O テーマは「ルパン三世」ということですが、これについて話すのは難しいかもしれないな…。

 

T 『カリオストロの城』あたりから入りましょうか。

 

O 『カリオストロの城』なら大丈夫かな。何回も観た作品だから。名作には違いないと思うけど、とにかくテレビで頻繁に放送されてるから、それで何回も観てる。

 

T 何かの雑誌で読んだけど、あんな何十回も再放送してるのに高視聴率をとるから、真面目に新しい番組を作るのがバカらしくなってくるみたいだね。

 

O それはあるかもしれないね。根強いファンがいるだろう上に新しく観る子供もいるから、視聴率が落ちる要素がない。

 

T 『カリオストロの城』は劇場版の2作目だっけ?

 

O そうだよ。第1作が『ルパン対複製人間』で、第2作が『カリオストロの城』で、第3作が『バビロンの黄金伝説』。『ルパン対複製人間』も時々テレビで放送してるね。第3作の『バビロンの黄金伝説』も前にテレビで観たことあるけど、つまらなかった。

 

T たしかに、僕もつまらなかった印象があるな。『カリオストロの城』は何と言っても監督が宮崎駿だからね。

 

O ルパンは描く人によって線とかが違うよね。『カリオストロの城』は宮崎駿が監督しているだけあって、絵にナウシカとかラピュタを彷彿とさせるものがある。

 

T 30分アニメ時代のルパンと今のルパンを比べても全然違う。まあ、どんなアニメでもそうだけど。ジャケットの色も違ってたりするんだよね。初期は緑色だったけど、途中から赤になったり。

 

O 『バビロンの黄金伝説』に至ってはジャケットの色がピンクで、こんなのありか?と思った(笑)。ルパンと言えば赤のイメージが一般的かもしれないけど、僕は『カリオストロの城』の印象があるから緑のほうがいいかな。

 

T 赤ルパン緑ルパンがタイトルになってる作品もあるんだよ。巷に偽物のルパンがあふれちゃうって話なんだけど。

 

O なんともダイナミックな設定だな(笑)。でもやっぱり『カリオストロの城』は昔から観ているだけあって思い入れが強くて、とくにテーマソングの『炎のたからもの』を聴いたりすると、それだけでどこかセンチメンタルな気分になる。『炎のたからもの』は自分の中ではドラゴンボールの『ロマンチックあげるよ』と並んで、聴くと切なくなる2大センチメンタルアニメソングになってるよ(笑)。

 

T 僕は思わず『カリオストロの城』のサントラ借りちゃったからね。

 

O けっこう好きなんだね。

 

T ルパン三世の主題歌だけでも78年バージョンだったり、89年バージョンだったり、たくさんのバリエーションがあるんだよ。

 

O サックスのアレンジが微妙に違ったりするの?

 

T いや、もう全然違うよ。聴いてすぐに違うってわかる。

 

O 「ルパン、ルパ~ン」のところが「ルパン、ルパン、ルパ~ン」って3回になってたりとか(笑)?

 

T そういう違いじゃないけど(笑)。あと、さっきルパンの描き方の違いの話が出たけど、『カリオストロの城』のルパンはいわゆる「おじさまルパン」で、クラリスとの対比もあって年齢設定が他の作品よりも高めに描かれているんだよ。

 

O へえ、そういう描き方ができるんだね。

 

T それと、『カリオストロの城』の特徴としては、不二子のお色気シーンが出てこない。水戸黄門と並んで日本の代表的なお色気シーンだと思うんだけど(笑)、それがこの作品にはない。いかにも宮崎駿らしいね。

 

O この作品では不二子はどういう関わり方をしてくるんだっけ?最後のほうでテレビカメラのクルーを演じてカリオストロの偽札作りを暴くのは覚えてるんだが。

 

T で、どさくさに紛れて偽札の原版を持ち出すんだよね。それを見たルパンが「わぁ、お~ともだちになりたいわぁ!」って(笑)。

 

To Be Continued...

T 最近だと『外交官 黒田康作』も見たけど、黒田康作のキャラは青島とは正反対で、冷徹だけど頭は切れて仲間とつるまず一人で事件を解決していくタイプなんだよね。でもそのほうが今の織田裕二には合ってるかもしれないと思った。

 

O 織田裕二のイメージも青島から黒田にシフトしていこうと、そういう意図もあるのかもしれないね。それか例えば、青島がまかり間違ってものすごく出世しちゃって、室井さんのような立場になって、逆に湾岸署には青島のような血の気の多い若手が入ってきて、それを抑えるというような設定も面白いかもしれない(笑)。

 

T どうでもいいけど、筧利夫や真矢みきは最初は敵対する役として出てきていたけど、いつの間にか室井さんの味方みたいな存在になっちゃったね。

 

O 筧利夫も真矢みきも最初に出てきたときはかなり冷酷な感じだったのに。

 

T 要は善玉と悪玉という存在があって、室井さんが善玉寄りになってしまったんで、それに対する悪玉として登場してきたんだね。

 

O だけど室井さんは最初から悪玉だったとは思わないな。

 

