おとやんのブログ

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バイクの楽しさとは、重力と遠心力の狭間に身をあずける心地よさと見付けたり。

 我ながら唐突ですが、先日愛機GSX-S750を売却して、その売却益を原資に知人からCB1300SBを購入しました。

唐突も唐突、少し前まではGSX-S750を売却するなどは微塵も考えておらず、その証拠に2月には車検を通してその際にプラグ4本とエアーフィルターも交換、最近では左クランクケースオイル滲みも修理して更にハンドルを19mm上げるなどしっかりお金をかけて、この車両に乗り続けるぞ、という意思を明確に持っていました。

 

 きっかけは5月の連休の練習会で、例によって二輪安全大会を視野に入れた低速の練習をやったのですが、これまた例によってGSX-S750のハンドルの切れなさと低速トルク不足(プラス、自分の技量不足…)に手を焼いていました。

その際に、今回購入することになるCB1300SBをお借りして同じことをやってみると、これが断然やりやすい。

GSX-S750だとできるイメージが湧かないところ、CB1300SBだと頑張って練習すればできるようになるかも、とイメージできました。

自分の技量の低さを棚に上げて車両のせいにしてはいかん、と常々思っていたし今でもそう思っていますがそれにしても車両の特性による部分は大きく、効率よく上達するためには車両の選択についてもある程度真剣に考える必要があるな、と痛切に感じました。

 このときお借りしたCB1300SBのオーナーさんは色違いでもう一台、同じ車両をお持ちということもあって、悩める私を見て快く「売っても良い。」と言ってくださいました。

バンパー付き、ETC付き、リアのキャリアとボックス付きと、欲しいものは全部付き。リアタイヤは新品に交換済み。そして何よりオーナーさん、更にその前のオーナーさんが大事にメンテしてこられたことを知っている素性の良い車両が手の届く非常に良心的な価格であること。

これほどの好条件はまたとないでしょう。

更にはCB1300SBで私の技能向上を後押ししたいというCBのオーナーさんの心遣い。

 悩んだのは、GSX-S750に加えてCB1300SBの2台持ちは経済的に難しく、GSX-S750とCB1300SBのどちらかを選択しなくてはならないこと。

ハンドル切れ角とか低速トルク不足とかあるにせよ、忘れもしない2019年、大分のオートポリスで開催されたスズキファンライドフェスタ。ここでの試乗でココロわしづかみで一目惚れして以来、自分にとって史上最高のマシンであり続けたGSX-S750を手放すというのはちょっと覚悟がいる決断でした。

とはいえ、上々のCB1300SBに出会えた好機。バイクとの出会いは一期一会。自分が上達するための大きな転機になるかもしれない。悩みはしつつもそこは割り切って、GSX-S750の売却益がCB購入価格に届かなかった場合の差額を出してもらうという約束をヨメから取り付けて、CB1300SBの購入に踏み切りました。

(結果的にGSX-S750は僅かながらもお釣りがくる価格で売れたので家計への負担は生じませんでした。)

 

 今、GSX-S750は売却が無事に済んでもはや手元になく、駐輪場のGSX-S750をおいてあった場所にはCB1300SBがあります。

CB1300SBは前オーナーさんのご厚意とご尽力で名義変更が速やかに済み、任意保険の切り替えも済ませて昨日、晴れて乗れる状態となりました。

(名義変更や車両の運搬など、ご多用のところ手厚くご配慮、ご対応いただいた前オーナーさんには心底、感謝いたしております。)

今はGSX-S750を手放した一抹の寂しさと、これから始まるCB1300SBとの新たな日々へのワクワク感がないまぜになったような状況です。

CB1300SBに慣れて特徴や性格、GSX-S750との違いなどがわかるためにはそれなりに乗り込まなくてはならないのでこちらのインプレは少しあとの楽しみにとっておき、本ブログでは次回、まずは3年間乗ったGSX-S750を振り返ってみようと思っています。

 

