「意見と事実-事実を正確に伝えるためには-」 その2
では、前回の「意見と事実(その1)」に基づいて練習問題を解いてみよう。
[1] 次の各文はそれぞれ「事実」を述べた文か、「推論」を述べた文か区別しなさい。
①お店でリンゴを百円で売っている。
②佐々木君は、友達をかばって自分からその役目を引き受けた。
③中村君は満足して笑っていた。
④昨日午後一時ごろ、校門前でバイクと軽自動車との衝突事故が起きた。
⑤鈴木君が包丁で切った傷口は痛そうだった。
⑥鈴木君は成績がよいからきっと勉強家だ。
⑦富士山は日本一高い山だ。
⑧アインシュタインは偉大な科学者だ。
(解答)事実:①④⑦
[2] [1]のうちの推測を述べた文はどのような条件なら事実を述べた文になるか.
②③⑤⑥は本人に確かめたときに、事実だと確かめることができればよい。
⑧については「偉大」の基準があれば判断することが出来る。
[3] 次の(例文)a、b、c、はそれぞれ、
①観察した事実、あるいは誰かによって観察された「事実」についての、正しいか誤りかが確認できる発言。
②わかっていることをもとにわかっていないことについて「推論」した発言。
③話し手の評価・価値判断など「断定」を含む発言。
である。
(例文)
a、敬子さんが歌を歌いながら歩いている。…… ①事実
b、敬子さんは今日機嫌がいいのだろう。 …… ②推論
c、敬子さんは明るくていい人だ。 …… ③断定
同じように、次の各組の発言を(①)~(③)に分類しなさい。
1、ア、プロ野球の××球団はやる気のないチームだ。
イ、プロ野球の××球団は昨日で十連敗だ。
ウ、プロ野球の××球団は今晩の試合も負けるだろう。
2、ア、○○がまた遅刻をしている。
イ、○○はいいかげんなやつだ。
ウ、○○は夜更かしをしたのだろう。
3 ア、晶くんは社会性がない人だ。
イ、晶くんは私におはようと言わなかった。
ウ、晶くんは私のことが嫌いなんだ。
(解答)1、③①② 2、①③② 3、③①②
[4] ある「断定」は、いろいろな「事実」から導き出される可能性がある。
例のように、同じ「断定」に結びつく、異なる「事実」を考えて書きなさい。
(例)
断定 「○○選手は野球選手の鑑だ」
事実1「○○選手はけがをしても試合を休んだことがない」
事実2「○○はファンにサインを頼まれて断ったことがない」
解答例 〇〇選手は〇〇の施設の子どもたちを試合に招待した。
※「断定」は「事実」がどうかよりもその人の価値判断に基づくものなので
どのように「断定」が行われるかというしくみを知ることは
「断定」を客観的に評価するために必要である。
続く
「意見と事実」
その1 事実を正確に伝えるためには