どんな制度でも欠陥をもっています。
わたしも生活保護制度については批判も疑問もあります。
特に全額を本人に現金で給付するのは世界でも非常に珍しい制度です。
たいていの国では生活費など以外にはつかえないような工夫がされています。
それでも
実際に必要があり受給条件のある人が福祉事務所で申請以前に門前払いされる
「生活保護水際対策」と呼ばれる現実があります。
2013年11月、これまでの実態から
生活保護をより厳しく取り締まる引き締め策と生活に困る人への支援策をセットにした
生活保護改正案と生活困窮者自立支援案が国会で可決されました。
改正では貧困問題の専門家から「自治体が不当に生活保護の申請を拒否する水際作戦につながる」と指摘を受けたことに対して
「水際作戦はあってはならないことをそれぞれの自治体に徹底的に広く知らせていく」との付帯決議を採択した。
ここではそれ以前の問題として受給資格のある人をなぜ門前払いできたかということへの理解が抜け落ちています。
その最大の理由は福祉の「本人申告主義」にあると言えます。
窓口担当者が本人に生活保護の条件・必要があるという事実を知っていても
本人が手続きする意志がなければ受理する必要がない。
だから
意思表示・申告書類の不備を理由に手続きに入らないという「水際での拒否」が可能になるのです。
そこには
重要な手続きは代行できるという事実を教えられていないところに問題があります。
受給に必要な条件があれば
有資格者がつくった文書は窓口の担当者は拒否することはできない。
ほとんどの生活保護申請者はこの事実を知らないのです。
手続き文書は司法書士・行政書士に作成をしてもらうことができます。
(弁護士も当然文書をつくることはできますが
それは弁護士は同時に司法書士・行政書士の資格ももつということで
文書作成は弁護士に限らないということです。
文書料だけなら数千円から1万円程度、事情によっては後払いも可です)
学校の授業で人権として生活保護のことを教えるなら
このことは必ず同時に教える必要があります。
自力で手続きができなくとも
どうすることができるかを知らせることが必要です。
というか多くの社会科(公民科)の教科書作成者や教員が頭でっかちでしかないということです。
そこには単なる上っ面の「権利義務教育」しかないのです。
彼らの中には社会の不公平をなくす、不幸な人たちを助けようという気持ちをもった人がたくさんいますが
現実に生きている人たちがどうすればいいか、どうできるかのということが欠けています。
特に法律家の仕事内容、依頼方法の知識が全く欠けているのです。
このような教育が「生活保護水際対策」を引き起こしているのです。
本来ならば義務教育の内に
実際的には高校在学中に
有権者教育をするならば
それだけではなく法律手続き教育もするのが当然です。
特にこれからの時代、代理人制度(エージェンシィ)を知ることは必修です。