ということで今回は取り急ぎ、GSX-S750とお別れしたことのご報告まで。

 早いものでGSX-S750に乗り始めて3年が経過しました。

新車で3年経過といえば車検。今までは車検免除の小排気量車にしか乗ったことがなかったので無縁でしたが、今はそうもいかず。

何かと物入りな昨今、車検費用を心配しつつ、車両をショップに持っていきました。

 事前に聞いていたおよその費用イメージは、「何事もなく車検を通すだけであれば4‐5万円程度」といったものでした。

しかし、3年も乗っていればさすがに無傷というわけにもいかないはずなので、これにいくらかの上乗せは致し方ないところです。

結論としては下表の費用がかかりました。

車検を受けるにはショップに委託する他にユーザー車検という手もあります。車検に受かるための勘所や手順がわかっていれば安価に済ませることができるようです。

また、YouTubeで、「バイク、ユーザー車検」などのキーワードで探せば手順や必要な書類の作成方法などを丁寧に説明した動画も山盛り見つかると思います。

私も迷いましたが、乗り方が乗り方なので一般的な使い方の車両よりは損耗も激しいことから、人間が人間ドックに入るように3年めの節目にしっかりプロの目で見てもらおうと思ってショップにお願いした次第です。

 

 費用の内訳ですが、「法定費用」 の分はどこのショップへ持っていこうと、ユーザー車検であろうとかかってくるであろう費用です。

逆の言い方をするとユーザー車検であればかかる費用はおよそこの程度なのだと思います。

「車検代行費」 はショップがオーナーに代わって諸手続きをしてくれる手間賃ですね。

ボルト5本はよくわかりませんが、5本という本数からしてリアのブレーキディスク交換時に替えたものでしょうか。

プラグは以前別件で見てもらった際にも交換時期が近いと言われていたので想定の範囲内。(写真は古いプラグ)

少々お高いけれど長持ちするという触れ込みのイリジウムプラグにしました。

エアフィルターは汚れ具合から交換の判断となったようですが、GSX-S750という車両、デザインの関係上で色々付いているせいでエアフィルターを交換しようと思うと交換そのものよりも、その前のあれこれ外す作業が途方もなく面倒です。たかがエアフィルターの交換なのですが、その面倒を考えるとこれは事実上、ショップに頼まざるを得ない作業です。

このメンテナンス性の部分、もうちょっとなんとかならないものでしょうか、スズキさん。

 想定外はリアのブレーキディスク。

新品ディスクの厚みは5mm。サービスマニュアルによると、4.5mmを切ったら交換との由。

車検時に厚みを測定したところ4.3mmだったのでこれは交換時期ですね、ということで。上の写真は交換前の摩耗したディスクで、写真ではよくわからないのですが素人目にも減ってます。

私はリアのパッドの方はデイトナの赤パッドを使っています。

お店のメカニックの方いわく、ディスクへのダメージが少ないのが売りの赤パッドですが、赤パッドの車両ほどディスクの損耗が進んでいるような気がするとのこと。実際、パッドがディスクの摩耗にどう影響するかは厳密に測定条件を合わせて比較しないとわからないのであくまでも店の方の主観ではありますが、多くの車両を整備してきた方の意見として参考までに。

私の場合、低速練習にせよスラローム練習にせよリアブレーキは踏みっぱなしのようになるのでパッドの種類云々よりはそういった乗り方の影響の方が大きいのではないかと思います。

そもそも、ショップで見てもらわなければディスク交換の必要性にも気づかなかった訳で、ましてブレーキディスクの交換となるとキャリパーを外して後輪を外して…、みたいな大掛かりな作業になるのと、キャリパーを外すような作業は有資格者しかやってはならないため到底素人の出る幕ではなく、工賃とディスク合わせて16千円強という費用は痛いにしても、ここは結果的には車検をショップに任せて吉だった感じです。

 反対にちょっと惜しかったのは上の表の薄く黄色をつけた2項目。

Lタンデムステップ交換というのは、普段は左のタンデムステップは外していて、転倒に備えてスライダーをつけています。(下写真)

車検の際にはこれを元のタンデムステップに付け替えないと行けないのですが、それを忘れていてショップにタンデムステップをあとから持っていって付け替えてもらった際の費用。スライダーのままでは車検に通らないことは知っていたので事前に自分でやっておけば省けた費用です。

また、ブレーキのパッドに関しては普段は自分で交換しているし予備のパッドも常に持っているので車検に出す前に自分で交換しておけば省けた費用です。

両者合わせて2千8百円と全体から見ると小さな割合で、セコい話ではあるもののちょっと注意していれば…と思うと悔しい限り。

 それはさておき、車検は無事に通って、換えるべき部品も交換しました。が、車検を通すには影響なく、当面乗るには支障はないものの、近々手を入れたほうが良い箇所が2つありました。

