回文短歌(逆読みしても同じ文になる短歌)を偉人をテーマに、イロハ順に作っています。
イロハ…今日は「て」です。「て」で始め「て」で終わる趣向です。テーマは「坂田三吉」です。毎回、コジツケが多いのですが、なるべく、その人に近づけるように努力しています。
[て] 坂田三吉
伝法(でんぽふ)に 駒を崩して 締まりけり
まして沈(しづ)くを 摩(ま)姑(ご) 二歩(にふ)本手(ほんて)
———でんぽふに こまをくづして しまりけり
ましてしづくを まごにふほんて
———無茶をして形勢を悪くしてしまった。おまけに、相手は勝ちを見越して墨守(ぼくしゅ)に入ってしまった。孫の手を手にした御仁(ごじん)、この局面、最後の手段として王手を指そうにもそこが「二歩」とはなあ。
伝法(でんぽう):① 粗暴で無法な振る舞いをすること。また、その人や、そのさま。② 勇み肌であること。③ 無料見物・無銭飲食。江戸時代、浅草寺伝法院の寺男が、寺の威光(いこう)をかさにきて、無法な振る舞いをしたところから。
締まる(しまる):がっちりと自陣を固める。
沈く(しずく):意気消沈する。がっかりしてやるきを無くす。
摩姑(まご):竹などの長い柄(え)の先をフォーク状に成型した、背中を掻く棒。麻(ま)姑(こ)。爪(つま)杖(づゑ)。まごのて。中国神話に、ある仙女麻姑(マークー)の爪が鳥の爪のように長く、後漢の蔡経が痒(かゆ)いところを掻けばさぞ気持ちが良いだろうと思ったという話から。
二歩(にふ):将棋の禁じ手の一。同一縦筋上に駒の「歩(ふ)」を二個置くこと。
本手(ほんて):勝負ごとで、その局面で最も筋の通った良い手段。
坂田三吉(さかたさんきち):将棋の勝負師。「銀(ギン)が泣いている」で有名。
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「いいね!」をしてくださる方が毎回いらっしゃいますが、残念なことに「ユーザーが退会しているため表示できません」というツレナイコメントがあるばかりで、どこのどなたか、うかがい知れないケースがございます。お礼の仕様がありません。
この場を借りてひと言お詫び方々お礼申し述べる次第にございます。
もう一回「て」をやりたいと思います。将棋じゃありませんが、ツム前に妙手がありそうです。
三月の声を聞いて季節は慌てて暖かくなりました。水っ洟を垂らしてベンチに腰かけている故老が居たら、それは帰り道がわからなくなったワタシです。お手数ですが交番まで届けてください。
いい季節になりました。