望むこと(2) | 小説 介護される日々

小説 介護される日々

介護される 介護する 寄り添う気持ちとともに。

入院して10日、やっと退院の日が来た。

病院の朝食を食べた後、着替えて荷物をまとめた。


母さんと娘がやっと来た。

遅い。もうとっくに支度できているのに。


娘が清算や処方箋の退院手続きをした。

母さんが「娘が来てくれて良かった。

私一人ではもうぼけてしまって何もできないわ。」と言う。

そんなこともないだろうが、娘がやってくれるのは有難いと思う。


ナースステーションに挨拶をし、久し振りに外に出た。

大通りに出てタクシーを拾う。


昼前に家に帰ることができた。

あ~本当にほっとする。

もう入院はこりごりだ。


医師からの説明を文章にしたものを娘から渡される。

生活の注意点なども書いてある。

母さんに「よく読んで」と手渡した。


帰宅したとたん、訪問診療のクリニックやケアマネから電話がある。

いつから診療するか?いつからリハビリやるか?とうるさく言われる。

退院したばかりだというのに。


来週にしてくれ、しばらく静かに生活させてくれ。

退院したてなんだぞ、と娘に言う。

娘が電話口で返事をしている。


家で元の生活に戻れればそれでいいんだ。

母さんと二人で静かな生活をすることが唯一の望みなんだ。

人が来るのは好かん。