一つは左クランクカバーのオイル滲み。これはよくよく見ないと気づかないほどの滲みで、オイルが垂れるようなものではないので車検を通すには支障なく乗り続ける分にも問題なし。カバー交換の際にはオイルを抜かなくてはならないとのことなので、それなら次のオイル交換のタイミングでカバーの方も一緒にやってもらいましょうということにしました。

もう一つはドライブ/ドリブンの両スプロケットとチェーン。

特にドライブスプロケットは走行距離(18,000km弱)の割には損耗が進んでいるとの由。普通に乗っているとこの距離でこれほど摩耗はしないとのことなので急加速と減速を繰り返すような練習をしこたまやってきた結果と思われます。

ドリブンスプロケットの方はそこまで摩耗はしていませんが、チェーンはそこそこ伸びてきているので今年夏頃のタイミングで交換したほうが良いでしょうというのがショップの見解。

スプロケットとチェーンはセットで交換が原則なのでそこそこの金額になりそうです。とほほ…。

また、次の車検は2年後。バイクってこういうところで意外とお金がかかるんですね。

 最近、GSX-S750のブレーキ・クラッチレバーについて社外品より純正のほうが操作性がいいよ、といった話をほぼ同じ時期に各々全く別のルートから聞いたのですが、車両を購入して1ヶ月も経たない2021年の4月には現在装着している社外品に交換したため純正レバーの記憶は事実上ゼロ。真実は如何に?というわけで早速純正品に戻してみました。

手順は純正レバーを社外品に交換した際と全く同じなのでその際のブログ記事も合わせて参照いただけますと幸いです。

現在装着しているのは左右ともに6段階のレバー一調整が可能、かつ転倒時にレバーが折損しないように倒れるようになっている社外品です。

経年で色褪せて薄紫になってしまいましたが、元々は車体色に近い青でした。

まずは作業が簡単なブレーキ側から。

 

こちらはピボット部分のボルト・ナットを外すとブレーキレバーが外れるので純正レバーに付け替えて元のとおりにボルト・ナットで締めます。

ちなみにブレーキレバーは純正品も6段階の位置調整が可能です(可倒式ではありません)。

 次にクラッチレバー側。詳細は21年4月記事の手順通りなので割愛しますが、ピボットのボルト・ナットを外してクラッチレバーの遊びを調整するためのロックナットを緩めてアジャスターを遊び最大側に回すとクラッチケーブルがユルユルになってレバーが容易に外れます。

こちらも純正レバーに戻して逆の手順で固定して最後に遊びを調節して完了。

純正に戻して直後の練習会で感触を確認してみました。

そもそも、ブレーキもクラッチも指2本掛けにこだわっていたので純正から社外品に交換したのですがその後、安全系の練習をするようになってどちらも指4本掛けで操作するようになりました。

人差し指と中指の2本掛けでは特にクラッチは重くて純正レバーでは位置が遠いこともあって操作に難渋していましたが、4本掛けであればそこは全く問題にならないことが判明。

むしろ、断面が角ばった形状の社外品より、断面が丸みを帯びた形状の純正レバーのほうが操作性は格段に良いことがわかりました。

もし21年4月の記事を読んで同じ社外品に交換した方がおられたら、大変申し訳無いです。

純正のパーツはなんであれ、それなりに考えられて作られています。

 

 私はそもそもバイクは可能な限りノーマル、純正部品がよいと思っています。各メーカーのエンジニアが、一般的な使い方の範囲内で最もバランスが良いであろうと(また、スズキの場合はコストミニマムも最大限考慮の上で)、考えに考えた末に決定したセッティングになっているはずであり、素人の浅はかな判断で交換しても多くの場合無駄にバランスを崩すだけに終わるであろうというのがその根拠。

今回、左右のレバーを純正に戻してみて純正パーツの良さと自分の浅はかさを再確認した次第です。

クラッチレバーについては位置調整機能がないので手が小さめの方は指4本掛けでもちょっと操作に苦戦するかもしれないのですが、位置調整可能な社外品に交換する場合も値段や見た目のかっこよさだけで決めずに操作性や手に馴染む形状かなどを充分に吟味されることをおすすめします。

 今までオイルだけ自分で交換はやっていましたが、今回はお盆休みを機にオイルフィルター(オイルエレメント)もセットでの交換にチャレンジしました。前回のオイル交換が11,867km、今回は15,208kmなので3,300kmちょっとでの交換となります。

なぜ大げさに「チャレンジ」なのかというと、愛機GSX-S750はデザインやら諸々のためにメンテナンス性がやや犠牲になっていて、私としてはこのオイルフィルター交換はその最たるものの一つと思っているからです。

