目の前のこと(10) | 小説 介護される日々

小説 介護される日々

介護される 介護する 寄り添う気持ちとともに。

今日は腹痛がする。

昨日までは調子も良く、食事も美味しく食べていたのに。

また入院しないとダメか!

保険証はどこだ。

誰かが持って行ったきり戻って来てないのじゃないか?


医者に電話したのにまだ来ない。

娘がちょうど来たのでもう一回電話させた。

夕方になるという。

具合悪い時に来ないなんて、どうなっているんだ!


夕方暗くなってからやっと医者が来た。

自分の都合で来るなんて全く勝手だ。


痛み止めの注射をした。

「薬飲み忘れていたようですね。」と医者に言われる。

それが原因の一つだという。


毎日決められた通りに飲んでいる、と答えた。

忘れることはない。


そう言っているので、

壁に「薬カレンダー」というポケット付きのカレンダーを

看護師に貼らせていた。

「ここに朝昼晩と寝る前の薬を入れておけば忘れないですから。」と。


いらないと言っているだろう、と怒ると

「用心のためです。

 試しに使ってみましょう。」と言う。


しょうがない。

看護師が毎週そこに薬を入れてくれるというので

とりあえず使ってみることにする。

結局言いなりになってしまう。


「奥さんは来週クリニックの方へ来てくださいね。」と看護師が話している。


「どうせ家に来ているんだから妻も診てくれるようにできませんか。」と聞くと

それはできないという。

「奥さんは元気で歩ける方なので、月に二回くらいだから

 来てくださいね。」と言っていた。


母さんもその時は娘と一緒にお茶飲んで来たりできるので、

それはそれで楽しみなのか。


私は腹痛さえおさまればいい。

そうすれば本を読んで好きに過ごせるのだから。

普通に暮らすことが何より大事だ。