楕円球空間 -59ページ目

最近読んだ本

あまり時間がなくて進まないが、いくつか。

1.「夏の嘘」(ベルンハルト・シュリンク)
よかったり今ひとつだったりするシュリンク。今回の新作短篇集は「よかった」ほう。特に「リューゲン島のヨハン・セバスティアン・バッハ」は余韻があり秀逸。もちろん短篇集なのでよい短編も今ひとつの短編もあるが、全般に雰囲気のある、余韻を感じさせる作品が多く満足。

2.「永続敗戦論」(白井聡)
A新聞のインタビューが激辛で素晴らしかったので即購入。ここ数年読んだ社会科学系の本の中でずば抜けた破壊力と重さと批判精神に富んだ名作、と断言。自分がうっすらと感じていた「タカ派の連中はなんでアメリカ大好きなのに憲法だけ目の敵にして逆鱗に触れようとするのか」を論理的に解読させてくれた。これですっきりした。1億日本人必読の書と断言。心配なのは著者のアカデミック界での今後。これだけいろいろなものを敵に回してしまってポスト、大丈夫かな、と。でも彗星の如く登場した期待の星、という感じだ。

他には「東大の数学入試問題を楽しむ」(長岡亮介)は読み物として読んで楽しめた。まぁそこまで神格化しなくてもいい、っていう気はするけど。なんだか受験数学をもう一度見なおしてみて当時の自分のアホさと賢さを確認したくなった。

疾風怒濤

11日以来、疾風怒濤の日々だったがようやく先が見えてきた。

今回の一件では日本的なものと個人主義的なものの相克がよく見えた。老人はやはり老人だし、若くても脳みそはヨボヨボの老人、っていうのもある。老いて分別を持ち、謙虚に大所高所から意見できる人は理想だが、実際の老人は全然そんなことない。というわけでここの領域は完全に終わっている感じだ。

自分はもう付き合いきれないので(まぁここに来たときから付き合いきれない感じはあったが)、粛々と自分の道を行かせてもらう。茨の道を選ぶのはいつものことだけど、今回は人生で一番の茨の道かな、と。まぁ現状維持を選んで後悔したくないので決断は正しかったと思う。

なんだか

気づいたら7月。

今年は長いような短いような不思議な年。もう半年経過、という気もするが、一方でものすごくのんびり時間が経過しているようにも思う。まぁ秋からは急加速して時間が経過するんだろうから、今は十分のんびりと体力をつけていきたいところ、なんだが、実際は大学関連業務やらなんやらで結構雑用が多く、おまけに学会員でもないのに学会の座長に指名されたりもう大変だ。

今週後半からは怒涛の日々が始まって短期決戦でいろいろ処理しないといけないことばっかりなので気合を入れていく。それまでは粛々と日々を送るのでまるで真珠湾に密かに接近していく聯合艦隊みたいだ。

復帰

オケに復帰した。

5月のOB会であまりに弾けなさすぎる醜態だったので一念発起。ここでやらないとこの先本当に復帰できなくなる!と以前から誘ってもらっていた先輩が団長をしているオケに入団。

一応市民オケだが自分の周りの代の先輩後輩が多く、おまけに下振りの指揮者は2人とも1こ上の先輩でまるで大学オケのよう。曲目は「真夏の夜の夢」「ばらの騎士組曲」「シューマン2番」と綺麗すぎるくらい綺麗な組み合わせ。リハビリにはややキツイ曲もあるがなんとか指を解凍中。少しは動くようになってきたか・・・?