こういうことをやるのはまとまった時間が確保しやすいお盆休みなどがよい機会です。

 

 まずは準備。何事も「段取り7分」といいますが、準備がしっかり整っていれば本番の作業もスムーズに進みます。

古いオイルを受けるために世の中には ポイパック という便利なものがあります。私の場合、仕事でオイルマットを使うので捨てられているオイルマットのまだ使えそうなのを会社のゴミ捨て場から拾ってきて、段ボール箱に詰めて自作ポイパックを作製しています。

ポイパックは購入してもそんなに高価いものではありませんが、廃品利用のSDG'sということで…。

そして、持っていなかったオイルフィルターレンチを新たに購入しました。スズキ純正を含めていくつかのメーカーから出ていますが、とあるWeb記事を参考にKTCのものを選択しました。

GSX-S750の場合、見るからにオイルフィルターとマフラーの間隔が狭く、トルクレンチが入るのだろうか…と以前から不安に思っていましたが上記のWeb記事を見ると案の定、これが最大のネックのようです。

オイルフィルターレンチの中央部は差込角3/8sq-9.5mmです。

なのでまずは2つ持っているトルクレンチの大きな方(同じ差込角3/8sqのもの)で試してみました。

危惧していたようにやはり、どう頑張ってもトルクレンチはオイルフィルターレンチとエキパイの隙間に全く入りません。

ちなみに、差込角1/4sqの小さい方のトルクレンチでも同様に、角度をどう工夫しようともこの隙間には入りませんでした。持っているトルクレンチのサイズや形状の関係もあると思いますが、上記Web記事に記載されているような、横から工具を入れる線は諦めたほうが良さそうです。

ではどうするか?

手持ちのモノを組み合わせて上の写真のようなセットを考えました。

写真右から、差込角1/4sq-6.3mmのトルクレンチに、同差込角のエクステンションを繋いで、1/4sq→3/8sqの変換ソケットを介して、差込角3/8sqのオイルフィルターレンチにつなぐ、という組み合わせです。

4本のエキパイが交錯していて、エクステンションがまっすぐにオイルフィルターレンチに差さるのかが心配でしたが試してみるとなんとかいけそうな感じがします。

世に言う(?) 「作業以前にそもそもトルクレンチが全く入らない問題」 は辛くもクリアできそうです。

他に準備として購入したのは、これがなくては始まらない、オイルとオイルフィルターです。

ガスケットはスズキ純正のM14のもの、オイルはそこそこ安くてそこそこレビューの評価が良いカストロールの部分化学合成のものをセレクト。

オイルフィルターはデイトナのものが若干安かったのですが純正品とサイズが全く同じなのかが分からず、フィルターレンチとの相性(純正を想定しているはず)も考慮してスズキ純正を購入しました。

純正のフィルターは供給が不安定でAmazonでもあったりなかったりなのが少々不安です。

こんな感じでとりあえずの準備は整いました。続いて本番の交換作業。

 およその手順としては、

1) ドレンボルトを外してオイルを排出。

2) オイルフィルターを取り外す。

3) ドレンボルトを締めて新しいオイルフィルターを取り付ける。

4) 新しいオイルを補充する。

の4段階です。

 まず、1)のオイル排出に先立って、オイルを少し温めるためエンジンを始動して1~2分程度アイドリングします。

オイルパンの下に自家製ポイパックを配置して、ドレンボルトをゆるめます。外すときはトルクは関係ないのでメガネレンチなど作業しやすい工具でOK。

ちなみに、アンダーカウルは外さなくて良いのか?ですが、結論から言うと外さなくてもオイルもフィルターも交換はできます。

外したほうが作業性は良いと思われますが以前、オイルだけ交換の際に外そうとして非常に手間取った挙げ句に結局どうしても外せなくて断念したことがあるので今回はアンダーカウルについては外さないままの作業となりました。このあたりもメンテナンス性につながるので改善してもらいたいところです。

で、ドレンボルトですが手で回る程度までゆるんだらあとは手でボルトを外します。

アイドリングでオイルが温まっているので手についてヤケドしないように注意しましょう。

オイルが排出され始めたら車体右側のオイルフィラーキャップを緩めます。

ドレン口は車体の左下に配置されているのでサイドスタンドをかけて左に傾いて停止している状態でオイルはしっかり排出されます。ただ、オイル循環の経路は複雑なので時々、車体を起こして経路内のオイルをパンに落としてやったほうが良いみたいです。