T でも最初はそんな雰囲気で描かれてるじゃん。それがだんだん青島たちの影響を受けて変化していく。

 

O たしかに最初に見たころは自分も小さかったから偉そうな奴だと思って見てたけど、後の室井さんも知ってから見ると、それも室井さんの真面目さからくるものであって、事件解決が第一ということを本当に思っていて、その信念に忠実に従って行動しているからこそ、厳しい言動が出ちゃうんだと思うな。

 

T その室井さんのある意味での究極の答えが出たのがMOVIE2だね。MOVIE1は「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」というセリフに見られるように組織を否定するような内容になっていたけど、2は「リーダーが良ければ組織も悪くない」というセリフもあって組織を肯定する内容になっている。2においては現場と本店が力を合わせるという理想が初めて叶ったから、組織を肯定的に捉えることができたんだね。

 

O テレビシリーズの頃では到底実現できなかったことだね。テレビシリーズ最終回でも室井さんと青島が2人で飛び出すところはあったけど、結局は査問会議にかけられることになっちゃってた。

 

T 逆に3やファイナルになると室井さんと青島の個人的なつながりに終止するところがあって、組織捜査の成功とはまた別のものになってしまっている。だからベストな組織捜査について扱っているのは2だけかなと。

 

O 1が組織を批判している点はよくわかるな。さっきの会議室のセリフもあったけど、いろんな立場の人が「うちの者を行かせる。所轄にはやらせるな」なんて言い合ってて、室井さんはそこを押し切って青島に逮捕させようとするんだけど、今度は青島が室井さんに遠慮して、室井さんが着くまで逮捕しないでいるとその間に刺されてしまうんだね。早く逮捕して連れ出してしまえば刺されずに済んだのに。

 

T そういうのってテレビシリーズの中でもあったよね。手錠かけずにネクタイとかで手を縛って連れてきて、逮捕は本店にさせるっていう。48時間の回とか。

 

O そうやって差し出すと、本店の人はもっともらしく逮捕するんだよね。あれも皮肉めいてる。MOVIE1まではその流れで来たんだけど、2でやっとそこを破るんだね。

 

T 思えばテレビシリーズの第4話でも室井さんが青島を本店に呼んで一緒に捜査する話はあったけど、そのときは「なんであんなやつ連れてくるんだ」って目で見られて、協力的な雰囲気は全くなかった。

 

O 青島が捜査に同行しようとすると、「お前は一人で勝手にやってろ」みたいなこと言われるんだよね。そのくせ青島が失敗すると「バカヤロー!なんで勝手に行動したんだ!」と怒鳴ったり。

 

T でも本店と所轄でそんなに溝があるとも思えない気がするんだけどな。人事交流で行ったり来たりもしてるだろうし、キャリアとノンキャリの差はあるかもしれないけど、本店にだってノンキャリの人はたくさんいるだろうしね。

 

O やっぱりノンキャリの人たちも本店にいるうちに本店の空気に染まっていっちゃうんじゃないのかな。それか若くして室井さんに一本釣りされた青島を妬ましく思ってるとか。

 

T キャリアとノンキャリの話だと、最終回の査問会議での差別人事も象徴的だね。室井さんは訓告だけで済むけど、青島は交番勤務に戻されるっていう。

 

O 室井さんは「平等に裁いてください」と主張するんだけど、「平等に裁いたつもりだ」と言われちゃうんだね。で、結果に不満はないと言う青島にも室井さんは「かっこつけるな」と食い下がって、挙句の果てには青島と喧嘩を始めて、青島に「一緒に捜査してて足手まといだった」なんて言われちゃう(笑)。

 

T あのときの室井さんと青島の捜査も面白かったな。室井さんに切れた電話に向かってしゃべらせたり(笑)。

 

O でもこの前再放送で見たら室井さんと青島の捜査のくだりがばっさりカットされてたよ。拡大版になってたのを再放送の1時間の枠に収めなきゃならないから仕方ないとは思うけど、ものすごくがっかりした。「この店を買い取る。警視庁で買い取る。いくらだ?」も無かった(笑)。

 

T まあ、再放送は放送する地方局によって調整が加えられてるみたいだからね。局ごとの編集の仕方によって無数のバリエーションが存在しているということも聞いたことがあるし。

 

O そうなんだ。それにしても室井さんと青島の捜査シーンがカットされちゃうのはショックだったな。録画して保存版にしようと思っていたのだが(笑)。

 

T ちなみに、MOVIE1で誘拐される吉田副総監と和久さんの関係もちょうど室井さんと青島の関係と同じなんだね。吉田副総監が上に行って理想を実現させるという約束を和久さんとしているんだけど、吉田副総監が「ついに理想は実現できなかった。次の世代に託そう」と話すシーンがある。これってどうなのかね?副総監といえば警察のナンバー2だよ。ナンバー2をしてまでも理想って実現できないものなのかね?僕には言い訳にしか聞こえないんだが(笑)。

 

O 言われてみればその通りだ。副総監にまで登りつめたのにやりたいことが全くできないってのは、もうやる気がないとしか思えないよね(笑)。どこまでいけばやりたいことができるのかって話になってくるね。

 

T それだけ理想を実現することは難しいということなのかもしれないけど。

 

The End.

