時は2023年6月4日、所は筑後自動車運転免許試験場。第51回 二輪車安全運転 福岡大会に参加してきました。
「二輪車の安全運転技能と交通マナーの向上を図り、もって交通事故を防止する。」
を趣旨とするこの大会のことを知ったのは昨年の第50回大会の直前でした。昨年は参加するには準備が全く整っていなかったので見送り、今年満を持しての参加となりました。
主催は「一般財団法人 福岡県交通安全協会(通称:安協)」です。
大会はあくまでも個人競技ですが、大会の1ヶ月ほど前から上位入賞という志を同じくする仲間とチームを組んで大会に向けた練習を積んできました。
早めに会場入りしたのですが受付を待つ間にも続々と参加者が到着してこの日の参加者は全クラス合計で26名でした。
(原付クラス3名+普通二輪クラス9名+大型二輪クラス14名)
競技課題は、
1.法規履修走行
2.技能走行
1)ブレーキング
2)一本橋走行
3)千鳥走行
の4種目。
各競技の配点は
法規履修走行 500点
技能走行 ブレーキング50点、一本橋50点、千鳥50点
計650点で、ここからの減点方式です。
法規走行の配点がダントツで高く、これがために初心者が一発逆転、上位入賞といった番狂わせが往々にして起こったりします。
腕に覚えがあるベテランには少々納得いきかねる配点かもしれませんが、初心者にも門戸を開くという観点からは悪くないと思います。
車両検査を待つ間にチームの面々と法規履修走行のコースを歩いて下見することにしました。
歩きながら指示器を出すタイミング、車線変更箇所の目安、一時停止が必要な場所の確認などをしていきます。
大会に備えての練習で練習場所を提供いただき、指導もしていただいた指導員の方も一緒にコースを歩いてくださったのでその場で色々と確認できてとても心強かったです。
次に急制動のゴール付近を下見。速度計測の光電管の位置やブレーキ開始位置などを確認。
更に、一本橋と千鳥のコースを下見。一本橋は教習所でおなじみの幅30cm/長さ15mのあれです。
千鳥は幅3m/長さ10mの走路が5本隣接していてそれぞれが幅1.2mのゲートで接続されたような形をしています。この走路を線を踏むことなく、パイロンに接触することなく低速で走り抜ける競技。
これらのスタート位置とゴール位置を確認。
一通り下見を終えたら参加者全員が控室に集合して開会のセレモニー、選手宣誓、競技説明が行われます。
競技説明の際に質問時間があり、主に法規履修走行についていくつか質問が出ました。
Q:乗車の際にまたがってからスタンドを払って良いか?
→ A:ダメ。スタンドを払ってから乗車。
Q:スタート直後は対面通行の道路とみなしてよいか?
→ A:そのようにみなして走行してください。
Q:ゴール(コの字型)は路側とみなすと左指示器を出して停止する必要があるが、どうか?