ちなみに、今回抜いたオイルはまだ若干の透明感も残っていてあと1,000kmぐらいは余裕でいけたかな、といった感じでした。

およそオイルが抜けたら次に手順2)のオイルフィルターの取り外し。フィルターを外した際にも残ったオイルがまあまあの量、垂れてくるのでフィルターの直下、エキパイの集合部分あたりにオイルマットを小さく切ったものを敷いておくと良いでしょう。フィルターもメガネレンチとかモンキーレンチとか、外すときはトルクは関係ないので使いやすい工具でよいです。

次の工程に進む前にメンテナンススタンドで車体を垂直に立てます。オイル補充の際に車体右側のオイルゲージを見ながらちょっとずつオイルを継ぎ足しますが、このとき車体が垂直である必要があります。

ここでちょっとやらかしてしまったのですが、スタンドを掛けて車体が垂直になった途端にフィルターを外したところからまとまった量の残オイルが出てきて、エキパイの集合部分の上に盛大に垂れて、床まで汚してしまいました。(汚した箇所はオイルマットで吸収させて可能な限り原状復帰しました。  -_-;)

 次に手順の3)。まず、ドレンボルトを締めます。ドレンパッキンは新品に交換。スズキ純正のパッキンは締めると潰れてシールするタイプのモノ。

くびれた形状で、写真ではわからないのですが一方は丸く、他方は尖っています。手で触ると形状の違いは容易に判ります。尖ったほうがドレンボルト側、丸いほうがオイルパン(車体)側になるように装着。ネジの噛み合いを確認しながら手でボルトを回していきます。ネジもの全般に言えますが、「最初は必ず手で回す」 を厳守です。

最初から工具を使うとネジの噛み合いが感じられないため、斜めに入っていても気づかず、そのまま無理に回してネジ山を壊してしまうと大惨事です。(想像しただけでも恐ろしい…。)

手で回る限り手でまわし、最後はトルクレンチで規定のトルク(ドレンボルトは23N・m)で締め付け。

次に件のオイルフィルター。こちらは装着前にフィルターに新品のオイルを100mL程度(もちろん目分量で可)を入れます。これによりエンジン内のオイル循環経路に空気が入りにくくなる効果があるようです。そしてOリングに薄くオイルを塗布しておきます。これはシール性向上のため。

こちらも装着時には手で噛み合いを確認しながら回していき、手で回らなくなったら前述の「フィルターレンチ + エクステンション + トルクレンチ」で規定のトルク(フィルターは20N・m)で締め付け。

トルクレンチについては、「アナログの安物のトルクレンチでどんだけ精度あるんだよ。」という向きもいるようですが、オーバートルクはトラブルのもと。ネジ山を壊したり、オイルパンのような鋳物であれば最悪、締めすぎで割れることもあり得ます。

そう考えると多少の誤差はあるにせよトルクレンチを使って、規定値に近いトルクで締めておくのがやはり無難でしょう。

 最後に手順の4)、新しいオイルの補充です。これはオイルジョッキにオイルを入れて、オイル補給口から入れていきます。GSX-S750の場合、フィルターまで交換した場合は約3.6Lのオイルを補充することになりますが、最初の2Lは何も考えず、オイルジョッキ2杯分を淡々とこぼさないように入れます。次の1Lは一応、時々レベルゲージを確認しながら入れて、3Lを超える分はレベルゲージをにらみながら慎重に少しずつ継ぎ足していきます。レベルゲージのLとFの間あたりまできたら、一旦補充を止めて、フィラーキャップを閉めてエンジンを30秒程度回してフィルターも含めたエンジン各部にオイルを循環させます。エンジンを止めてオイルがオイルパンに落ちるまでしばし待ちます。(目安としては、一旦部屋に戻って、食事したり休憩したりするくらいの時間。)

ここでレベルが下がっていたら液面がオイルゲージのLとFの間にくるように補充して作業は終了。

 

 ここまでで半日かかっていますが、今回は盛大に残オイルをエキパイの集合部分に垂らしてしまったのでこのまま洗車までやってしまうことにしました。洗車をするならチェーン清掃も自ずとセットなので残り半日でこれらを片付けることに。ああ~、疲れた。

試走も兼ねて長井鶴交通公園まで行って少し練習もしましたが漏れなどなく、フィーリングも上々。最近は低速の練習も多く、エンジンにも負荷をかけ気味なので早めのオイル交換で正解だったかも。

 

