2年ぶり東証1部上場企業の破綻-クレディア- | OX理論が測る企業価値

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26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007.09.18
 オックススタンダードメールマガジン  『 S T A N D A R D 』
             
 2年ぶり東証1部上場企業の破綻-クレディア-
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 【報道概要】
 9月14日、東証1部上場の消費者金融準大手クレディアが民事再生法

 を申請した。1957年の設立の老舗で、80年代後半から業務提携などで

 事業を拡大した。
 


 昨年12月の貸金業法改正や2009年のグレーゾーン金利撤廃などで
 営業環境が悪化。将来の返還に備えて引当金を積むなどしたため、
 2007年3月期には211億円の連結最終赤字を計上した。




 【会社概要】
 社名         株式会社クレディア
 業種         貸金業
 従業員数      558名(連結)
 所在地        静岡県静岡市駿河区南町10番5号




 【破綻情報】
 破綻日        2007年9月14日 民事再生申請
 負債総額      757億800万円




 【OX理論で分析】
 OX格付       B【20】(2007年3月連結決算)

 


 【破綻までの流れ】
   業界全体における問題が社会問題化
 (強引な取り立て、高金利、多重債務者問題)
             ↓
 貸金業法改正、2009年にグレーゾーン金利撤廃
             ↓
   過払い金返還請求に備える引当金
             ↓
          財務の悪化
             ↓
 新規の資金調達が困難となり、債務の返済のメドがたたない
             ↓
            破綻




 【巨額の引当金】
 2007年度決算において、将来の利息返還請求による
 損失に備え、200億円近い利息返還損失引当金を積んだ。
 これは、日本公認会計士協会が公表した『消費者金融会社等の
 利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の
 取扱い』に沿ったものである。

 
 言うまでもないが、これが致命傷となった。



 ちなみに、前期までのOX格付AAA【97】だった。
 しかし、今期は引当金の影響によりB【20】となった。




 【消費者金融業界の現状】
 消費者金融業界で合従連衡や撤退が相次いでいる。
 ・業界大手のプロミスが三洋信販を実質的に経営統合した。
 ・米ゼネラル・エレクトリックがレイクを売却する方針である。
 ・北海道内大手のアースが3月末で消費者金融から事実上撤退した。




 【今後は?】
 一部の企業を除いて、消費者金融業社は淘汰される。
 また、消費者金融業社と提携している企業は、困難な状況に晒される
 可能性が高い。そして、消費者金融からの借入れに頼っている

 中小企業は資金繰りに困窮することになるでしょう。

 

 クレディアに限って言えば、とにかくスポンサーが見つかるどうか、
 その一点である。

 見つかれば、再生計画のもと事業継続。
 見つからなければ、単独再建を目指すことになるが、債権者である

 金融機関の援助(債務免除 or 債務リスケジュール)が必要である。 

 

 また、筆頭株主のクレジット会社「ジェーシービー(JCB)」が
 筆頭株主として継続支援することを表明するのか

 (資本注入するのか?)、それとも消費者金融業から撤退するのか

 どうかなど、動向が気になる。

 
 さまざまな思惑により、株価は急落後してから乱高下するかもしれない。



 発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/