→ A:指示器は出しても出さなくてもどちらでも良い。
などなど。
我々のチームもそうですが、この大会を目標に練習してきた参加者は多いのでやはり質問にも熱が入ります。
競技は3班に分かれて分散して実施です。
A班:原付きクラスNo.1~3 + 普通二輪クラスNo.1~5
B班:普通二輪クラスNo.6~9 + 大型二輪クラスNo.1~5
C班:大型二輪クラスNo.6~14
私は大型二輪クラスのNo.5なのでB班のトリ。
B班は急制動から。
急制動は数十メートルの助走路を走行。進入速度40km/h以上でブレーキング。10m以内で停車。各自1トライの勝負。
進入速度不足、2m以上の後輪ロック、ブレーキに指がかかったままでの進入、2速以下での進入、10mを超えて停車、等など…が減点項目になります。
私はB班9名の最後なので皆さんが次々にトライするのを見送って、最後にトライ。
進入速度は40.2km/h、制動距離は7.6m。減点なしの50点ゲット。
次が一本橋。基準タイムは18秒でこれより長くても加点はなし。18秒に達しない場合、1秒短くなるごとに5点ずつ減点。他に足つき、脱輪、転倒、等など…が減点項目。
脱輪は40点と減点(且つそこで競技は終了)が大きいのでとにかく粘らない、落ちない、粘らない…と心に念じながらなんとか落ちずに完走して16.07秒。普段の練習では19~20秒は安定して乗れるのですがここで出るタイムが本来の実力。2秒マイナスなので5点✕2秒=10点の減点…。
落ちなかっただけよし!と割り切ります。
次は千鳥走行。コレが自分に取っては鬼門。走路幅が3mで、愛機GSX-S750のカタログ上の最小回転半径が3m。
数値上、ギリ行けそうに思えるのですがゲートの狭さからラインが限定されることもあり、実際にやってみるとコレが難しいというか、完全に物理的に無理な感じ。
練習の際も私のために走路幅を広げてもらったり、ゲートのパイロン位置をずらしてもらったりと周囲に気を遣わせることも多く、なんというか、そういう意味も含めて厄介な種目です。
出る以上、断じて諦めてはいなかったのですがさりとて完走する自信もなく、内側のパイロンに接触して減点されてでも最後まで行く作戦を考えていました。
採点基準は、走路を区切るラインを踏むコースアウトは40点減点(且つそこで競技は終了)。転倒も同様。ラインを踏みそうになって足をついてそこから車両を足でバックさせても指示違反で同様。
これに対してパイロン接触は1本あたり10点減点で済むのでまだしも傷は浅いというわけです。(4回接触したら同じことですが…。)
結果は2つ目のゲート通過時に景気よく内側のパイロンを吹っ飛ばしたにもかかわらずその先でラインを踏んでしまいあえなく終了(号泣)…。
ある程度覚悟はしていたものの、やはり完走できない種目があるというのは辛いもの。
GSX-S750、ホントに良いバイクなんですがハンドル切れ角の小ささ故にこの種目には全く不向きです。
しかしまだ競技は終わっていないので気持ちをすっぱり切り替えて最後の法規履行走行。
客観的に見ると、配点が大きな法規走行で大崩れしなければトータルではまだ上位入賞の目はあります。(実際にはこの時点で、上位入賞なんて夢のまた夢と思っていましたが…。)
「シロウトが法規走行を語るな!」とベテランの方々に怒られるかもしれませんが、法規走行で大切なことの1つは確認すべきことを確実に確認して、しかも採点者に確認したことをキチンと"見せる"こと。
このために乗車時の後方確認などは、「後方よし!」と元気に口に出すとか、交差点での左右確認は頭を大きく左右に動かすとか、色々と工夫が必要です。
もう1つはメリハリのついた運転。ゆっくり安全最優先で走っていればいいかというとそういうわけでもなく、緩慢すぎる運転は減点の対象になります。広くはないコースですがそれでも直線ではしっかり速度を上げて交差点手前ではしっかり減速する。
走る前はそんなことを頭の中で反復していましたが、いざスタートするともうアタマ真っ白状態でどこをどう走ったのか、緩急がついていたのかどうかもよくわからないままゴール。コースミスしないのが精一杯でした。
大きなミスはなかったと思うものの、さりとてすべてのポイントをキチンと押さえたという手応えもなく、なんだかもや~っとした感じで全種目終了。
ここで昼休み。チームの皆さんと、なんだかあっという間に終わっちゃいましたね、みたいな話をしながら持参したおにぎりで昼食。
午後は技能講習。もう競技は終わったのでピリピリした感じもなく、2班に分かれて低速走行(極小バランス)、スラローム走行に熱中。
技能講習も終えて、いよいよ結果発表。