 準備も含めてやってみるとまあ大変でしたが、ショップに作業をお願いした場合と費用面でどのくらいちがうのかを比較してみました。

 

オイルはショップではモチュールの3100という上物を使っているのでここの差額は大きいです。ただ、カストロールのPOWER1も使ってみた感想としては決して悪いオイルではありません。

フィルターは同じスズキ純正なので価格は同じ。フィルターレンチは今回購入した分をそのまま計上していますが、初回限定のこれを除けばショップに頼むより\3,400ほど安く上がります。それにしてもショップに頼んだ場合、これだけ面倒な作業をやって工賃が\880とは、なかなかに良心的だなというのが自分でやってみての正直な感想です。

チリも積もればで、差額として小さくはありませんがそれ以上にこういった作業を自分でやることで色々と調べるのでメカやメンテについて知識が増える、自分でやることで車両への愛着がより湧く、作業そのものを楽しむ、など金額を超えたメリットもあるのではないかと自分では考えています。

 時は2023年6月4日、所は筑後自動車運転免許試験場。第51回 二輪車安全運転 福岡大会に参加してきました。

「二輪車の安全運転技能と交通マナーの向上を図り、もって交通事故を防止する。」 

を趣旨とするこの大会のことを知ったのは昨年の第50回大会の直前でした。昨年は参加するには準備が全く整っていなかったので見送り、今年満を持しての参加となりました。

主催は「一般財団法人 福岡県交通安全協会(通称:安協)」です。

  大会はあくまでも個人競技ですが、大会の1ヶ月ほど前から上位入賞という志を同じくする仲間とチームを組んで大会に向けた練習を積んできました。

早めに会場入りしたのですが受付を待つ間にも続々と参加者が到着してこの日の参加者は全クラス合計で26名でした。

(原付クラス3名+普通二輪クラス9名+大型二輪クラス14名)

競技課題は、

1.法規履修走行

2.技能走行

 1)ブレーキング

 2)一本橋走行

 3)千鳥走行

の4種目。

各競技の配点は

 法規履修走行   500点

 技能走行 ブレーキング50点、一本橋50点、千鳥50点

計650点で、ここからの減点方式です。

法規走行の配点がダントツで高く、これがために初心者が一発逆転、上位入賞といった番狂わせが往々にして起こったりします。

腕に覚えがあるベテランには少々納得いきかねる配点かもしれませんが、初心者にも門戸を開くという観点からは悪くないと思います。

 車両検査を待つ間にチームの面々と法規履修走行のコースを歩いて下見することにしました。

歩きながら指示器を出すタイミング、車線変更箇所の目安、一時停止が必要な場所の確認などをしていきます。

大会に備えての練習で練習場所を提供いただき、指導もしていただいた指導員の方も一緒にコースを歩いてくださったのでその場で色々と確認できてとても心強かったです。

 次に急制動のゴール付近を下見。速度計測の光電管の位置やブレーキ開始位置などを確認。

 更に、一本橋と千鳥のコースを下見。一本橋は教習所でおなじみの幅30cm/長さ15mのあれです。

千鳥は幅3m/長さ10mの走路が5本隣接していてそれぞれが幅1.2mのゲートで接続されたような形をしています。この走路を線を踏むことなく、パイロンに接触することなく低速で走り抜ける競技。

これらのスタート位置とゴール位置を確認。

 

 一通り下見を終えたら参加者全員が控室に集合して開会のセレモニー、選手宣誓、競技説明が行われます。

競技説明の際に質問時間があり、主に法規履修走行についていくつか質問が出ました。

Q:乗車の際にまたがってからスタンドを払って良いか?

  → A:ダメ。スタンドを払ってから乗車。

Q:スタート直後は対面通行の道路とみなしてよいか?

  → A:そのようにみなして走行してください。

Q:ゴール(コの字型)は路側とみなすと左指示器を出して停止する必要があるが、どうか?

