今日なにごともなく(9) | 小説 介護される日々

小説 介護される日々

介護される 介護する 寄り添う気持ちとともに。

「今度この病院に入院する場合は

 手術すると考えてください。」

医者は「手術」「手術」と繰り返す。


手術しないと入院できないということか?


「ご理解頂けましたら、

 この説明書にサインをいただけますか?」


ここのサインしたらどうなるんだ?

今度入院したら必ず手術することになるのか?

サインしないと退院できないというのか?

母さんに聞かなくて良いのか?母さんは手術はしないでくれと言っていた・・・


「腹痛も苦しいから

 頻繁になってきたら大変ですよね。

 手術した方が私も良いと思いますよ。」

訪問診療の医者が言う。


もうわからない。

退院できなければ困るんだ。

とにかくここから退院することができれば・・・ 

「サインします。」


「サインだけではなく

 今言ったことを書いてサインしてください。」


「なんて・・・?」


「次に入院したら手術します、と。」


「・・・わかりました。」

言われたとおりの文章を書き、サインした。

とにかく退院するんだ。ここから。


書き終わると書類を持って

また大勢がゾロゾロと帰って行った。


疲れてベッドで寝ていると看護師が来た。


「明日退院です。」と言っていった。

退院できるのか。良かった。

早く家に帰ろう。

母さんに電話しよう。退院を知らせないと。