桔梗三題 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

     墓に添う桔梗の青のつよさかな

 生前好きだった竜胆やブルーの花。見せかけばかり強がりだった妻の色。 

 うちのベランダに丹精していた鉢のうち、桔梗をえらび墓前に移植しておいた。
 
 ことしは見事に6本のホネのパラソルのような青紫色のはなを6輪、つぼみ十個を数えた。

 正式にはリンドウ科の多年草でトルコ桔梗らしい。

桔梗の季は秋なのに6月の終わりに咲いているのはおかしいと思ったら、墓の花はトルコ桔梗だったのだ。

 夢の中に妻が現れる。
 死んだはずだが…と疑ったことは一度もない。

 記憶のなかの妻よりも夢のなかの妻のほうが《現実》に見えるのは…
 なにげなく展開される残酷な事実に愕然とする。

   存在の不確実性桔梗咲く
     
   …バガテル。なのかもしれぬ桔梗咲く

bagatelle_瑣末、ささいなこと、つまらぬもの、小曲。