論理学の新しい考え方2 サイエンスは「帰納」から生まれた もっとも実用的な論理 | 母親ひとり親の医療の学校の受験・修学手助けします

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『高校新課程「論理国語」をめぐって』への追加編です。

「論理学の新しい考え方1 キリスト教神学概念からの脱出 「演繹」をめぐって」

の続きになります。

 

こんど「帰納」です。

「帰納」は一般に

「個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。演繹においては前提が真であれば結論も必然的に真であるが、帰納においては前提が真であるからといって結論が真であることは保証されない。」

と説明されています。

 

言いかえれば人間の経験の規則化の方法が「帰納」だと言えます。

数学の定義上であれば完全無欠の証明はありえます。

でも

現実世界の現象は数学(論理)的には完全な証明はできません。

何億回の例で証明しても1回の例外があれば証明は否定されます

その1回があるかどうかはすべてにあたってみないと決して証明できないのです。

自分が証明したものがすべてであるかどうかの確認はできません。

 

しかし

われわれは限りなく確かさの世界で生きています

明日があるかどうかはわかるはずがないのに、経験的にほぼ間違いなく明日があると考えています。

(証明できないからには正確には信じていると言うべきだが。)

かぎりなく妥当な推論はほぼ正しいと考えることができます。

「帰納」では確かさの推定が基本になるので

「帰納」を「推定規則」と言いかえていいでしょう。

 

より精度が高い帰納はより高度な成果を与えてくれます。

精度の度合いによって確かさの度合いも知ることができます

 

サイエンスは仮説を立て検証する方法論です。

とんでも学説大歓迎 科学とは「正解」を決めることではありません 科学とは真理を求めることです

 

サイエンス(科学)正しさは「結果」ではなく「推定」の手続きの正しさで証明されます

テクノロジー(技術)の正しさは結果で証明されますが)

それで「帰納」とはサイエンスの方法でもあることがわかります。

 

帰納は「仮説形成」と「仮説検証」に分けることできます。

「仮説形成」とは仮説を立てるときに

ヤマカンではなく筋道を立ててつくる方法と考えてください。

 

「演繹」は言葉の規則なので事実を求めることに対しては無力です。

それに対して

「帰納」は新しいものを発見する手段となり科学と技術を支えてきました

近代以来人類がうなぎ登りに文明の成果を手に入れたのは

帰納にもとづくサイエンスという方法に負うところが大きいです。

 

子どもたちがサイエンスという方法を使えるようになるためには

まず正確に伝え・聞くための力をつける「基礎論理学」の素養が必要です。

そのためには普通教育で「基礎論理学」を必修にする必要があります。

(これは普通教育・高等教育を問いません)

普通教育で「基礎論理学」の訓練を必修で行っている国はまだありません。

これを行うことでPISAがめざすよりものよりももっと高い成果をあげることができます。

 

実はわたしは「野矢茂樹」さんの『論理トレーニング(旧版)』をベースにして

(著書中の「議論の流れ」と「論証」の章のあらまし)

工業高校の国語の授業で取り上げたことがあります。

生徒の中にはこれまで国語は何をするのかわけがわからなかったが

これは何を求めているかよくわかったという声もありました。

 

ただ、残念ながら学校という事情の中では

その後の機会をつくることはできませんでした。