O 夏ということで、サザンの桑田佳祐さんあたりの話をしていきましょうかね。サザンも高校のときにTさんに教えていただいてから断片的に聴いているので、ぜひ話してみたいテーマなのですが。

 

T まずは桑田さんの魅力についてとか、そのあたりから入っていきましょうかね。

 

O 魅力というか、個人的には高校のときに聴いたということもあって、思い入れはとくに強いね。サザンの曲を聴くと高校のころを思い出すよ。

 

T 歌ってそのときの思い出を後から確認できたりするからね。惚れてた女のこととか(笑)。

 

O その女性の顔とともに曲が蘇ってくる感じとか…あ、それだと逆か(笑)。曲とともに女性の顔が蘇ってくる。とくにサザンだとベストアルバムの『海のYeah!』をT君に借りて聴いたから、あのアルバムに入ってる曲を聴くと高校時代の懐かしい感じが蘇ってくるよ。

 

T あのアルバムはJ-POP史上に残る名盤だね。何と言っても名曲ぞろいだから。

 

O 例えば『夏をあきらめて』とかを聴くと、あの受験生時代の夏を思い出したりして、それがまた何かいいんだよね。

 

T 僕も高校のころ電車通学をしながら聴いていたな。

 

O では『鎌倉物語』あたりを聴きながら、乗ってる電車を江ノ電に重ね合わせながら通学していたんですかね。

 

T いや、そこまでではないけど(笑)。

 

O そう言えば最近、桑田さんのベストが発売されてて、僕もメディアの影響を受けて思わず買ってしまったんだけど、一つ残念なことがあって、『夏の日の少年』が入ってなかったんだよね。

 

T どうせ持ってるんだからいいじゃん。

 

O たしかにシングルでは持ってるけど、ベストアルバムに入ってるのもよかったりするじゃん。あの曲もちょうど高校のころを思い出す曲だから、入ってたら嬉しかったんだけどね。

 

T そうか、あれもたしかに高校のころだったね。

 

O 『夏の日の少年』はやっぱり良い曲だと思うんだよね。歌詞にも深みがあったりして。「愛無き大人になるだけ」みたいな歌詞があったけど、大人になると失うものもあるんだとか、そんなことを思ったり。

 

T いいよね。僕も好きな曲だな。

 

O それに、あの曲には少年の傷ついた心理も表されているような気がするんだよね。サビは英詞になっているけど、たしか2番のサビを訳すと「死んだらこの苦しみから解放されるの?」みたいな歌詞になっていて、いじめ問題とか、そういう少年たちが抱える問題も表されているのかと思ったね。

 

T そういう思いも込められているのかもしれないね。

 

O で、僕は好きなんだけど、ベストには入ってなかった(笑)。

 

T (笑)。こだわるね。僕はそれと同時期の曲では『可愛いミーナ』なんかも印象に残ってるけどね。

 

O あれもいいね。『夏の日の少年』と同じシングルに入ってたよね。高校のときよく聴いたなぁ。

 

T なんと言っても、途中まではずっと良い曲で良い歌詞で来ているのに、最後の最後で下ネタが入ってきちゃうあたりが桑田さんらしいと思ったんだけど(笑)。

 

O 「イカせてよ」ってやつね(笑)。まさに桑田さんの持ち味ですね。

 

T きれいなバラード曲なのに、最後そういう終わり方かよ!って。

 

O やっぱり何かしら入れたかったのかもしれないね。

 

T え?「入れたい」(笑)?

 

O いやいや、そういう意味で言ったんじゃないから(笑)。おいたが過ぎますよ。

 

T でも下ネタは桑田さんを語る上では避けて通れない分野でしょ。桑田さんは『TSUNAMI』みたいなきれいな曲から『マンピーのG★SPOT』まで(笑)幅広くカバーされてますから。

 

O ゆりかごから墓場までって感じだね。ものすごい守備範囲の広さだ。

 

T まあ、基本的にはコメディアンバンドだと思うからね。

 

O 「コミックバンド」なんて言い方もあるよね。テレビで自分のことをそう言ってるのも見たことある気がする。でも歌を作る才能は優れていたということだね。

 

To Be Continued...

