━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
チャルメラ争奪戦の行方~日清 vs スティール・パートナーズ~
商社がM&Aのキープレイヤーに
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【報道概要】
日清食品は16日から明星食品への友好的TOBを開始した。
これに先立って敵対的TOBを仕掛けていた米投資ファンドの
スティールパートナーズの動きが注目されている。
【米系投資ファンド】
スティール・パートナーズは米系投資ファンドゆえに、
実体はわかりません。
しかし、一般的にファンドは、投資家から集めた資金を
独自のロジックに基づいて投資し、その投資先から上がる売却益や
配当などを投資家に分配することを生業としています。
言葉は悪いかもしれませんが、"法に則った物言う村上ファンド"と
いった所でしょう。
【日清と明星】
一方で日清と明星は両社ともに上場しており、OX格付でも
優良の部類にカテゴライズされます。
日清食品 OX格付 AAA【90】(2006年3月連結決算)
明星食品 OX格付 AA【78】(2005年9月連結決算)
【スティール・パートナーズが共通の株主?】
あまり報道されていませんが、スティール・パートナーズは
明星食品のみならず日清食品の株主でもあります。
≪明星:株主構成≫ ≪割合≫
1.スティール・パートナーズ 23.1%
2.星村 8.7%
3.菱食 4.5%
4.自社 3.0%
5.榎本武平商店 2.9%
6.ゴールドマン・サックス 2.4%
7.三菱商事 2.4%
8.日本トラスティ・サービス信託 2.3%
9.東京海上日動火災 1.9%
10.日本生命 1.5%
≪日清:株主構成≫ ≪割合≫
1.安藤スポーツ・食文化振興財財団 7.4%
2.スティールパートナーズ 5.8%
3.三菱商事 5.0%
4.自社 4.7%
5.安藤インターナショナル 3.2%
6.モルガン・スタンレー 3.1%
7.みずほコーポレート銀行 3.1%
8.日本トラスティ・サービス信託 3.0%
9.三菱東京UFJ銀行 2.8%
10.日本トラスティ・サービス信託(伊藤忠) 2.8%
スティールは、TOBを仕掛けていますが、ファンドという生業から
考えると単独で経営を掌握する気はないでしょう。
見掛け倒しのTOBと言って差し支えないと思われます。
一説によれば、スティールが日清によるTOBに応じると、
30億円程度の差益がでるという話です。
"普通"のファンドならば、利益が確保できるときに確実に益出し
するでしょう。ただ、スティールが保有し続けることにより、
これ以上のメリット(利益)が見込めると考えるならば別ですが。
※
飛躍した考えですが、30億円の投資利益を得た場合、
時期を見計らって日清株購入に割り当て、日清に対する影響力を
高めるかもしれません。
【気になる三菱商事の存在】
王子製紙が北越製紙にTOBを仕掛けたとき、最終的に鍵を握って
いたのは、三菱商事でした。三菱商事が北越の第三者割当増資に
応じたことにより、王子の敗北は決定したと言えます。
また、日本製紙とレンゴーの提携に住友商事が加わるという
ニュースもあります。
業績の回復にともなって、さまざまなノウハウを持つ商社が、
M&A市場においてキープレイヤーとして絶大な力を
発揮しはじめた。今回の件も三菱商事(三菱グループ)が鍵を握る
可能性があります。
発行元 オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/