入院して10日、やっと退院の日が来た。
病院の朝食を食べた後、着替えて荷物をまとめた。
母さんと娘がやっと来た。
遅い。もうとっくに支度できているのに。
娘が清算や処方箋の退院手続きをした。
母さんが「娘が来てくれて良かった。
私一人ではもうぼけてしまって何もできないわ。」と言う。
そんなこともないだろうが、娘がやってくれるのは有難いと思う。
ナースステーションに挨拶をし、久し振りに外に出た。
大通りに出てタクシーを拾う。
昼前に家に帰ることができた。
あ~本当にほっとする。
もう入院はこりごりだ。
医師からの説明を文章にしたものを娘から渡される。
生活の注意点なども書いてある。
母さんに「よく読んで」と手渡した。
帰宅したとたん、訪問診療のクリニックやケアマネから電話がある。
いつから診療するか?いつからリハビリやるか?とうるさく言われる。
退院したばかりだというのに。
来週にしてくれ、しばらく静かに生活させてくれ。
退院したてなんだぞ、と娘に言う。
娘が電話口で返事をしている。
家で元の生活に戻れればそれでいいんだ。
母さんと二人で静かな生活をすることが唯一の望みなんだ。
人が来るのは好かん。