O 『不毛地帯』が放送されていたころは、毎週見て元気をもらっていたなぁ。

 

T でも視聴率はあまりよくなかったみたいだね。たしかにサラリーマンに対してのウケはいいかもしれないけど、サラリーマン世代ってあまりテレビ見ないからね。

 

O セリフに力強いものが多かったのがよかった。例えば最初の戦時中のシーンで谷川さんが言った「生きて歴史の証人になること。それこそが貴様の使命だ!」とか。

 

T あれはサントラの中の曲のタイトルにもなってるからね。『生きて歴史の証人たれ』ってのがある(笑)。『不毛地帯』は音楽も良くて、思わずサントラも買っちゃった。

 

O でも谷川さんのキャラは良かったな。最後も…

 

T 「ぴんしゃらしてるよ!」

 

O あれはどう見ても死亡フラグだよね(笑)。「お元気ですか?」と聞かれて、「あいかわらずぴんしゃらしてるよ!」と答えて、その直後死ぬっていう。

 

T 話題の振り方がいかにもそんな感じだったもんね。

 

O 僕は「ぴんしゃらしてるよ!」の段階で、「ああ、もう死ぬな」と確信したよ(笑)。本当に惜しい人を亡くしました。

 

T それと、とにかく俳優陣が豪華だったね。

 

O 柳葉敏郎なんかも出ていたね。

 

T メインな役なのかと思っていたら、4話ぐらいで出てこなくなっちゃったけど(笑)。ちなみに川又が列車に轢かれて死ぬところはドラマだとあまり描かれてないけど、小説だとけっこうグロく書かれてるんだよ。現場に行って川又の遺品を確認する場面とか。

 

O 山崎豊子さんお得意のやつですか(笑)。あの『沈まぬ太陽』の御巣鷹山編のような。『大地の子』にもけっこうそんな描写があったかな。あとは豪華キャストと言えば、竹之内豊も出ていたね。

 

T 竹之内豊は声がいいよね。

 

O 「兵頭です!ドクター!ドクターフォルジ!」

 

T (笑)。ものまねは禁止だろ。文字にしたら何もわからないし(笑)。

 

O そう?「似てる!」とか言ってくれれば、似てるのかと思ってもらえると思うけど(笑)。あとはものまねと言えば大門社長ですね。「壹岐くんの好きなようにやったらええ!」とか。

 

T あの人も一体何年社長やってるんだって感じだよね(笑)。でも大門社長の引き際の描き方はよかったと思うな。一人で会社を大きくしてきた優秀なワンマン社長も、最後は老いて衰えていってしまうと。

 

O 最後のほうの大門社長は見ていて悲しくもあったよね。自分が外へ出したはずの里井に逆にすがったりして。そう言えば、大門社長を演じた原田芳雄さんも亡くなられてしまいましたね。

 

T 大門社長の経営者としてのやり方も面白くて、壹岐や里井といった役員を互いに競わせて会社を発展させていこうとか、そういう考えがあったと思うんだよね。自分はとくに誰にも肩入れせずに。

 

O 僕はどちらかというとドラマをネタ的な部分に特化して見てしまっていたんで(笑)、あまり大門社長の経営方針とかを冷静に考えながら見たことはなかったなぁ。

 

T それに部下に自由にやらせて責任は自分がとると、そんな考えも持っていたみたいだね。

 

O やっぱり大門社長がいたからこそこのドラマは面白かったって気がするな。だから最後はどうも壹岐に負けちゃったような感じがしてちょっと残念なんだけど。結局は壹岐の石油開発のほうが成功したわけだからね。あれがもし石油は全く出なくて壹岐は失脚し、逆に大門社長の綿花相場のほうが跳ねて大門社長の大勝利って終わり方があったら、それはそれで面白いんじゃないかと思うんだが(笑)。

 

T それだとドラマとしてどうなんだろう(笑)。やっぱり大門社長を辞めさせて、それと同時に自分も身を引くという、あの壹岐の終わらせ方がいいと思うんだけど。「麒麟も老いては駑馬に劣る」とも言うし。

 

O たしかに最初のころの大門社長はパワフルで覇気があるって感じだったけど、最後のほうは杖もついてヨボヨボした感じになっちゃって、頑固親父の悪あがきのようにしか映らなくなってたからね。かわいそうだ。

 

T まあ、実際がどうだったかはわからないけど、ドラマ上はそうなっているね。

 

O そう考えると、大門社長にとっても「不毛地帯」だったのかもしれないな。綿花相場が(笑)。

 

T あと、壹岐にとって最後まで『不毛地帯』のままだったのは、家族の問題だね。奥さんが仲違いしたまま不慮の事故で亡くなってしまったりとか、息子が最後まで懐かなかったりとか。

 

O また息子はタイミング悪いときに来すぎなんだよね。千里さんが帰ったすぐ後とか。それで口紅のついたコップを見つけたりして怒って帰っちゃう。

 

T 小説だと息子は東南アジアに赴任して、現地で知り合った人と結婚して壹岐とは完全に疎遠になっちゃうんだよ。

 

O で、娘は娘でよりによって鮫島の息子と結婚してしまうと。

 

T あれも出来すぎてるけどね。世の中にはたくさんの男女がいるんだからさ(笑)。

 

O そう言えば、鮫島の息子の倫敦くんの漢字は「ロンドン」とも読めるんじゃなかったっけ?

