回文俳句は、前から読んでも、あとから読んでも、同じ文句になる俳句のことですが、趣向を変えてガラリと別の景になる句を作っています。掛け合い漫才の俳句版です。ではどうぞ。
○とんぷくの/でじたぐをらば/やちにつぼ
頓服の/デジタグ折らば/八千に経穴
没日や/腹を下して/退くブント
頓服(とんぷく):頓服薬。腹下しの薬のことと思っていたが然に非ず、服用の粉薬一回ごとの分包のことだったのでした。
八千(やち):たくさん。
経穴(つぼ):灸をすえるなどの漢方治療の要点。
没日(ぼつにち):陰陽道で、すべてのことを凶とする日。もつにち。
ブント:Bund【ドイツ語】連合。同盟。全学連用語。共産主義者同盟の略称。
トンプクと赤チンしかない野戦病院。でもないよりましさ、我らにとっては。現代の薬局ならタグをレジまでお持ちください、というところだけど、機動隊に囲まれている以上そうはいかぬ。テントに持ち込んだ置き薬の、五角形に折りたたんだ薬包をこぼさぬように広げれば、たくさんのツボにいっぺんにお灸をすえたようなような効き目があるってわけ。
どうしようもない厄日だぜ、今日は。座り込み闘争のピケはおなか壊してはお手上げ。ピケ闘争は後事を託して早退。
オナカ壊したら、どんなに偉いヒトでもアウトです。会議や式典がどんなに重要でもトイレが最優先です。ムカシは、原因のわからない(従って治療方法がわからない)病気だらけだったので、病名は「~カタル」という名前がたくさんありました。
因みに、ウロの眼病はトラホーム(トラコーマ)だから手術しますと言われて赤い「手術中」ランプが点いて手術を始めてから、誤診に気付いて手術中止。という事件を経験しました。正しい病名が「春季カタル」です。つまり、何の病気か医者にわからないということです。カタルは漢字で「加答児」。青年になって再発したときに久留米医大の眼科で「春季加答児」の症例として学生に見せるから治療費はタダでいいということになって…
その時は何人の医学生にアカンベをしたことか…
いまはナントカ症候群というようになりましたが当時は「加答児」、大腸加答児、胃加答児、膀胱加答児…
ドイツ語でしょうね。オペ、クランケ、シャーカステン…なんでもドイツ語でしたから。
寒さ、たけなわ、ですね。せめて、春季を語りましょうね。