部屋でも弾きたいのだがあいにく仕事が忙しすぎ(研究というよりも雑用メイン)て無理。それでもようやく落ち着きつつあるので計算をしっかりやって勉強もしっかりやって、合間に練習でもしたいものだ。

最近の読書から

2013年はずっと多忙で本もまともに読めなかったが、いくつか。

1.「知の逆転」(吉成真由美編)
ジャレッド・ダイアモンドやノーム・チョムスキー、ジェームズ・ワトソンなど、いわば誰でも知っている知の巨人というやつにインタビューしたまとめ本。物理系の人がいない、編者の前書きが鼻につく反面インタビューの切れ込みは大甘、とか突っ込みどころは多いものの、さすがにインタビューされるサイドの研究哲学というか筋の通った意見は大変おもしろい。最後に「お薦めの本3冊」というのがあって、理系の人がSFを薦めてくるところがなんだかなぁ(ダイアモンドが推薦書が一番よい)という感じでこれではまるでサイエンスは二級の学問みたいだ。まぁ学問の基礎は哲学なんでしょうがないのかもしれないが。

2.「白雪姫には死んでもらう」(ネレ・ノイハウス)
前作(和訳された、という意味で)の「深い疵」がなかなかよかったので新作をいち早くゲット。機内で速攻読んでみた。今回もドイツ好きには十分楽しめる内容。前作のほうがスケールが大きかったがそれはテーマがそうなのであって、今回はむしろ田舎の、湿度の高く、息が詰まる、せま~い世界観がうまく生かされていた。これでシリーズの3,4作目が翻訳されたことになるので、残りも急いで訳してもらいたい。

3.「超ヤバイ経済学」(スティーブン・レヴィット他)
これも前作「ヤバイ経済学」が自分の好みにばっちりあったのですぐに購入。ちなみに前作は2007年出版だが、統計データから相撲には明らかに八百長がある(7勝7敗の力士の勝率が1割以上跳ね上がること、経済学的に見て明らかなインセンティブがあること)を喝破して後の大騒動のときに内心大笑いしたものだ。今回はネタのレベルがやや下がり気味で前作ほどじゃないが、それでもシカゴの娼婦の活動を経済学の観点から調査・解析したchapterはさすがこの人ならではだな、と関心。結局人間はなんでも自分の得になるように動く、というどうしようもない結論に落ち着いてしまうところでがっかりしちゃうが。

セミナーをして帰国

月曜は朝からたっぷり議論をして、2時からセミナー。

議論は有益でアイディアは尽きず。セミナーは40人くらい来てくれて質疑も盛り上がった。そのあとキャヴェンディッシュのラボツアーで、歴代ノーベル賞受賞者の紹介パネルに見入り、マクスウェルの仕事机をみて驚き・・・。まぁここは物理学の歴史が詰まったところだしな、と納得。自分が以前にいたドイツの研究所にもノーベル賞受賞者が現役でいたが、歴代この1人(まぁ歴史も浅いので)。さすがイングランドは違うな、と。

夕方からパブでポスドクやH社ケンブリッジ研究所の方とビールを呑みながら(いったいケンブリッジで何杯呑んだことやら)歓談。若い世代はどんどん海外で学位を取る人が増えてきて頼もしいというかよきライバルというか刺激になる。中年世代も負けてられん、と。毎年1ヶ月くらい来て実験したり議論したりして過ごすことを企画して22時くらいに終了。

翌朝は4時に起きてロンドン経由フランクフルト。飛行機が遅れて着いたのが日本行きの便の搭乗が始まる5分前。空港内をダッシュし駆け込んで帰国。日本では既に雑用が待ってるがまぁいいや。

パンティングと物理

キャヴェンディッシュ研究所のホストのK.H.さんとW.S.さんとお昼を食べ、Darwin Colledgeで船を借りてケム川パンティング。

単純な作用反作用の法則なんだが、まっすぐ進むのは予想以上に難しい。1点だけまっすぐ進むポイントがあるんだが、棒が木製で浮力が強く、同じポイントに持ってくるのが意外と難しい。Kさんはさすが在住8年なのでうまい。自分はゴール目前のキングズ・カレッジ裏で脱落。左肩が既に筋肉痛(笑い)。