  → A:指示器は出しても出さなくてもどちらでも良い。

などなど。

我々のチームもそうですが、この大会を目標に練習してきた参加者は多いのでやはり質問にも熱が入ります。

 

 競技は3班に分かれて分散して実施です。

  A班:原付きクラスNo.1~3 + 普通二輪クラスNo.1~5

  B班:普通二輪クラスNo.6~9 + 大型二輪クラスNo.1~5

  C班:大型二輪クラスNo.6~14

私は大型二輪クラスのNo.5なのでB班のトリ。

B班は急制動から。

 急制動は数十メートルの助走路を走行。進入速度40km/h以上でブレーキング。10m以内で停車。各自1トライの勝負。

進入速度不足、2m以上の後輪ロック、ブレーキに指がかかったままでの進入、2速以下での進入、10mを超えて停車、等など…が減点項目になります。

私はB班9名の最後なので皆さんが次々にトライするのを見送って、最後にトライ。

進入速度は40.2km/h、制動距離は7.6m。減点なしの50点ゲット。

 次が一本橋。基準タイムは18秒でこれより長くても加点はなし。18秒に達しない場合、1秒短くなるごとに5点ずつ減点。他に足つき、脱輪、転倒、等など…が減点項目。

脱輪は40点と減点(且つそこで競技は終了)が大きいのでとにかく粘らない、落ちない、粘らない…と心に念じながらなんとか落ちずに完走して16.07秒。普段の練習では19~20秒は安定して乗れるのですがここで出るタイムが本来の実力。2秒マイナスなので5点✕2秒=10点の減点…。

落ちなかっただけよし!と割り切ります。

 次は千鳥走行。コレが自分に取っては鬼門。走路幅が3mで、愛機GSX-S750のカタログ上の最小回転半径が3m。

数値上、ギリ行けそうに思えるのですがゲートの狭さからラインが限定されることもあり、実際にやってみるとコレが難しいというか、完全に物理的に無理な感じ。

練習の際も私のために走路幅を広げてもらったり、ゲートのパイロン位置をずらしてもらったりと周囲に気を遣わせることも多く、なんというか、そういう意味も含めて厄介な種目です。

出る以上、断じて諦めてはいなかったのですがさりとて完走する自信もなく、内側のパイロンに接触して減点されてでも最後まで行く作戦を考えていました。

採点基準は、走路を区切るラインを踏むコースアウトは40点減点(且つそこで競技は終了)。転倒も同様。ラインを踏みそうになって足をついてそこから車両を足でバックさせても指示違反で同様。

これに対してパイロン接触は1本あたり10点減点で済むのでまだしも傷は浅いというわけです。(4回接触したら同じことですが…。)

結果は2つ目のゲート通過時に景気よく内側のパイロンを吹っ飛ばしたにもかかわらずその先でラインを踏んでしまいあえなく終了(号泣)…。

ある程度覚悟はしていたものの、やはり完走できない種目があるというのは辛いもの。

GSX-S750、ホントに良いバイクなんですがハンドル切れ角の小ささ故にこの種目には全く不向きです。

 しかしまだ競技は終わっていないので気持ちをすっぱり切り替えて最後の法規履行走行。

客観的に見ると、配点が大きな法規走行で大崩れしなければトータルではまだ上位入賞の目はあります。(実際にはこの時点で、上位入賞なんて夢のまた夢と思っていましたが…。)

「シロウトが法規走行を語るな!」とベテランの方々に怒られるかもしれませんが、法規走行で大切なことの1つは確認すべきことを確実に確認して、しかも採点者に確認したことをキチンと"見せる"こと。

このために乗車時の後方確認などは、「後方よし!」と元気に口に出すとか、交差点での左右確認は頭を大きく左右に動かすとか、色々と工夫が必要です。

もう1つはメリハリのついた運転。ゆっくり安全最優先で走っていればいいかというとそういうわけでもなく、緩慢すぎる運転は減点の対象になります。広くはないコースですがそれでも直線ではしっかり速度を上げて交差点手前ではしっかり減速する。

走る前はそんなことを頭の中で反復していましたが、いざスタートするともうアタマ真っ白状態でどこをどう走ったのか、緩急がついていたのかどうかもよくわからないままゴール。コースミスしないのが精一杯でした。

大きなミスはなかったと思うものの、さりとてすべてのポイントをキチンと押さえたという手応えもなく、なんだかもや~っとした感じで全種目終了。

 

 ここで昼休み。チームの皆さんと、なんだかあっという間に終わっちゃいましたね、みたいな話をしながら持参したおにぎりで昼食。

 

 午後は技能講習。もう競技は終わったのでピリピリした感じもなく、2班に分かれて低速走行(極小バランス)、スラローム走行に熱中。

 

