チャルメラ争奪戦の行方 | OX理論が測る企業価値

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26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

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 チャルメラ争奪戦の行方~日清 vs スティール・パートナーズ~

 

 商社がM&Aのキープレイヤーに

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 【報道概要】
 日清食品は16日から明星食品への友好的TOBを開始した。

 これに先立って敵対的TOBを仕掛けていた米投資ファンドの

 スティールパートナーズの動きが注目されている。




 【米系投資ファンド】
 スティール・パートナーズは米系投資ファンドゆえに、

 実体はわかりません。

 しかし、一般的にファンドは、投資家から集めた資金を

 独自のロジックに基づいて投資し、その投資先から上がる売却益や

 配当などを投資家に分配することを生業としています。

 言葉は悪いかもしれませんが、"法に則った物言う村上ファンド"と

 いった所でしょう。


 
 【日清と明星】
 一方で日清と明星は両社ともに上場しており、OX格付でも

 優良の部類にカテゴライズされます。

 

 日清食品 OX格付       AAA【90】(2006年3月連結決算)
 明星食品 OX格付       AA【78】(2005年9月連結決算)


 
 【スティール・パートナーズが共通の株主?】
 あまり報道されていませんが、スティール・パートナーズは

 明星食品のみならず日清食品の株主でもあります。



 ≪明星:株主構成≫                ≪割合≫
 1.スティール・パートナーズ            23.1%
 2.星村                          8.7%
 3.菱食                          4.5%
 4.自社                          3.0%
 5.榎本武平商店                   2.9%
 6.ゴールドマン・サックス              2.4%
 7.三菱商事                       2.4%
 8.日本トラスティ・サービス信託          2.3%
 9.東京海上日動火災                 1.9%
 10.日本生命                     1.5%

  

 ≪日清:株主構成≫                ≪割合≫
 1.安藤スポーツ・食文化振興財財団       7.4%
 2.スティールパートナーズ             5.8%
 3.三菱商事                      5.0%
4.自社                         4.7%
 5.安藤インターナショナル              3.2%
 6.モルガン・スタンレー               3.1%
 7.みずほコーポレート銀行             3.1%
 8.日本トラスティ・サービス信託          3.0%
 9.三菱東京UFJ銀行                2.8%
 10.日本トラスティ・サービス信託(伊藤忠)   2.8% 
 


 スティールは、TOBを仕掛けていますが、ファンドという生業から

 考えると単独で経営を掌握する気はないでしょう。

 見掛け倒しのTOBと言って差し支えないと思われます。

 

 一説によれば、スティールが日清によるTOBに応じると、

 30億円程度の差益がでるという話です。

 "普通"のファンドならば、利益が確保できるときに確実に益出し

 するでしょう。ただ、スティールが保有し続けることにより、

 これ以上のメリット(利益)が見込めると考えるならば別ですが。



 ※
 飛躍した考えですが、30億円の投資利益を得た場合、

 時期を見計らって日清株購入に割り当て、日清に対する影響力を

 高めるかもしれません。



 【気になる三菱商事の存在】
 王子製紙が北越製紙にTOBを仕掛けたとき、最終的に鍵を握って

 いたのは、三菱商事でした。三菱商事が北越の第三者割当増資に

 応じたことにより、王子の敗北は決定したと言えます。

 また、日本製紙とレンゴーの提携に住友商事が加わるという

 ニュースもあります。

 
 業績の回復にともなって、さまざまなノウハウを持つ商社が、

 M&A市場においてキープレイヤーとして絶大な力を

 発揮しはじめた。今回の件も三菱商事(三菱グループ)が鍵を握る

 可能性があります。



発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/