抗菌薬③セフェム系:第1世代 | 消化器内科ゴロ寝お勉強日記

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病棟スタッフの皆さんに、日常業務の役に立つ情報を提供しようと思います。ゴロ寝しながらでもサクサク読めて、必要な知識だけ頭に入るような内容にしようと思いますので、是非暇なときに一読して下さいね!

さてさて、セフェム系各論でございます。

第1世代セフェムは中でも特にシンプル!
でもついつい余計な知識も書いてしまったのでグレーの部分は余力がある人だけでイイデスヨ!

第1世代セフェム
スペクトラム:グラム陽性球菌(GPC)に効く

もうマジでこれだけ!
と、まずは覚えて下さい。

ちなみにここでいうGPCは当然?のことながら黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌:MSSA)を含んでいます。

ペニシリン系のところではMSSAの扱いってややこしかったですよね。
ABPCやAMPCは用いるべきでない(耐性率が高いから)一方で、βラクタマーゼ阻害剤と合剤にしたABPC/SBTやAMPC/CVAは用いることができるのでした。

第1世代セフェムはというと、
MSSAの第1選択薬🌟
と考えてもらって結構です。

そろそろどんな場合に黄色ブドウ球菌感染を疑うかレクチャーしないとですね。。。


次に覚えるとすれば、GPCでも効かない菌。

第1世代セフェム
GPCなのに効かない菌:MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌),PRSP(メチシリン耐性肺炎球菌)

今までレクチャーで一回も肺炎球菌について取り上げてこなかったのに今更何出て来とんねん!と思われるかもしれませんが、まあまあ大事な知識なので一先ず覚えておいて下さい。


逆に、第1世代セフェムは実はグラム陰性菌にも効くよっていう、それこそまさに今更何言い出すんだよ!!的な事実もあります。大腸菌やクレブシエラやプロテウス(プロテウスにはProteus mirabilisとProteus vulgarisがありますが第1世代が効くのはmirabilisだけ、vulgarisには無効です。個人的にはmirabilis≒ミランダカー➡︎セレブなのに洗剤のCMにも出ててなんか親しみが持てる➡︎抗生剤効きそう、vulgaris≒ブルガリ➡︎高級だしモチーフが遺跡でなんかゴツゴツ➡︎抗生剤効かなそう、という無理矢理な暗記の仕方をしています。)などです。

これらはいずれも腸内細菌で尿路感染の原因になったりします。問題なのは大腸菌とクレブシエラがESBLというβラクタマーゼを産生することがあり、その場合第1世代セフェムは無効になるということです。なおかつこれらの菌はESBLがなくても第1世代に耐性の株が多少存在しており、第2世代セフェムの方が耐性率が低いのです。ですからGNRに対して第1世代を使うと、なんで耐性の少ない第2とか第3世代セフェムにしないの?という指摘を受けるので、だからこそ第1世代はGPCのみと覚えて欲しいのです。

こういう例外というか、余計な知識を知ってしまうと混乱をきたすもとになるんですが、実は後に書くことになる経口第3世代セフェムのスペクトラムの話と関わりがあるので書いてしまいました。あ〜。

ちなみにこういう例外はPIPCにもあってPIPCもまあまあGNRに効くのです。ペニシリンのくせに。

最後はよく使うお薬名を覚えて終了です!

【点滴】
一般名:セファゾリン(CEZ)
商品名:セファゾリンやセファメジンαなど
ホントこれだけ。

【内服】
一般名:セファクロル(CCL)
商品名:ケフラール
一般名:セファレキシン(CEX)
商品名:ケフレックス
「ケフ」と付けば経口第1世代セフェム、それくらいの認識でOKです。ケフラールとケフレックスだとケフラールの方がたくさん処方されているんじゃないかと思います。よってケフラールという名前さえ知っていればよし!一般名も別に覚えなくて結構です!

ちなみにケフラールはケフレックスのスペクトラムにインフルエンザ桿菌をプラスして開発されたそうですが、インフルエンザ桿菌に対して第1世代セフェムは効力が弱いのでインフルエンザ桿菌に対して第1世代セフェムを使わないように気をつけて下さい。あと、ケフラールは他のβラクタム系に比べてアナフィラキシーが10倍に多いという報告がありこれまた要注意です。

はぁはぁ、いっぱい書いてしまいました。ちなみにが多すぎましたね。
第2世代以降、大丈夫だろうか。
たくさん呼んでくれた方々、本当におつかれさまでした😣