匝文俳諧/しりとり駅伝双六 井堰(ゐせき)——滔々(たうたう)の | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。



ゐ——の 

堰越え/白露のうねり/滔々の         (仲秋)
 ゐせきこえ はくろのうねり たうたうの
農淘汰/利尿の緑葉/え濃き所為        (仲夏)

季語:白露・仲秋。緑濃き・仲夏。
堰(いせき):用水をせき止める装置。せき。
淘汰(とうた):水で洗って選り分けること。①自然環境の中で見られる適者生存の現象。②無駄なものを取り除くこと。
え:①不可能。②可能。動詞「う(得)」の連用形からできた副詞で、後に来る言葉で意味が正反対に定まる不思議なニホンゴ。ここでは②。去就不分明の言葉がニホンゴにはたくさんあります。「やばい」もその系列。

 堰止めを超えて秋の白露を集めた水が溢れ、滔々と早い。
 農は自然淘汰を手伝ってやることだと思う。漢方利尿効果のあ
る緑茶も手入れが良いとちゃんと緑濃く応えてくれるのだ。

いろは歌は、本居宣長も『鈴屋集』(巻五)に残していて、漢字交じりにすると、
雨降れば 井堰を超ゆる
水わけて やすく諸びと
下り立ち 植えしむら苗
その稲よ まほに栄えぬ

を換骨奪胎(かんこつだったい)しました。第一句がその本歌取りです。
ごらんのように本居歌は、いろは歌とおなじように「ん」がありません。仮名文字に「ん」が加えられたのは、後のことで当時は無かったのです。現代で是正され48字になりました。いろは歌が抵抗の武器になったとは何とも皮肉なものです。
「露」は魅力的な題材なので次回も「露」でやりたいのです。秋の句は3~5句の決まりなので、せっかくの仲秋も素秋(すあき)となりそうです。すあきはマズイ…

うんうんうなりながら工夫していると、「ぶりかえしましたか?」と家人が言いました。なにがなんでも明後日には風呂に入るぞ、と決心しました。