回文短歌(順読みしても逆読みしても同じになる短歌)をつくっています。偉人をテーマにイロハ順に「う」まで来ました。
[う] 後宇多天皇
優曇華や 何の兆しか 木の神事
軒河岸さきの 虚(むな)や献灯
——うどんげや なんのきざしか きのしんじ
のきかしさきの むなやけんとう
———河岸さきの軒灯に優曇華が…。どんな変事があるのか。うどんげを大自然から神事へのささやかな献灯と見たいが、それもむなしい希望的観測というものか。
後宇多天皇(ごうだてんのう):元冦の疫(げんこうのえき)の時の天皇。大覚寺統の天皇で、持明院統の花園天皇と対立。中世日本最高の賢帝の一人。訴訟制度改革に大きな業績を残した。その政治改革は子の後醍醐の建武の中興(けんむのちゅうこう)を通して室町幕府の政策にも影響を与えている。好学の天皇だった。書道では宸翰様(しんかんよう)の名手としても知られ、『後宇多天皇宸翰御手印遺告』(大覚寺蔵)など数点の書作品が国宝に指定されている。また、和歌にも優れ、二条派(にじょうは)の有力歌人の一人。
〈いとどまた民安かれと祝ふかな 我が躬世にたつ春のはじめに〉
優曇華(うどんげ):草蜉蝣(くさかげろう)の卵。電灯の笠・天井・壁に群生している。発生が凶事の兆し又は、瑞兆とされた。俳句では晩夏の季語。
元寇は大変だったが、まだ子供だったので後見役(こうけんやく)の父が当時者となった。二度とも無事に過ぎた。優曇華よありがとう。
すこし難儀して遠回りしてやっと本道に戻ったところです。「あ」「い」「う」「え」「お」が最後に来る日本語は少ないのです。「あ」は、「足跡」で始まって「アジア」で終える離れ業、「え」は、「枝」に始まって「絶え」に終わるようにと工夫しました。今回の「うどんげ」と「献灯」はうまくいったほうですが、こんなことはめったにないことです。虚(むな)や献灯なんてとんでもない。ありがたや献灯、です。というわけで「見当をつけて検討、健闘しています。ハイ。