粒の揃った軽やかで美しい音は、良い練習になります。
指の独立が不可欠ですが手に負荷がかかりません。
基礎と身体が出来てきた頃、ベートーヴェン初期ソナタ。
そして、ショパン、メンデルスゾーン、等々、様々な奏法を覚えます。
この過程を飛ばし「ショパン弾きたい!」という要望に対応する訳です。
ご年齢を考慮すれば、応じない訳にはいかないのが現状です。
ショパンは、ベートーヴェンと奏法が全然違います。
時に撫でる様に指を寝かせる事も多くなります。
指の間を開く筋肉の柔軟性がより多く必要となります。
極論を言えば、指の筋肉が未形成でも弾けてしまうものもあります。
そこでややこしくなります。
「この曲で仰る事はハノンで言った事と違います」
「ピアニストの弾き方とハノンで注意される弾き方違います」
ハノンは、神経と筋肉の形成、柔軟性の為に利用しています。
よって、矛盾を説明すると、大体ご理解頂けます。
高齢の方でも筋肉と神経は形成されます。
基礎練習はその方のペースで続けて頂きたいのです。
そしてショパンは様子を見つつ、曲を完成させていく事になります。
何事も時代の流れや要望と共に、工夫が必要になります。
これから様々な曲と出会うでしょう。
ショパンの奏法とベートーヴェンの奏法の違い、
楽器としてのピアノの発達とも関わります。
広い視野で学んで頂くと、又興味も湧いてくるでしょう。
ご本人の希望は最優先したいと思います。
広い視野と基礎を身につけて下されば嬉しいです。
生涯学習ですから。