匝文俳諧/メビウス連句しりとり式駅伝双六 まえがき(3/3) | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

(まえがきつづく)
全体96句(オモテ48句ウラ48句)を連句の式目にならい、季節の移りに沿って連鎖しています。
「96」のカタチは、奇しくもメビウス・バンドのウラオモテのカタチを表徴しています。 

季節の推移は、連句の式目(しきもく)(ルール)を参考にしています。
句数(くかず)(季節が続く限度)は、「春」「秋」3~5句、「夏」「冬」1~3句。去嫌(さりぎらい)(同じ季節が現れる離間)は、「春」「秋」5句、「夏」「冬」2句。

歴史的仮名遣いを用いますが、例えば「蝶」をチョウよりもテフとする、こちらのほうが現代ではエキセントリックで魅力的だとする美学によるものです。

「雑(ぞう)」は連句に於いて、季節の推移の急激な変化を避けるときや、去嫌の都合などに用いられる重要な「無季」ですが、ここでは一服する程度の扱いでしかありません。鍬の泥を落としたり、網の手入れをするコーナーといったところ、でしょうか。
テーマは神祇・釈教・恋・無常・懐旧・軍事・怪奇・病体など自由ですが、鬼・龍・虎・女など強い語句は一巻一句にかぎられています。「富士」も同様に扱うべきでしょう。「不二」というぐらいだし…⁉

 こういう具合にいろいろシバリを作ると、その分、難しくなりますがそれだけにクリアしたときの喜びは深いのです。
シバリ(ルール)の無いゲームはありません。ピンポンでもゴルフでもあらゆるスポーツがそれぞれのシバリの前提の下で成り立っています。


* 見かた(設例)
 
(いーろ)

磯かまど/岩と乳焼き/ゆく海路    (晩春)
いそかまど いはとちちやき ゆくかいろ
櫓五十日悔ゆ/木屋遅々と盃/苫が粗衣  (雑)
ろいかくゆ きやちちとはい とまがそい

季語:磯かまど・晩春。(雑)は無季です。

○一行目。テーマです。「い」ではじまって「ろ」でおわる俳句であることを示す「見出し」です。
○二行目と四行目。俳句本体。それぞれ正読みと逆読みの意味をあらわす漢字まじり文、本文です。
○三行目。正読み句の詠み方(よみがな)です。逆読みはこれを終わりから逆行してください(四行目のように)。
○あとは「季語」の行と語彙の説明、「状景」の順で記事が続きます。

* 参考文献
作句の過程ではムリヤリこじつけることは避けて「辞典に記載されている(国語として認められている)」コトバによることにしました。使った辞典は、
大辞林 松村明編/三省堂刊
岩波古語辞典 大野晋・佐竹昭広・前田金五郎編/岩波書店刊
連句辞典 東明雅・杉内徒司・大畑健治/東京堂出版刊
俳句歳時記 秋元不死男・原田種茅・志摩芳次郎編/角川書店刊

———ではどうぞごらんください。

回文俳句と匝文俳句とどちらがムズカシいかと訊かれるのですが、匝文俳句のほうがいくらか難度が高いのではないでしょうか。そうでないかもしれません。私にはまだよくわかりません。英語ではパリンドローム(回文)よりシモードニラップ(匝文)のほうが作例が遥かに少ないように思います。

次回から実作に入ります。