Alamak! シンガポールの風⑬旅行先としてのニッポン | 019|まる・いち・きゅう

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丸い地球をまわりながら考えていることの記録

 どうやらシンガポールでは日本旅行がブームの様子。シンガポール人の訪日客は2013 年に19 万人と過去最高を更新、国別では東アジアや欧米の主要国に次ぐ第9 位だったそう。実際に私の周りにもこの1 年余りで日本に旅行した友人・知人は多く、頷ける話だ。

 しかし、日本でなにを楽しみにしているかと問うと意外な返事が返ってきたりする。食べ物やいわゆる観光地(スカイツリーとか皇居とか)と思われる方が多いだろうが、実は100円ショップやユニクロが人気なのだ。どちらもシンガポールに進出しており、商品は日本に来なくとも手に入るのだが、より安く・より多様な種類の品物を買えるのが魅力らしい。話を聞いた友人は原宿の4 階建ての100 円ショップに行ったようで、1 時間以上かけて選び抜いたという品々を見せてくれた。液体石鹸を泡状にするボトルだったり、表面がイボ状のしゃもじだったり、「こんなものを旅行先で?」と思うような物も多かったが、そういったものが「日本にしか売っていない」らしい。念のため100 円ショップの品物のほとんどは昨今中国産だと伝えたが、あまり気にしていないようだった。

 買い物という点では、高級品を比較的安く購入できることを楽しみにしている人も多い。資生堂の化粧品などはロングセラーだが、最近ではイッセイミヤケのバッグやリコーのカメラを買いたいという相談も受けた。シンガポール人が日本に買い物をしにくることについて「なんだか新しい」と思ってしまう私はもう古いのだろうか。

 昨年、冬を前にある知人に「北海道にスキーに行きたいと思っている」と言われたが、とくに日本を二度以上訪れる人は、東京や京都などではなく北海道を訪れる人が多いようだ。観光庁のデータを見てみると、実際にシンガポール人の訪日客のうち、北海道を訪れる人の数は東京に次ぐ第2 位だ。北海道へは、雪・ラベンダー・タラバガニなど、シンガポールにないものを目当てに訪れる人が多い。

 2012 年末より、シンガポール航空系の格安航空会社「スクート」が日本に就航している。既存航空会社のチケットに手が届かなかった所得層や団体旅行では満足できない個人旅行客の需要が掘り起こされている模様。今後も外から見た日本の、旅行先としての魅力を注意深く観察していきたい。

「ねっとわーくSAITAMA4月号」より(PDF版はこちらから)
Alamak= シンガポールのスラングで「あらまあなんてこった」の意味