雑誌『文藝春秋』の企画による歴史座談会がありました。出席者は古代が倉本一宏氏、戦国が私、幕末・維新が中村彰彦氏、近代が半藤一利氏です。古代・中世が研究者、それ以外が作家・評論家というのも何か妙な組み合わせですが、話は史料論で盛りあがりました。その内容は雑誌が出てのお楽しみとして下さい。
どこまで雑誌に載るかわかりませんが、中村さんから、「ところで、『武功夜話』は専門家からみてどうですか」と質問されました。中村さんは戦国武将ものも小説にしているので、前から聞きたいと思っていたようです。
私は、「偽書といっている人もいるが、偽書ではない」と前置きして、『武功夜話』の史料的性格について説明し、「使える部分は多い」という話をしました。というのは、戦国史研究者の中に、「『信長公記』に書いてないから……」と、『信長公記』に書かれていないことを理由にいろいろなできごとを否定してかかる傾向があるからです。永禄9年(1566)の墨俣城築城否定などはその例といってよいかもしれません。
新人物往来社から刊行された21巻本の『武功夜話』は幕末に書かれたもので、それ以前の3巻本、5巻本の方が史料的価値は高いと思ってい ます。21巻本は、かなり創作された話が入っているように思われます。