 技能講習も終えて、いよいよ結果発表。

実はここでまさかの一波乱がありまして、一通り表彰式も終了して賞状、トロフィーの授与までなされたあとにどうやら採点にミスが有り、順位が変動しそうな雲行き。

ちなみに私は表彰式時点でまさかまさかの大型二輪クラス3位入賞を果たしていました。

コレ(↓)が幻の3位入賞の写真。

賞状とトロフィーをもらいながらも実際のところ、こんなウマい話があるのだろうか、素直に喜べんなぁ…と心の中は半信半疑の状態。そうこうするうちに全員の採点結果が張り出されて前述のように何か点数がおかしくない?みたいな展開になった次第。

再集計のため、順位は一旦白紙になり、授与された賞状、トロフィーは回収されて順位不確定のまま大会は終了。

正式な順位や各種目の得点は後日、各自に連絡との由。

 なんだかものすごくモヤモヤしたままではあるものの、この日に向けて練習を積み、持っているものは全部出し切って大会を終えました。

練習ではもっとできたのに、と言ってみたところでここで出た結果こそが今の本当の実力なのだと思いました。

一本橋は普段20秒以上乗れていたといくら言ってみたところで大会本番で記録した16秒が今の本当の実力。

大会本番で安定的に20秒乗るためには普段の練習で30秒乗れるようでなくては、と新たな目標もできました。

表彰式のとき、3位として自分の名前が呼ばれたときに自分もびっくりしましたが、それ以上に周囲の「なんでコイツが?!」という雰囲気もはっきりと感じました。

自分が思うのはともかく、周囲にそう思われたことが今思い出しても悔しい限り。自分でも各種目の中身は到底納得行くものではなかったし、特に千鳥走行は完走すらできていない以上、周囲にそう思われるのも当然ではあるものの、やはり悔しいものは悔しい。何より自分に対して悔しい。

この悔しさを晴らす方法はただひとつ。決して簡単ではないけれどシンプルな方法。全種目、文句なしの高得点で入賞すればいい。

来年は実力で上位に入賞して自分も周囲も納得させてやるゼ!と密かに、しかし強く思う次第です。

 何はともあれ、ともに練習し本番に臨んだチームのメンバー、ご指導頂いた指導員の方と記念撮影。

自分一人では到底ここまで来ることはできませんでした。皆様にただ感謝、感謝です。ありがとうございました!

 

 大会翌日、主催の安協さんから直接、電話がありました。再集計の結果、私の正式な順位は5位とのこと。

6位までが入賞となるので私は初参加にして入賞を果たすことができたことになります。

安協の方は平謝りの体でしたが、各競技の中身を考えると3位は出来すぎ、5位でもまだ出来すぎで私個人としては順位が下がったからといって怒る筋合いの話でもありません。

(運営としては採点ミスは良くはありません。もちろん。)

入賞した嬉しさはもちろんありますが、それよりも何というか、中身が伴っていないことによる複雑な思いや忸怩たる思いのほうが先に立ってしまいます。まさに、「試合に勝って勝負に負けた」 感。

しかし、もう過ぎたこと。来年の大会にも出るつもりですし、出る以上は次こそ納得の行く結果を残したいと思っています。

このままでは終われませんよ。

 

更に後日、郵送で正式な結果が届きました。

各種目の点数は下記の通り。

 ・法規履修走行:500点

 ・急制動:50点 (40.2km/h、7.6m)

 ・一本橋:40点 (16.07秒)

 ・千鳥走行:10点 (コースアウト)

  合計:600点

全種目満点で650点。ここから一本橋と千鳥で計50の減点で600点。

法規走行はなんだかんだで満点。これは素直に嬉しいです。

一本橋はもう少し粘れるように普段の練習からもっと上のタイムを狙っていきたいところ。満点完走は決して届かない目標ではないと思います。

問題はやはり千鳥走行。多少減点はあったとしても完走できていればもう少しまともな勝負になったであろうことは明らかです。

大会用と割り切ってハンドルが切れる別の車種をなんとか入手するというのも一つの道ではあります。

良い車両と巡り合って(且つフトコロ具合と折り合いが付けば…)実際にそうするかもしれませんが、仮にそうしたとしてもそれは自分の中では通過点。何年かかるかわかりませんが、いつかは愛機GSX-S750で上位を狙いたいと密かに思っています。

重心が高く低速トルクが薄い210kgオーバーの車両を、エンスト覚悟で極低速でバンクさせながらゲートを通過するような芸当をこなさなくてはなりません。口で言うほど簡単でない、茨の道だということは充分にわかっていますが、それでも、それだからこそ、もし達成できたらかなりカッコいいと思います。

何にせよ、練習、練習、練習あるのみですね。練習は嘘つきませんから。