どうも( ^_^)/
不満があった者です。
何かというと『マーベル・シネマティック・ユニバース』つまり『アベンジャーズ』シリーズにおける『マイティ・ソー』の扱いです。
劇場で観られなかったのでDVDで観たんですが、どうも期待値にあった作品ではなかった。
文字通り神の如き力を振るうソーとその仲間、そしてヴィランとなるロキとの人知を超えた戦いがメインになっている割には、規模が小さい。
そこまで深いストーリーがあるわけでもない、一つのエンタメ作品なので、結果的に内容がこじんまりとまとまってしまうということはあるでしょう。
しかし、それにしたってもうちょっとハッタリの利かせ方はあったんじゃないかと思ったのです。
もっと群衆が逃げ惑うとか、巨大な建造物が砂のように壊れていく様とか。
突然ニューメキシコに現れたコスプレ集団がわさわさ暴れて帰っていきました、ではあまりにも寂しいじゃないか、と。
あと、神の国アスガルドも、迫力不足に感じました。
偉大な神の統治する国ならば、もっとこう、作り込まれたVFXでドカーンと見せられなかったのかと。
一番の不満点は『マイティ・ソー』自体が単なる“キャラ見せ”映画になってしまっているのではないかということでした。
『アベンジャーズ』における重要なヴィラン(敵役)であるロキ、そして『アベンジャーズ』のメンバー、ホークアイを“本編”前に見せておきたかっただけなのではないかと思ってしまった。
一つ一つが独立した映画として楽しめるアベンジャーズ・シリーズの中で、『マイティ・ソー』だけが前日譚のように観られてしまった。
基本的にイマイチと思った映画はブログには書かないので前作はスルーしていました。つまり、今回ここに書いているということは、面白かったということです。
ええ、満足です。
マイティ・ソー ダークワールド/THOR The Dark World
とあるシーンがあります。
今回のヴィランであるダークエルフのボス・マレキスとソーが街中で戦っている中、その様子を撮影している男にヒロインのジェーン・フォスターが「早く逃げなさい」と言う。しかし男は
「だってソーがハンマー振り回してるんだぜ」
と言ってスマホを手放さない。
アメコミスーパーヒーロー物の一般市民など、言ってみればアクションゲームの破壊可能オブジェクトのようなものです。
基本的に主人公とその周りの人間以外は介入不可だし、それなら野次馬根性丸出しで観ていた方が面白いというものです。
このセリフはエンタメ作品におけるメタ発言に過ぎませんが、少し考えると、この作品が伝えたいことが見えてくるような気がします。
数千年前、ソーの祖父であるアスガルドの王によって攻め滅ぼされたダークエルフが復讐心を秘めてアスガルドに攻め込む。
ソーの父オーディンは迎え撃とうとするがソーは反対する
「あなたのやっていることはマキレスと何が違う」
と、それに対しオーディンはこう返す。
「奴は敗れ、私は勝つ」
“勝利こそ正義”は人類史が築いてきた絶対普遍の最強ロジックであり、そうやって世界は破壊しては創造し、戦争の後の平和を喜んできました。そしてうんざりしてきました。
そんなうんざりロジックを5千年も生きてきたオーディンが口走ることで我々はさらにうんざりし
「こりゃもうどうにもならんね」
と難しい思考を止め、迫力満点のアクション映画に没入していくというわけです。
「あ、ソーが戦ってるわ、せっかくだから写真撮ってLINEに載せよ」
(^ω^ )……。
それにしても神の国の皆さんは一様に人間臭い描写が為されます(急ハンドル)。
先述したオーディンもそうだし、神換算で行けば一瞬で死んでしまうジェーンに惚れたソーも、王子として冷徹になり切れない青臭さを醸し出します。
そして一番強烈なのがロキです。
養子であり、邪神であり、反逆者でありながら王の息子でもあり、母である王妃と同じく幻術を得意とし、アスガルドを滅ぼしたいと言いつつ王にもなりたいと言う。
憎しみと愛しさ、正しさと間違いなどが共存している状態のことをアンビバレントと言いますが、まさにロキはアンビバレントの塊。
最早自分自身でも何がしたいのか分かっていないのではないかと思えるほどです。
彼は幻術によって他者を惑わしますが、最も惑わされているのは彼自身ではないかと思いました。
前作では「何のためのナタリー・ポートマンだ」と憤りを感じたヒロインもしっかり物語の中枢に絡み、アスガルドとダークエルフ軍のスター・ウォーズばりの戦闘描写やドッグファイトや美しい街の全景なども見られて迫力十分です。
色んな意味で面白いロンドン市街での決戦も、イカレ学者エリックとその仲間たちのイカレたやり取りも笑えました。
少なくない苦情が入ったのか上映前に『エンドロール後も続きがあります』というアナウンスがあったのにエンドロールで席を立つ連中がいたのが理解できませんでしたが、絶対に最後まで観てください。
面白いです、是非。
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