O おっさん2人が語るにはあれなテーマですが、『耳をすませば』を。

 

T 純愛ものですね。

 

O 僕はこれを見たのはけっこう遅くて、大学に入ってからだったんだけど、T君が見たのはいつごろ?

 

T 中学生ぐらいで見たのが最初かな。ちょうど思春期のころだった。月島雫みたいな女の子はいいなぁと思って。

 

O 僕もそれはわかるな。読書家で真面目で元気もあって、理想的な子だね。

 

T 最近になって思うようになったのは、きっと心のどこかで月島雫みたいな女性像を求めているところがあるから結婚できないのかなって(笑)。男の憧れの一つではあると思うけど。

 

O じゃあT君も天沢聖司みたいにバイオリン作りの修行に海外に行こうとしたら、そういう女性が現れるかもしれないよ(笑)。

 

T まあ、でも月島雫そのものがいいと言うよりも、この物語が月島雫の魅力を高めているんだとは思うけどね。

 

O だから天沢聖司もストーキングまがいのことを…(笑)。

 

T たしかに冷静に考えれば天沢聖司の行動はどうなんだと思われる点は多々あるね。

 

O 図書館で先回りして雫が読みそうな本を借りてたりとか。たしか「実はお前の隣に座ったこともあるんだぜ」なんて後から暴露するシーンもあったと思うけど。

 

T ジブリじゃなかったら完全にアウトだ(笑)。

 

O それだけで十分訴えられそうだね。天沢聖司、確保!って(笑)。

 

T でも結局はうまくいったから問題ないんだけどね。

 

O 結局のところはあの2人はつきあったのかな?はっきり答えが出る前に映画が終わっていた気がするんだが。

 

T あのエンディングはつきあってるでしょ。「結婚しよう!」とかも言ってたし。まだ中学生なのに(笑)。

 

O 微笑ましいお話ですなぁ。

 

T 面白いのは、雫が天沢聖司を呼ぶ呼び方がだんだん変わっていくんだね。最初は名前を知っているだけの「天沢聖司」で、その次に「やな奴」になって…(笑)。

 

O 「やな奴!やな奴!やな奴!」って言ってたね(笑)。

 

T で、「あいつ」になって、それから「天沢くん」やら「聖司くん」を経て、最後には「聖司」になるんだよ。

 

O 僕はそれよりも途中でふられちゃう夕子に同情しちゃうんだけどなぁ。

 

T でも夕子も結局はうまくいくみたいじゃん。エンディングで杉村と一緒に歩くところが映ってたよね。ちゃんとああいうところにも配慮がされてるんだね。

 

O だけどあの夕子と杉村と雫の三角関係は見ていてつらかった。杉村と雫も気まずくなっちゃってね。

 

T 逆に雫は杉村との一件があったからこそ、恋愛について意識するようになって、天沢聖司のほうにも気が向くようになったんじゃないかな。それまではあまり頓着がなかったような気がする。それにしても、天沢聖司のバイオリン職人になるため留学するって夢はかっこよすぎるけど。

 

O 雫は自分とつり合わないってことも気にしてたよね。

 

T 「聖司くんがどんどん先に行っちゃう」なんてことも言ってたね。だけどその分自分もがんばると、雫はそれを成長の糧にしていったから、それはすごく良いことだと思うな。

 

O すごくポジティブな見方をしてるね。僕はさっきも言ったけど、見た時期が大学のころで、人生についてもある程度達観し始めたころに見ているから、「どうせうまくいかねぇよ」とかすごく冷めた見方をしてた(笑)。

 

T アニメなんだからそんな見方したってしょうがないじゃん(笑)。

 

To Be Continued...

O たしかに言われてみると、ところどころビートルズを意識したと思われる歌詞も出てくるね。『LONELY WOMAN』の歌詞に「Ticket to ride」って言葉が出てきたりとか。

 

T 『キラーストリート』のアルバムなんかは完全にそうだよね。

 

O ああ、ジャケットが『Abbey Road』をモチーフにしていたね。ただ、ビートルズを意識しすぎると、ビートルズみたいに晩年仲悪くなっちゃいそうだから(笑)、意識しすぎるのもよくないんじゃないかとは思うけどね。

 

T サザンはそういった意味では桑田佳祐のワンマンバンドという性格が強そうだね。作詞作曲もほとんど桑田さん一人がやってるし、テレビとかで前面に出てくるのも、奥さんの原由子を除けばほとんど桑田さん一人。でも本当かどうかわからないけど、給料は等しく分配しているという話は聞いたことがあって、そのあたりにサザンが長く続いてる秘訣もあるのかもしれない。今は活動を休止してソロ活動中だけど。

 

O そういうのの息抜きでソロ活動もやってるのかな。僕はサザンの曲もそんなにたくさん聴いてるわけではないけど、ソロのほうが『真夜中のダンディー』とか社会風刺的な歌が多いような気がして、サザンとはまたちょっと違う色を出そうとしている印象も受けるんだけどね。

 

T たしかにサザンのほうが明るくてポップ寄りな歌が多くて、ソロはまたちょっと違うと思うよ。

 

O サザンオールスターズだと、ユニット名に「南の」という言葉が入っているとおり、夏とか海とかをテーマにした曲に寄っている部分が多いけど、ソロだと桑田佳祐という一人の男として、テーマ関係なく気になったものを歌に入れてるという感じがする。

 

T ソロのほうが自然体で自由にやれているのかもしれないね。

 

