目の前のこと(6) | 小説 介護される日々

小説 介護される日々

介護される 介護する 寄り添う気持ちとともに。

入院して三日目。

母さんが本を持ってくるはずだが、なかなか来ない。

娘と一緒かどうかわからないが、

いつも来る時間になってもまだ来ない。


病室で待っていられなくなって

エレベーターの前まで行って待っていたら

やっと二人が来た。


「遅い!心配するじゃないか!」と思わず言ってしまった。

母さんは今日クリニックの日だったとかで

そこから来たから時間かかったと娘に言われた。


「お母さんだって疲れているんだから。

 怒ったりしたら可哀想だよ。」と。

それもそうだ。

だが、こちらだって病人なんだから。


娘がナースステーションに退院のめどなどを聞きに行った。

もう重湯からおかゆになったし、

ゼリーなども食べているから、もうじき退院だろう、きっと。


娘が病室に帰ってくるなり

「お父さん、看護師さんと喧嘩したってほんとなの?」と言う。

そんなことあったか。


「昨日の夜、看護師さんに

 『もう重湯になったんだから、点滴なんていらない!とってくれ!』

と困らせたらしいじゃない。

ナースステーションで言われたわよ。」


そんなこと言ったか。


「でも最後に謝ってくださいましたからって言ってた。

 悪く思わないでくれって言ったんだって?

 看護師さんも気の毒に。」


点滴を毎日毎日。うっとうしいんだよ。

病人の気持ちにもなってみろ。