実はここでまさかの一波乱がありまして、一通り表彰式も終了して賞状、トロフィーの授与までなされたあとにどうやら採点にミスが有り、順位が変動しそうな雲行き。
ちなみに私は表彰式時点でまさかまさかの大型二輪クラス3位入賞を果たしていました。
コレ(↓)が幻の3位入賞の写真。
賞状とトロフィーをもらいながらも実際のところ、こんなウマい話があるのだろうか、素直に喜べんなぁ…と心の中は半信半疑の状態。そうこうするうちに全員の採点結果が張り出されて前述のように何か点数がおかしくない?みたいな展開になった次第。
再集計のため、順位は一旦白紙になり、授与された賞状、トロフィーは回収されて順位不確定のまま大会は終了。
正式な順位や各種目の得点は後日、各自に連絡との由。
なんだかものすごくモヤモヤしたままではあるものの、この日に向けて練習を積み、持っているものは全部出し切って大会を終えました。
練習ではもっとできたのに、と言ってみたところでここで出た結果こそが今の本当の実力なのだと思いました。
一本橋は普段20秒以上乗れていたといくら言ってみたところで大会本番で記録した16秒が今の本当の実力。
大会本番で安定的に20秒乗るためには普段の練習で30秒乗れるようでなくては、と新たな目標もできました。
表彰式のとき、3位として自分の名前が呼ばれたときに自分もびっくりしましたが、それ以上に周囲の「なんでコイツが?!」という雰囲気もはっきりと感じました。
自分が思うのはともかく、周囲にそう思われたことが今思い出しても悔しい限り。自分でも各種目の中身は到底納得行くものではなかったし、特に千鳥走行は完走すらできていない以上、周囲にそう思われるのも当然ではあるものの、やはり悔しいものは悔しい。何より自分に対して悔しい。
この悔しさを晴らす方法はただひとつ。決して簡単ではないけれどシンプルな方法。全種目、文句なしの高得点で入賞すればいい。
来年は実力で上位に入賞して自分も周囲も納得させてやるゼ!と密かに、しかし強く思う次第です。
何はともあれ、ともに練習し本番に臨んだチームのメンバー、ご指導頂いた指導員の方と記念撮影。
自分一人では到底ここまで来ることはできませんでした。皆様にただ感謝、感謝です。ありがとうございました!
大会翌日、主催の安協さんから直接、電話がありました。再集計の結果、私の正式な順位は5位とのこと。
6位までが入賞となるので私は初参加にして入賞を果たすことができたことになります。
安協の方は平謝りの体でしたが、各競技の中身を考えると3位は出来すぎ、5位でもまだ出来すぎで私個人としては順位が下がったからといって怒る筋合いの話でもありません。
(運営としては採点ミスは良くはありません。もちろん。)
入賞した嬉しさはもちろんありますが、それよりも何というか、中身が伴っていないことによる複雑な思いや忸怩たる思いのほうが先に立ってしまいます。まさに、「試合に勝って勝負に負けた」 感。
しかし、もう過ぎたこと。来年の大会にも出るつもりですし、出る以上は次こそ納得の行く結果を残したいと思っています。
このままでは終われませんよ。
更に後日、郵送で正式な結果が届きました。
各種目の点数は下記の通り。
・法規履修走行:500点
・急制動:50点 (40.2km/h、7.6m)
・一本橋:40点 (16.07秒)
・千鳥走行:10点 (コースアウト)
合計:600点
全種目満点で650点。ここから一本橋と千鳥で計50の減点で600点。
法規走行はなんだかんだで満点。これは素直に嬉しいです。
一本橋はもう少し粘れるように普段の練習からもっと上のタイムを狙っていきたいところ。満点完走は決して届かない目標ではないと思います。
問題はやはり千鳥走行。多少減点はあったとしても完走できていればもう少しまともな勝負になったであろうことは明らかです。
大会用と割り切ってハンドルが切れる別の車種をなんとか入手するというのも一つの道ではあります。
良い車両と巡り合って(且つフトコロ具合と折り合いが付けば…)実際にそうするかもしれませんが、仮にそうしたとしてもそれは自分の中では通過点。何年かかるかわかりませんが、いつかは愛機GSX-S750で上位を狙いたいと密かに思っています。
重心が高く低速トルクが薄い210kgオーバーの車両を、エンスト覚悟で極低速でバンクさせながらゲートを通過するような芸当をこなさなくてはなりません。口で言うほど簡単でない、茨の道だということは充分にわかっていますが、それでも、それだからこそ、もし達成できたらかなりカッコいいと思います。
何にせよ、練習、練習、練習あるのみですね。練習は嘘つきませんから。