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子会社の粉飾で上方修正!?~イソライト工業~
マーケット軽視のIR
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【報道の抜粋】
11月6日、耐火断熱材のイソライト工業は、子会社で過去に在庫の
過大計上などの不適切な会計処理があったと発表。
決算内容の訂正により2003年3月期から05年3月期にかけて
連結純利益がそれぞれ2億円程度減少する。
大阪証券取引所は、同社株を監理ポストに割り当てた。
連結子会社のイソライト建材で03年3月期から05年
3月期までに在庫を4億5500万円分過大に計上し、売上原価を減ら
して利益計上を行っていた。
【会社概要】
社名 イソライト工業(大証1部)
業種 ガラス・土石製品
監査法人 あずさ監査法人
【OX理論で分析】
OX格付 AA【76】(2006年3月連結決算)
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イソライト工業(分析表1)
http://www.ox-standard.com/analysis/pdf/isolite.pdf
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イソライト建材の分析については、Alarm受託分析サービスを
ご利用ください。
http://www.ox-standard.com/campaign/bunseki.html
【驚きの上方修正】
11月6日、イソライト工業は子会社の粉飾発覚により、
即日で監理ポストに割り当てられました。
『業績に影響を与える事象の発生について』と題された開示情報に
よれば、売上高-6800万円、経常利益-5億3300万円、
当期純利益-6億3300万円の影響があるとされていました。
(※数字は、過去4年分の決算書における影響額合計)。
11月7日、当然の如く株価はストップ安。
しかし、マーケットが閉まってまもなく驚きの情報が開示されました。
『平成19年3月期業績予想・修正』と題されたタイトルを見て、
「直感的に下方修正の発表」と思った所、
内容は"大幅な上方修正"!
連結で増加率が売上高10.9%、経常利益 50.8%、
当期純利益290.5%と発表されました。
つまり、純利益が約3倍の上方修正です。
子会社の粉飾で業績にマイナスの影響があると発表した翌日、
しかもマーケットが閉まった後に、大幅な上方修正の発表。
多数の投資家は、粉飾の発表後に株を損切りしています。
上方修正の発表に投資家は怒り心頭でしょう。
≪上方修正までの流れ≫
11月6日 『業績に影響を与える事象の発生について』
http://www.isolite.co.jp/about/20061106a.pdf
子会社の粉飾について発表
↓
監理ポストへ割り当て
↓
11月7日 マーケットでは売り気配からスタート
↓
ストップ安で終了(株価313円→238円)
↓
15時10分 過年度決算短信(連結・単体)の訂正発表について
8年間にも及ぶ決算書を修正
http://www.isolite.co.jp/about/20061107.pdf
↓
15時10分 平成19年3月期業績予想・修正
上方修正の発表
http://www.isolite.co.jp/about/20061107b.pdf
↓
11月8日 株価238円→277円
↓
11月9日 株価277円→287円
※情報源
大阪証券取引所
http://www.ose.or.jp/listed/lc_jkdt.shtml?cp_code=5358
イソライト工業HP
http://www.isolite.co.jp/about/indication.htm
【イソライト工業の親会社の責任は?】
今回の問題は、親会社であるイソライト工業と子会社の
イソライト建材の2社間の問題であるかの如く報道されています。
なぜか、イソライト工業の親会社について触れる報道は一切ありま
せん。その親会社は東証1部上場企業の品川白煉瓦です。
子会社の管理責任という点では、品川白煉瓦にはイソライト工業と
同様に、もしくはそれ以上に責任があると思われます。
また、今回注目すべきは監査法人の存在です。
調べてみると品川白煉瓦及びイソライト工業の監査法人は、
あずさ監査法人でした。
推測ですがイソライト建材の粉飾に気付いたあずさ監査法人が、
イソライト工業よりも先に品川白煉瓦に通告したかもしれません。
連結子会社の子会社の粉飾は親会社である品川白煉瓦にとっては
大問題のはずです。
つまり、あずさ監査法人の指摘に従い、品川白煉瓦がイソライト工業
に対応を指導したのではないでしょうか。
【損害賠償請求の可能性】
おそらく、イソライト工業は販売先にトヨタ自動車があることから、
もともと業績は良かったのでしょう。
しかし、子会社の粉飾が発覚し、業績にマイナスの影響がある
ことを発表した後に上方修正を発表する行為は、投資家を軽ん
じています。
株価の値下がり分の損失については、訴訟されても不思議では
ありません。
一方で、子会社粉飾発表後に株を購入した人は、
大儲けしているはずです。
逆にインサイダー情報の疑惑に晒されるかもしれませんが。
発行元 オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/