回文短歌(逆読みしても同じ文になる短歌)を偉人をテーマに、イロハ順に作っています。
イロハ…今日は「ワ」です。テーマは西条八十です。
[わ] 西条八十
鶏蜱(わくも)つく 歌も忘れて かなり飲(ヤ)り
中でれす吾(わ)も 盗掘黙話
わくもつく うたもわすれて かなりヤり
なかでれすわも たうくつもくわ
———カナリアがもう歌わないという。背中が痒くて仕方がないという。そういえば昨日はこちらもしたたか飲んでへべれけになり、カラオケで持ち歌を忘れてしまったっけ。山芋を掘ったらしいが、これはナイショ。
鶏蜱(わくも):鳥類に外部寄生(きせい)し吸血する羽ダニ。ニワトリダニ。トヤダニ。
歌を忘れた金糸雀(カナリヤ):西条八十作詞「カナリヤ」。
でれす:でれ。①しまりがないさま。だらしないさま。②特に男が女に対してだらしないさま。デレ助の略。
山芋を掘る:おなじ話をいつまでも続けてくどいこと。酔っぱらいの愚痴話。
盗掘(とうくつ):断りなく他人の土地を掘って埋蔵物(まいぞうぶつ)を盗むこと。
ここでは、ワクモがカナリアの羽にもぐりこんで血を吸うこと、および、ヤマイモを掘る、の双方を兼ねる。カナリアは坑道(こうどう)の酸欠(さんけつ)を防ぐアラームでもあった。
西条八十(さいじょうやそ):仏文学者。象徴詩の詩人。歌謡曲の作詞家としても活躍し、「東京行進曲」「青い山脈」「蘇州夜曲」「王将」など無数のヒットの傑作を放った。童謡詩人・金子みすゞを最初に見出した人でもある。
短歌の折り返し点「かなりヤり」に「カナリヤ」を封じ込みました。
「わ」は難関でした。すこしバッチイですが、おそらく短歌初登場の「わくも」にしました。そのせいか体中が痒くなりました。
空気が乾燥しています。孫の手が欠かせません。では失礼して背中バリバリ…ウゥ