紙子身の半風糞は蚤ごみか
———かみこみの はんぷうふんは のみごみか /
紙子(かみこ):紙衣。季は冬ですが、ここでは転じて、貧しいひと。
半風(はんぷう):虱(しらみ)のこと。「風」の文字の半分だから、と古語辞典にある。…なるほど。異名は多い。白虫・東虫・千手観音・…
貧乏をしているから、縫い目(折り目?)にシラミがたかる。黒いポツポツやあとはノミのふんか袂(たもと)くそだよ。
蠅(はえ)油虫(ごきぶり)蚤(のみ)南京虫・蛆(うじ)…
まあよく拾い上げたもんだ、と思うほどあらゆる害虫が季語になっているのに、最も身近であった「シラミ」が季語ではないとは。
馬鹿にするな!と、白虫御前が怒るだろうとあげつらうのは、「シラミの皮を槍(やり)で剥ぐ」ことになりますかね。辞書でたった今おぼえたことばですが、「小さなことを処理するのにおおげさに行うことの譬え」と書いてありました。中学の漢文で習った「鶏を割くに牛刀を以てす」と同じ意味ですかね。
戦争中はシラミには泣かされました。体中がかゆいのです。戦争が終わったら、占領軍がDDTという薬剤をあたまから振りかけました。メリケン粉のように・・・近時、「DDT」は猛毒だということがわかってきたのですが。