舟ではのんびり研究や物理の話し。さらに場所をThe Eagleに移してビール呑みながらずっと物理の話し。と、隣には生化学でポスドクをしているという日本人研究者が来て、DNAシークエンシングの話しをいろいろ教えてもらう。在住者でDNA Mtgをやることが決定される様を観察するに、小さな街の大学の良さはここだな、と。以前は京都もこんなかんじで異分野の教員同士が百万遍で呑みながらいろいろ話して研究が進んだ、といわれるが、ケンブリッジは800年この伝統を維持している、という印象。キャヴェンディッシュ研究所は30年前に郊外に移転してからノーベル賞の打率が落ちたのもそれが理由だ、と言われているらしい。

今日は研究所でコロキウムをやってラボを見せてもらって、あといろいろ実験の細かい話しを教えてもらう予定。

ケンブリッジ到着

長旅だったが無事到着。

リヨンからフランクフルト、ロンドン。さらに地下鉄の工事で途中振替輸送のバスにのり、コヴェント・ガーデン近くで激混みになり、それに負けずキングズ・クロス駅まで行き、ダッシュでケンブリッジ行きの電車に乗り到着。

電車の向いの席にはいかにもケンブリッジの学生!という若者がのっていて、ケンブリッジで降りて大学のほうに歩いていった。通路を挟んで反対の席のもっさい女子学生は必死で何か勉強していて、オジサンに「何勉強してるの?」と聞かれ「マテリアルサイエンス・・」と答えると、オジサンは「ケンブリッジ?」、学生ははにかみながら「Ph.D.の1年目・・・」と誇らしいような照れるような、という微笑ましいお返事。まるで京都のおっさんやおばさんが勉強してる学生に「京大いってはるん?」と不躾に質問し「えぇ、まぁ、一応・・」というやり取りがされる、みたいな。

宿に着き、24年ぶりのケンブリッジを散策。お約束でThe EagleでビールとFish & Chips。ケンブリッジは涼しいというより寒い、という感じ。明日は観光しながらしっかり講演準備だ。

今日は

ケンブリッジに移動するために前日の昨日はリヨンに再移動。

リヨンは予想に反してクソ暑い。夏だ、こりゃ。さすがに日が陰ると涼しくなるけど・・・。

リヨンは美食の街、といわれるのでホテル近くのブションで早速トライ。どうもリヨン人はモツ系が好きなようで、仰天するようなメニューまである。牛の頭の煮込み、とか(Tete du veauとかいうやつで、脳みそまで入っているそうだ)。モツ系は遠慮したいので別のチョイスにしたが、特別に凝ったものではないのに味付けが絶妙で、ハウスワインのチョイスも料理にあうようになっている。

時間が少しあったので街の西の丘にあるノートルダム教会とローマ遺跡・博物館に行ったが、これは一見の価値あり。教会はビザンチン様式で(正直ゴテゴテ)、フランスカトリックの1つのあり方か、と。街中のサン・ジャン教会やグルノーブルのノートルダム教会とは対極にあった。ローマ遺跡・博物館は人間がいかにこの2000年進歩していないか、逆にいえばローマ人がいかに偉大であるかを肌で実感した。

明日はキャヴェンディッシュ研究所の知り合いと議論して少し観光。月曜にはコロキウムでこれには全力でぶつかる予定。

今年3回め

の海外出張中。今はグルノーブルにいる。

昨日飛行機を乗り継いでリヨンに到着。年々飛行機移動そのものがつらくなる(苦笑)。リヨンは便利なところで飛行場から30分トラムにのると中央駅。ホテルは駅前にしたのでチェックインしてシャワーを浴びたら速攻就寝。

睡眠薬とビタミン剤の組み合わせが聞いたのか熟睡でき、しかも昼間にあまり眠くならない。グルノーブルに移動し強磁場研究所を訪問。以前から親しいフランス人研究者のグループでセミナーをたっぷり1時間強やって山ほど質問を受け、さらに周囲の研究施設を訪問させてもらって交流を深める。

グルノーブルは山に囲まれたいい街で、木陰でランチすると失神しそうに気持ちいい(笑い)。研究所もすごい設備と予算で、これはいいところだ、と。唯一の問題は市内の強烈な渋滞かな。ホテル前の路地まで渋滞してる。ディナーは19時半からなんだがホストのM.J.さんは無事に来られるかな?