八王子高尾 ピアノ教師 の日記 -44ページ目

八王子高尾 ピアノ教師 の日記

桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
皆様と音楽やピアノについて、交流ができれば幸いです。ピアノについてのご質問等も是非お寄せ下さい。
oyuki42koba☆yahoo.co.jp ☆を@にかえて下さい。

野市の煉瓦ホール、ロビーに置いてあるヴィンテージピアノです。
1800年代製作、ドイツのSEILERのロゴが見えます。
月2回このピアノでロビーコンサートが開催されます。



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声楽家の友人と、2人で連休に演奏させて頂ける事になりました。

ベートーヴェン、シューベルトの歌曲等
ピアノソロ、ショパンを弾く予定です。


以前、レプリカのピアノフォルテを弾いた時にも感じました。
音が減衰するまでの時間が、現代ピアノより少しだけ長いです。
鍵盤の戻りは同じくやや遅いので、あまり速くは弾けません。


アクションが開発され、鍵盤の戻りが格段に速くなった近代。
ラヴェルが好んで用いた様な同音連打が可能になったのと引き換えに失ったもの。
それがこの美しい残響の余韻の様な気がします。


レガートを丁寧に基本どおりに、手でつなげる必要があります。
ペダルの戻りが遅く、必要以上に踏むとすぐ濁ります。
例えばショパンの楽譜を見直すと、ショパンの指示どおりにしかペダルは使えません。


それを現代ピアノで練習すると、少ない音の余韻を埋める為、自分の耳に頼り、余計な事をしてしまいます。

余韻が少ないので、テンポが速めになります。

必要以上にテンポルバート(テンポの伸び縮み)する傾向もあります。
余韻の美しい楽器では、余計なテンポのゆさぶりは、うるさく感じます。
ペダルも、響きの薄さを補うために、つい多様してしまいます。

現代ピアノなら、何とかそれなりに聴こえます。
しかし、この時代のピアノでは、おかしな事になってしまいます。


音域によって音色が違うのも、現代ピアノとの大きな違いです。
特に低音部、小さくティンパニを叩いている様な音です。
ボワン・・・
高音部は、やや金属的なはじく様な音です。
シャリン・・・と美しい余韻が残ります。

シューベルト、ショパン、シューマン等
スタッカートの指示がメロディや低音部にみられます。

現代のピアノで、ピッピッと鋭く弾くとイメージが違ってしまいます。

そこには美しい余韻があったのですね。


無論、余程の機会がない限り、ほとんど現代ピアノで演奏します。
けれど機会があれば、その時代の楽器に接しなければと痛感します。


本当に不思議です。
違う楽器で弾いていても、演奏者のイメージは聴き手に伝わります。
チェンバロを弾く方がピアノでバッハを弾くと、チェンバロが浮かびます。


当時の音を常に思い浮かべ、その上で推敲していかねばなりません。


私達がアマチュアの方の演奏を聴くと、普段練習している楽器の音がきこえます。

電子ピアノの方、アップライトの方、大体解ります。


教室の生徒さんは、普段電子ピアノで練習している方が多いです。
他の方も、アップライトです。
けれどレッスンで、1920年代製作のドイツのグランドを弾いています。



生徒さん数人は、スタジオにヨーロッパ製のグランドを弾きにいくそうです。
子供達も、「先生の家のピアノの音が好き」とよく言います。

今回のコンサートにも、生徒さんが来てくれます。
きっと又何か、感じてくれると思います。


そういう訳で、・・・最後の追込み中です(汗)