 

T そう、それはその通り「ロンドン」が由来なんだよ。たしか鮫島の奥さんが外交官の娘か何かで、ロンドンにいるときに生まれた子じゃなかったかな。鮫島がロンドン駐在中に猛アタックをしたんだよ。そんな設定だったと思う。

 

O やっぱり小説読んでる人と話をするといろいろと新しい発見があって面白いなぁ。

 

The End.

O そうやって考えると、壹岐さんも近畿商事の中でいろいろと異動しているね。まず初めは繊維部に配属されて、繊維のことを勉強しようとするんだけど、結局やめちゃう。

 

T 最初のころの壹岐は使えない社員として描かれているね。勝手もわからないし。

 

O 11年間もシベリアの地で肉体労働をしてて、それを急に文明社会に戻ってきたわけだから無理もないけどね。

 

T でも最初に繊維部に配属になったことは後々の伏線として大きくて、ちょうどこの時期って産業の中心が軽工業から重工業に移っていく過渡期だったと思うんだよね。大門社長の考えとしては、まず初めに当時の本流で自社の一番の強みでもあった繊維業を壹岐に見せようとしたと思うんだけど、壹岐は役員になってからは繊維業を切り捨てて重工業化への転換をどんどん進めていくことになる。

 

O 後半になってくるとそのあたりから大門社長との対立も生まれてくるんだね。社長は綿花相場に、壹岐は石油開発にがんがん金を使っていくと。

 

T 昔からの役員にしてみると、繊維業でここまで伸びてきたって思い入れがあるけど、壹岐のように新しく入ってきた人には社会全体はもうそういう流れじゃないという認識があるからね。

 

O そして次に繊維部から異動して戦闘機関係の業務に携わるようになる。

 

T 防衛庁の担当に変わってからは一気に力を発揮していくね。まあ、ある種自分の得意分野ではあるんだろうけど。

 

O その次の中東戦争のころは、業務本部っていう特別組織が設けられて、そこの本部長になるんだね。業務本部は会社の中に大本営を設けるようなものだと言われていたっけ?

 

T 要は参謀本部だね。繊維部だったり航空機部だったりそれぞれの担当セクションは縦割りで分かれているんだけど、そこを全体を見渡して総合的に判断する役割を担う組織になっている。ああいう組織力も見ていて面白いな。

 

O で、次の自動車商戦のころは何の役職に就くんだっけ?

 

T アメリカ近畿商事の社長になるんだよ。

 

O ああ、そうだった。アメリカに単身で住んでて、お手伝いさんに不倫がばれちゃったりするんだよね。で、不倫を見つけた後のお手伝いさんの態度が急によそよそしくなったりする(笑)。

 

T あの秋津中将の娘の秋津千里との関係も微妙だったよね。最後にも結ばれなかったし。

 

O でも壹岐さんはすっかりはまってたね。あの真面目な壹岐さんが代官山にマンションを借りて、「このマンションは君とゆっくりするために借りたんだよ」なんて言い出したりする(笑)。

 

T だけど結局は愛人の域を出なかったってことだね。だから秋津千里も業を煮やして別れてしまったと。

 

O やっぱりできる男はモテるんだなぁ。島耕作もそうみたいだけど(笑)。

 

T むしろあれぐらいの人だったら愛人の一人や二人いても当たり前って感じなのかな。愛人がいることが勲章みたいな。わからないけど。

 

O 山崎豊子の作品って、愛人とかそういう存在の人がよく出てくるよね。『運命の人』ではもうそれ自体が物語の主要テーマになっていたし。

 

T 『華麗なる一族』にも愛人が出てきたね。

 

O 『華麗なる一族』のは妻妾同衾だとか、関係性が若干グロテスクでもあったね。それに愛人が強い権力を握っていた。『白い巨塔』は愛人というわけではないけど、黒木瞳が演じてたバーのママの存在があったね。

 

T 山崎豊子には、言いたいことを物語の主要人物ではなく周りの女性に代弁させるという特徴があるのかもしれないね。ある種のカタルシスなのかもしれないけど。

 

O じゃあ、ああいう人たちが語っていることが、山崎豊子が言いたいことと考えることができるのかな。

 

T 必ずしもそういうわけでもないだろうけどね。

 

O 『白い巨塔』の黒木瞳のセリフの中で一つ印象に残っているものがあって、「誰からも好かれる人間はこの世にいない。だって誰からも好かれる人間を嫌う人間が必ずいるでしょ。」というのがあるんだけど、これがたしかに言い当てていて深いと思った。できる人は妬ましいですからね(笑)。

 

T まあ、そりゃそうかもしれないけど。

 

To Be Continued...