T あと、このドラマでは和久さんがとくに重要な役割を果たしていたと思う。青島は暴走するんだけど、和久さんがそれにブレーキをかけることによってうまくバランスがとれていた。その和久さんがいなくなったからおかしな方向に進むようになったんじゃないかって気もする。

 

O それはすごくよくわかるな。和久さんは「哀愁」という要素もこのドラマに持ち込んでくれてたね。「哀愁」もテレビシリーズのテーマの一つになってると思う。まあ、「哀愁」というのかはいまいちわからないけど、シリアスな場面だったり、哀しい場面だったり、そういったのが随所に残っていて、その部分を和久さんが引き立ててくれた。

 

T そもそもテレビシリーズは和久さんの定年の日までの話だからね。そういったことからももう一人の主人公という意味合いはあるだろうし、第1話ですみれさんが言っていたように『セブン』で例えるところのブラッド・ピットが青島で、モーガン・フリーマンが和久さんなのかなと。

 

O 和久さんのつながりだと、最近映画の公開に合わせてまたテレビシリーズの再放送をやっていたんで、一通り見返してみたんだけど、今回一番印象に残ったのが第8話のプロファイリングの話だった。科学捜査が優先されて、和久さんのような足でやる捜査が否定されちゃう話だけど、最後には人は理詰めだけでは動かなくて、心がないと動かないんだということを教えてくれる話になっている。それは自分が仕事をする上でも感じていることだったんで、共感できた。

 

T 第8話は和久さんがメインになっている回だったね。

 

O 途中ですねて帰っちゃったりするんだよね。「俺には30年分の有給休暇があるんだ」なんて(笑)。

 

T 他に僕が好きな回だと、第7話の「タイムリミットは48時間」がある。雪乃さんがメインの回の後編だけど、青島が自分にしかできないやり方でやると、営業をかけながら民間企業に潜入するシーンが面白い。現実離れしていると言えばそうかもしれないけど、本店にはできないやり方で差別化を図ったところは面白いと思う。

 

O 青島の営業マンらしさが存分に出ているところも面白いね。

 

T 青島が元からの警察官ではなく、営業をやった後の警察官であることにも一つのコンセプトとしてあるからね。

 

O 秋の犯罪撲滅スペシャルの冒頭では、ある民間企業に囮捜査で潜入してたら、そこで営業成績一番になっちゃって、会社が手放したくなくなるなんてエピソードもあったよね。

 

T 映画もそうだったけど、こういうちょっとしたエピソードから本編に入るのはいいよね。

 

O このシリーズお決まりのパターンだよね。テレビシリーズも毎回、本編とは関係ないちょっとした事件からスタートしていた。つぶやきシローがビルから飛び降りようとしてたりとか(笑)。

 

T MOVIE1の、張り込みに見せかけてゴルフのお迎えだったってのも面白かった。

 

O そのMOVIE1だけど、シリーズをトータルで見て僕が一番好きなのはMOVIE1かもしれない。何がいいって、室井さんの見せ場が多いところがいい。現場の本部長にさせられて、厳しい立場にある様子がよく描かれていた。

 

T それに最後、青島が刺された後みんなが敬礼していくところも感動的でよかったね。

 

O そのときも室井さんが運転して青島を病院に連れて行くからね。青島が運転していた第1話と立場が逆になってる。

 

T 第1話のオマージュになってるんだろうね。

 

O でも普通に考えたら救急車を呼んだほうがいいよね(笑)。すごい血出てるし、動かしたら絶対よくないって。それをアパートの部屋から出して地上まで下ろして車に乗せたりしちゃって。

 

T 考えてみるとみんな何かしらの被害に遭ってるよね。2ではすみれさんが撃たれたし。

 

O 和久さんは殴られ、真下は撃たれ、雪乃さんは監禁され、袴田課長は湾岸署が占拠されたときに人質になったり…。

 

T 一通りやっちゃったから、3ではもうやることがなかったんだろうね(笑)。

 

O あと残ってるのは魚住係長ぐらいか(笑)。

 

T やっぱり引っ張りすぎたのかもしれないな。15年か。

 

O 15年と言っても、空洞の期間がだいぶあるけどね。

 

T もはや最初サラリーマン刑事だったことなどみんな覚えてないだろうね。

 

O テレビシリーズの時代を知らない世代も出てきてるだろうね。まあ、そういう世代が見ても単発ものとしてそれはそれで面白いんだと思うけど。

 

T 正直、係長の青島は見たくないね。青島はやっぱり末席にいて無茶やってるのがいいんだよ。

 

O 逆にあの歳になっても初期のような無茶をやってたら、どんだけ成長してないんだって話にもなってくるし(笑)。

 

T ただの痛いキャラになっちゃうよね(笑)。

 

O 無理がきてるからこそ、このあたりで区切りをつけるべきだとスタッフの方も判断されたのかもしれないね。判断がちょっと遅かった気もするけど。「室井君、判断が遅いぞ」って(笑)。

 

To Be Continued...