俳句ポスト365兼題「狐火(きつねび)」投句結果 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

俳句ポストが四月までお休みするというのでウッカリしていました。選の発表がありました。
狐火を見たことがないという出句者がおおく時代の変遷を感じました。現代は「暗闇が無い」のだと思います。それに人魂(ひとだま)も観た人が減っているのではないでしょうか。残念なことです。実験室でしか見られないというのは、動物を動物園でしか見たことがないのと同じでそれはホンモノではないからです。
8句だしました。見てください。

●狐火や座敷のなかに雨がふる     「人」位選
狐火は狐の嫁入りの行列です。きつね日和(ひより)つまり、お天気雨になるので「袂くそ」がいやに匂うな、と誰でも気が付きます。深夜、宴会からの帰り、折詰をぶら下げていると足元まで来ていてまとわりつくので歩きにくいのです。やっとうちに着いても暗い座敷のなかまで雨の音がしています。

●狐火のつつつ影なきおそろしや
狐がうちのなかから逃げ出すときに出合うことがあります。姿は無く影と気配だけなので、びっくりします。
「おそろし」というのはゾッとすることをいいます。「こはし」とはいいません。怖しというコトバは新しい言葉でむかしは「固い」ことをいいました。オソロシはオトロシ、オドロキ、オトロヘルと同源です。
オドロカスというのは、声をかけて目を覚まさせる(起こす)ことで、現代語の脅迫するという意味にはオドカスといいました。
オドロカスは、オドロオドロ(おおげさ)擬音語ではないかと思います。オドロというのは、藪棘のことだそうです。現代語も意味がどんどん変わっていって、やがてわからなくなると思うとオドロオドロではなくオトロシくなります。

●狐火やわれがねのような閑さ
狐火があると、耳鳴りがしました。血液の流れが聞こえるようになるのです。

●狐火やきのふ山窩の種火消ゆ     「人」位選
サンカ小説は三浦さんが有名ですね。池袋西口で山菜屋をやっていて漬物を買ったことがあります。60年ぐらい前の話。サンカ小説も忘れかけていたな。

●狐火や西方浄土かぞいろは
「かぞ」は父のこと、「いろは」は母のこと。ちょっと知ったかぶりをしたかった句。以前に回文俳句でつかったことがあります。逆読みはハロイソカになるので、苦心して「波路五十日」としたものです。
狐火に亡き両親を想う。

●狐火が消えてや寂し星の音
●狐火や星の宿りとなりにけり
狐火を星座と見た。見立ての句です。

●糸切れた数珠散った狐火消えた
ネックレスの紐が切れると硝子たまが飛び散って女性が死んで…ここからホラー推理小説が始まるのです。ヒュウドロドロドロ…

ってことで今回はオシマイ。