逆から読むと隣の俳句になるというケレンをやっています。始めたら面白くて…7組目。題して、「ススキとレガッタ」。
○ばうばうた/たつかれすすき/わたるかぜ
茫々汰/立つ枯れすすき/渡る風
急かる撓/接触(キス)すレガッタ/逃亡派
汰(た):程度を過ぎる。
撓(たわ):【名詞】①(山の)鞍部。②髪の寝ぐせ。③たわわ。
レガッタ:ボート・ヨットの競漕。
果てしなく広がる枯れすすき——わたる秋風。
河では、急ぐオールを敵のオールに当て逃げしたほうが勝ったというシーズンオフのレガッタレース。
このセットには欠陥があります。欠陥というほどではありませんが、まあ、俳句として好ましくないというか、好まれないというか……。体言留(たいげんどめ)オンパレードな点です。
体言留は切れの常道、で、俳句の俳風たる奥の手ですが、使い過ぎると活力が失せ、平板になるのを嫌うのです。
芭蕉とも親交があった、江戸時代前期の俳人山口素堂の句に
目には青葉 山郭公 初松魚
———めにはあおば/やまほととぎす/はつがつお
があります。ムカシはよかったが今はダメという芭蕉お墨付きの「名句」ですが、どこが×かというと、ひとつは、「青葉・ほととぎす・初鰹」はいずれも夏の季語です。季重なりはご法度です。二つ目の×が、名詞止(体言留)オンリーなのです。「渡る風」をひっくり返して「風渡る」にすれば即解決ですが。ひっくり返せないのが、つらいところです。
ごきげんよう!