O 『真夜中のダンディー』なんかも改めて聴いてみると、「隣の空は灰色なのに、幸せならば顔をそむけてる」なんて現代社会を表しているような歌詞が出てきたりして、こういうところに桑田さんの真骨頂もあるのかと思ったりもした。

 

T ポツリポツリと、スポット的にそんな言葉は出てくるよね。

 

O 『ROCK AND ROLL HERO』の「人災列島に夜明けは来ない」というフレーズも、今の政治・世の中をバチッと言い当てているよね。それを歌にできちゃうのもまたすごいんだけど。

 

T 歌にして発信すると影響力が大きいからね。

 

O それに、口に出しちゃうと、そういうこと考えてるのかというのがみんなにもわかって、それだけ批判も浴びやすくなると思うんだよね。あれだけエロの限りを尽くしてると(笑)、そういうのも気にならなくなるのかな。

 

T それこそ、そういうのが息抜きになってるのかもしれないね。

 

O あと、桑田さんは切ない者の代弁の仕方もうまいよね。『祭りのあと』とかに出ている雰囲気がそうだと思うけど。桑田さんは立ち位置としては三枚目になるのかな?

 

T まあ、そうだろうね。二枚目ではないだろうし。

 

O たしかに、二枚目の人がまさか『マンピーのG★SPOT』なんて歌は歌わないか(笑)。

 

T それはわからないよ。福山雅治あたりが歌っても面白いかもしれない(笑)。

 

O 福山が歌ったらどんな感じになるんだろう?それも興味あるね。

 

T でも実際、他のアーティストの中にもサザンを好きな人はたくさんいるよね。例えば平井堅なんかがそうで、テープを送ったって話は有名だと思うけど。

 

O 僕も平井堅がファンだって話は聞いたことがあるな。だけど平井堅の歌はサザンとはまた毛色が違うよね。

 

T それだけ毛色が違う人にも影響を与える存在だったってことじゃないかな。サザンにとってビートルズの存在が大きかったように、他の人にとってはサザンの存在がまた大きかったと。

 

O まあ、僕らにとってもサザンや桑田さんの存在は大きかったですからね。

 

The End.

T もともとサザンは青山学院の学生バンドからスタートしているわけで、それがここまでの国民的人気バンドになるとは思われていなかっただろうね。

 

O 本人たちもここまでビッグになるとは思ってなかったかもしれないね。

 

T あの『勝手にシンドバッド』のデビューはある意味衝撃的だったと思うよ。

 

O たしかに当時はみんなびっくりしただろうね。今でこそすっかり浸透したから全く違和感ないけど、まだ何もない段階で出てきたわけだから、それこそ「何勝手にやってるんだよ!」と思った人は多いだろうね(笑)。

 

T 何かのテレビ番組で見たけど、最初から『いとしのエリー』みたいな曲を持ってくるんじゃなく、まずは破天荒な曲で世の中にインパクトを与えておいて、その後で俺たちはただクレイジーなだけのバンドじゃないぞというのを『いとしのエリー』のような切ない曲も出して示したみたいだね。それが聴く人の心をガッチリ掴むことになったと。

 

O すごいね。戦略的に考えていたのかな。

 

T 逆に『いとしのエリー』を最初に持ってきちゃったらインパクトは薄かったかもしれないよね。

 

O ギャップの効果も引き立ったかもしれないね。『勝手にシンドバッド』があった後の『いとしのエリー』だから、「こんなこともできるんだ!」というプラスのギャップ効果が得られたけど、これが逆だったら、「あ、結局ふざけちゃうんだ…」ということになっちゃう(笑)。

 

T 言い方を換えると、最初に落ちるところまで落ちておいて、そこから幅を見せていったというところかな。

 

O さすがという感じですね。

 

T あと、サザンや桑田さんの一番すごいと思うところは、日本にはたくさんのアーティストがいるわけだけど、ここまで老若男女を問わず人気があって好かれるアーティストは他にいないんじゃないかと思うところだね。どうしても歌ってその世代を反映するから、その世代にしか好かれないのかと思うけど、サザンは僕らの親の世代から僕らよりももっと若い世代にまで浸透しているからね。

 

O たしかにそれは思うな。僕はT君に教えてもらってサザンを聴いたわけだけど、会社に入ったら上司もサザンが好きで、飲み会の後でカラオケに行ったときにサザンを入れたら、「O君もサザン好きなのか!」なんて意気投合して、一緒に『いなせなロコモーション』を歌ったり(笑)。

 

T (笑)。

 

O そのときは、高校でT君にサザンを教えてもらってなかったら、こうして上司との交流をすることもできなかったわけだし、サザンの存在は大きいのかもしれないと思ったね。

 

T それだけジェネレーションギャップなく通じるバンドということだね。愛されてるからこそ長く続くわけだし、長く続いてるからまた幅広い層に愛されると。そういうバンドって、他にはあまりないんじゃないかな。

 

O やっぱり今のJ-POP文化の先駆けみたいなところがあるんだろうかね。

 

T でも桑田さんはもともとビートルズとかの影響も受けてるみたいだから、英国のロックを引き継ぎつつ自分流にアレンジしていったんじゃないかと思うね。

 

O じゃあビートルズみたいな、「みたいな」って言っちゃうと語弊があるけど(笑)、そういう音楽を日本にも取り入れたいと思ったのかもしれないね。

 

T 桑田さんはライブでも他の人の曲をけっこう歌うんだよね。洋楽も含め。だから音楽全般に対するリスペクトは強く持っているんじゃないかと思うな。他の人の曲もたくさん聴いてるんだろうね。

 

To Be Continued...