技術からなぜ科学が生まれないのか 科学と技術の違いとは? | 母親ひとり親の医療の学校の受験・修学手助けします

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よく科学と技術は同じものとして取り上げられることが多いのですが

実は全く違った方法論です。

 

科学史家であり「仮説実験授業」の創始者でもある板倉聖宣(いたくらきよのぶ)さんの一生の研究目標は

なぜ、歴史の上で西欧だけで科学が生まれ育ちそれ以外のところでなぜそうならなかったのか」ということでした。

 

板倉さんは科学は「民主主義」や「自由」といった環境がないと出来上がらないと主張しました。

(独裁制の国でも技術は発展するが… わたしの説)

板倉さんのとらえた「民主」や「自由」と科学の発達との関係は

「真理」を押しつけられずに「科学実験」や「社会実験」ができる社会であるかどうかということです。

 

古代ギリシャで生まれた科学(サイエンス)という考え方は

その後1500年近く発展を止めてしまいました。

その後いろいろな技術が生まれても復活したのは近世(16世紀)になってからです。

しかも西欧以外の地域では高い技術が生まれてもそれが科学に結びつきませんでした。

※「仮説実験授業と教育心理学

 

サイエンス(科学)は仮説を立て検証する方法論です。

とんでも学説大歓迎 科学とは「正解」を決めることではありません 科学とは真理を求めることです

 

ですから

サイエンスの正しさは「結果」ではなく「推定」の手続きの正しさで証明されます

その後で事実がついてきます。

逆に言えば事実があっても理論がなければ

事実は気づかれることはありません

天動(地動)説や進化論の例を考えればすぐにわかるはずです。

 

それに対して

テクノロジー(技術)の正しさは結果だけで証明されます。

つまり、理論的に正しくても動かない機械はただのガラクタだということです。

 

わたしも技術史を調べていくうちに驚きましたが

製鉄・製鋼技術や航空機の技術は二次大戦以前は

シミュレーション技術がなかったためや

高温物理・空力学が未発達だっために

経験や試行錯誤で行われていたことです。

一国の基幹産業や軍事上の重要技術でさえもそうでした。

 

有名な零式戦闘機の開発でも

テスト飛行中に空中分解を起こし原因は主翼の振動とわかりましたが

どうしてそうなるかは不明でした。

それで振動を起こさないために主翼に重りを付けることで実用化しました。

なぜか分からなくとも事故が防げて兵器として十分な性能があればいいのです。

(工学上の「振動」が理論的に解明されたのは戦後です

 解明したのは零戦開発チームの技師松平精(まつだいらただし)でした)

 

すぐれた科学は応用技術を生み出しますが

いくら技術が進んでもそこから科学が生み出されるわけではありません

結果だけを押しつける社会では科学が発展することはないのです。

板倉さんは科学が社会の中で発達できる条件と

それを支えるための教育法を考えました。

それが板倉さんのグループが生んだ「仮説実験授業」です。

 

《学びの紹介》『仮説実験授業』自然科学(+文化)の成り立ちを追体験することで感動を伝える

 

日本にしかない教育とは 日本の教育の目指したもの 二つの「真理観」とは

 

続く

科学教育と技術教育の間の深いミゾ 学校の教師はその違いを知りません