Alamak! シンガポールの風⑭チャンギ空港、人気の秘訣 | 019|まる・いち・きゅう

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丸い地球をまわりながら考えていることの記録

 ロンドンの調査会社スカイトラックスが先月発表したところによると、「2013 年世界の空港ランキング」の首位は「シンガポール チャンギ国際空港」である。首位となるのは今回でなんと4 度目だとか。あまり空港の良し悪しに口うるさくない私だが、チャンギ空港は便利で使いやすいと日々感じているのでこのランキングには頷ける。私なりのチャンギ空港の魅力を3 つ紹介したい。

 まずなによりも空港へのアクセスがよい。観
光客にとっては街まで簡単に出られることでもある。国が小さいのだからこれは当然といえば当然なのだが、埼玉で生まれ育って、空港とは半日かけていくものだと思っていた私にとって、国内のどこからでも電車で1 時間、わずか300 円で空港に行けるのは衝撃だった。旅行ならまだしも、仕事の出張などとなるとやはり移動時間は短いほうがいい。昨年日本での国際会議の運営に携わったが、空港から数時間かかるというのはゲストにも負担がかかり、このような会議を誘致する都市としてもハンデとなることを痛感した。

 空港での諸手続きの迅速さもシンガポールはずば抜けている。シンガポール国民と、私のような就労ビザで滞在中の者も含むシンガポール長期滞在者は、事前登録なしに出国・入国審査は自動ゲートでおこなうことができる。パスポートをかざして、指紋を認証するだけ。おかげで並ぶことはほとんどない。また、成田ではまず手荷物審査で長蛇の列に悩まされることが多々あるが、チャンギ空港だとこの審査は搭乗直前に各ゲートでおこなう。こうすることで列は分散され、待ち時間も格段に短縮される。チャンギ空港においては着陸後15 分もあれば空港の外に出ることができるし、出発の際も1 時間前に空港に着けば問題なく搭乗できる。


日本語表記もあるシンガポールの入国審査の際の電光掲示板

 最後に紹介すべきはそのサービスのよさであろう。空港内はどこでもインターネットに接続できる。乗り継ぎの時間が長い人のためにスパやプール、屋内庭園、子ども用の遊び場などもある。空港に勉強をしにくる学生や、空港の施設を利用するためだけに出発時刻の数時間前に空港に着く人もいるという。 

 東南アジアの小国の空港であるにも関わら
ず、チャンギ国際空港はシンガポールと世界242 都市をつないでいる。1 年間に5120 万人が利用し、181 万トンの貨物が運び込まれ、1週間に6500 機(100 秒に1 機)のペースで飛行機が飛び立つ。これも政権の中長期的展望に基づく開発の結果か。ただ、「1 分1 秒でも早く」、「より便利により快適に」…これらの限界はどこにあるのか、便利な移動をついつい求めてしまうことに危惧を感じなくもない。

「ねっとわーくSAITAMA4月号」より(PDF版はこちらから)
Alamak= シンガポールのスラングで「あらまあなんてこった」の意味