消化器内科ゴロ寝お勉強日記

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病棟スタッフの皆さんに、日常業務の役に立つ情報を提供しようと思います。ゴロ寝しながらでもサクサク読めて、必要な知識だけ頭に入るような内容にしようと思いますので、是非暇なときに一読して下さいね!

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消化器内科で貧血といいますと、消化管出血からの貧血で小球性貧血になっていることが1番多いと思いますが、意外と多いのが酒飲みの大球性貧血です。


大球性貧血は普通ビタミンB12欠乏だったり葉酸欠乏を鑑別に挙げると思いますが、消化器内科医が診る人数でいうと酒飲み大球性貧血の方が多いかもしれませんね。


酒飲みだからほとんどご飯食べてなくてビタミンや葉酸欠乏になってるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、それらの病態が併存していなくても大球性貧血を生じることがあるんです。ちなみにお酒飲みの人はアルコール性肝障害を持っていることがありますね。慢性肝障害も大球性貧血の原因になることがありますが、アルコール性肝障害がなくても大球性貧血は生じます。


そもそも赤血球の大きさの指標であるMCVは慢性多量飲酒のマーカーとなります。


アルコール多飲者では高度のアセトアルデヒド曝露による骨髄障害で大球性貧血を生じてしまうんですね。飲酒後に生じるアセトアルデヒドの代謝酵素であるALDH2のヘテロ欠損者では、2合程度の飲酒でもMCVが増大します。


ちなみに実は、貧血=赤血球の減少だけでなく、白血球や血小板の減少も来します。


アルコール多飲者の骨髄像は異形成をしめすことがありますが、アルコール摂取は骨髄異形成症候群のリスクではありません。


アルコール多飲による大球性貧血はビタミン欠乏などその他の病態が併存していない限りアルコール摂取中止後2〜4ヶ月で改善しますので、患者さんへ断酒の指導を行いましょう!