新しい曲を譜読みするのは、楽しい反面大変でもあります。

「どんな曲かわからないから苦痛~」


この状態は文字に例えると解り易いです。

楽譜が、まだ1文字1文字の記号の羅列状態です。

その文字が描く内容、物語が見えていない状態。

読んでも楽しくないですね。



譜読みが早くなるコツは?・・・と質問される事があります。

答え・・・「沢山読む事」

全く答えになっていませんね(笑)すみません。



一通りどんな曲か大体解ったら、すぐに次の作業があります。

指使いを決める事、

強弱やスラー等の記号をよく見る事


レベルに関係なく気を付けて頂きたい事です。
楽譜に慣れるにつれ、以上の作業を少しずつ同時進行しましょう。

もちろん最初は、音とリズムで精一杯、それで構いません。


初心者の方は慣れるまで、指使いは必ず先生と相談して決めて下さい。

テンポの指示、スラー、スタッカート等、わかる範囲で構いません。

できるだけ早くから守りましょう。




一度になるべく多くの情報を、楽譜から読み取る訓練にもなります。

くれぐれも無理せず、ご自分でわかる範囲だけにして下さい。

わからない事は、先生に相談する事が大切です。




どんな曲か大体理解できて、少し慣れてきた頃、注意が必要です。

当然ですがどう弾くか決めたら、

その通りにだけ練習する事。



決めた指使い以外では弾かない事

強弱、テンポの指示、スタッカートやスラー等の指示

これらも最初から徹底して下さい。


慣れてくると適当に弾く様になります。これが怖いのです。

初心者の方より、経験の長い方に多い悪癖です。

ついついノリノリで適当に弾いてしまうのです。
(お気持ちはよ~く解ります)


暗譜できたつもりでも、細かい指示がいい加減になります。

本番で予想外のミスの原因に、適当な指使いでの練習があります。

決めた指使い以外では決して弾かない様にしましょう。



暗譜は無理してしなくて良いです。

細かい指示まで何度もよく確認しましょう。


それ以外の弾き方をしない事


一度でも間違った事を弾くと、それが脳や身体にしみつきます。

一度間違ったら、確認して二度やり直す覚悟が必要です。


練習は多い方が良いですが、現実難しいです。

沢山出来なくて構いません。

出来れば毎日、一日おきでも、少しの時間で良いのです。



正しい習慣で行う練習、その積重ねで大きく違ってきます。


努力が実りますように(*^_^*)
バッハが少々苦手だった生徒さん。

ショパンのワルツやシューベルトの即興曲レベルは頑張れば弾けます。

真面目に練習もしてきて下さいます。


バッハになると左右の手を合わせる事に精一杯。
最初にいらした時、インヴェンションを持ってうちにいらっしゃいました。
かなり練習しても、何度も停止してしまいます。

ご相談の上、プレ・インヴェンションを練習して頂きました。

「バッハ苦手です~」
「皆さん、そうなんですよ~」

他の曲を聴いていると、バッハが苦手な原因は解ります。
とはいえ、今日注意して来週なおせる事ではありません。
紆余曲折を経て、再びインヴェンションに再挑戦する事になりました。


紆余曲折とは以下の事です。

拍子を正しくとり、拍子に徹底的に合わせて弾く事。
どんなに細かい音符の連続でも、拍に合わせる事、流して弾かない事。
8分音符以下の短い音符は、尻餅つかずに通過する様に弾く事。
スラーをきちんと歌い始め、丁寧に歌い終わる事。


何度も書いてきた事ですネ。

これらは要するに「正しい歌い方」の基本です。



正しい歌い方が理解できたところで、片手インヴェンション。

1番を、まず片手ずつ弾きます。

右手、左手それぞれを正しく、できるだけ美しく歌える様に。



ひたすら私と片手連弾です。

相手の私は徹底的に正しく歌って弾きます。

それを聴いて合わせます。


やがて左手を弾いてる時に、所々一緒に右手を歌える様になりました。

そして5回目位で、両手でとても美しく弾けました。


バッハを弾ける様になる事はもちろんです。

目的はこれだけではないのです。



成果は見事に出てきました。

他に練習されているショパンやシューベルトが、がらりと変わってきました。

リズムが大変安定し、丁寧に歌える様になってきました。

どちらかというと表現がやや乏しい方でした。

真面目だけど魅力に欠ける演奏をされる方でした。


それが、のびのび歌える様になりました。

リズムが細かい所まで安定し、それが身に付いた様です。

ミスをすると止まってしまう悪癖も、いつの間にか、なおってます。



これがバッハに取り組んだ方と、避けた方の大きな違いの1つです。

(まだまだあります)

きちんと演奏できる様になりたいなら、バッハは避けられないのですね。



次回は具体的に1番の例をあげて、正しい歌い方の具体例を説明致します。

音楽性は、素質ではなく正しい練習の積重ねで形成されます。

その事が、ご理解頂けると思います。