僕が死ぬ日・・生まれる日 -4ページ目

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

「ごめんね!今、お仕事中?」


そう聞かれ


「いいや、人生相談中・・」と私は冗談ぽく答えた・


「悪いけど、後で電話をしてもらえないか?」


「ごめん!今、旦那がお風呂の入っているから電話できたの・・

手短に言う!アルタに夜の7時・・それでよい?」


「ああ・・大丈夫だと思うよ!」


「人生相談のお相手は女性??」


「いや、おっさんだ!」


「そう・・良かった・・ごめんね!それじゃ~土曜日に・・」


そう言って友美は電話を切った。


私は店に戻り席に戻った。


「悪いね!何とも面倒な事ばかりで・・」


「すまんな!忙しいのに・・」


「別に大丈夫だよ!明日にでも鑑定に出しておくから!でも一つ気になるのは、順子は課長と何処で知り合ったんだ?どう考えても接点が無いんだけど・・」


「ああ・・俺もそうれが不思議だったんだ。俺達が付き合い始めたのがあいつが入社して来て3年後の事だろ!

そして結婚したのがその2年後なんだ!もしも弘があいつの子供だとすると遅くても4年後には関係を持って居た事になるだろ?でも、そんなのまったく気がつかなかったんだよな~」


課長と順子か・・・もしかしたら、この話は加藤が言っていた通りに私にとっては美味しい話かもしれない。


サラリーマンにとってスキャンダルは致命傷だ!特に女性問題は根が深いだけに大きなダメージを与える。


「少し、調べてみるよ!あと、子供の件はまだ、はっきりした訳では無いのだから」


私達はその後、辛い現実を忘れるかのようにくだらない世間話で盛り上がり大いに飲み明かした。


自宅に戻ったのは深夜の1時頃だったと思う。


部屋のドアを閉めると急に携帯電話が鳴った。


表示を見ると今日子からある。なんとなく自分が監視されているようで嫌な気持ちになる。


「随分と遅かったのね?」


余計なお世話だ!


「飲んでいたの?それとも仕事?」


余計なお世話だ!


「ねぇ~どっちよ?」


「ああ・・飲んでた!」


「そうでしょ!なんとなく通路を歩く音がそんな感じだったわ!」


「誰と?」


「えっ・・同僚だよ!」


「男?女??」


女は何で聞く事が同じなんだろう?女と飲んでいても男だと言えってしまえばお仕舞いなのに・・


「男だよ!同期の奴と飲んでいた!」


「あなたにもそんな友達が居るのね・・」


この女はいったい何が言いたいんだ?だからやなんだ・・嫌いなんだよ!そう言うの・・


自分のプライベートに踏み込まれるの・・嫌いなんだ。


「悪い!少し酔ってるから切るね!」


「あっ!ち・・ちょっと、待って!今週の土曜日なんだけど!映画でも見に行かない?

凄く泣ける映画があるのよ!チケットは買ってあるから・・」


俺を誰かの代わりにするなよ!おい!お前!俺を誰かの代わりにすんじゃね~~よ!


「ごねん!土曜日の夜は予定が入ってるんだ!日曜日なら大丈夫だと思うのだけど・・」


「そう!急な話だからね!それなら日曜日、朝からデートしてよ!9時にアルタの前で良いかしら?」


「ああ・・解った!解ったら・・」


もう切らせてくれ!私はそんな言葉をやっとの思いで飲み込んだ。


次の日、私は眠い目を擦りながら会社に出社した。


部屋に入ると課長が課の若い女子社員達と雑談をしていた。


この男の女好きは有名である。しかし、順子との接点が見えない・・


ニヤケた顔にポマードベッたりの薄くなった頭が何となく不潔感を感じさせる。


私の視線に気がついたのか、課長は少し不機嫌そうに私を睨みながら言った。


「なんだ!坂本!俺の顔に何か付いてるか?」と


私は焦りながら視線を反らし


「いいえ・・何も・・」と冷静に答える・・


この男が本当に加藤の息子の父親なのか?


本当に???


私はホワイトボードに外出と表示すると加藤から受け取った封筒を持ってDNAの検査をする会社に向うのであった。

私生活では色々とあったが仕事は別に何の変化も無く淡々と進んでいた。


「坂本!たまには飲みにでも行かないか?」


そんなある日、私は帰宅を急ぐ会社のロビーでそう一人の男から声をかけられた。


彼の名前は加藤進と言う私とは同期である。


現在は営業5課で課長をしている。役職的には加藤の方が上である。


しかし、立場的には1課の主任の私の方が上であった。


私はめんどくさそうに急ぐ足を止め振り返る。


「加藤!久しぶりだな!元気か?そうだな・・飲みにでも行くか?」


そう言って会社の近くの馴染みの店に行こうとする私を加藤は静止するように言った。


「たまには新宿にでも出ないか?昔のように・・」


そんな彼の申し出を聞いて会社の人間には聞かれたくない話をしょうとしている事が察せられた。


面倒だ!本当に・・


歌舞伎町の大手の居酒屋に入り二人席に腰掛けたのは7時を少しだけ廻った頃だと思う。


注文した生ビールを美味そうに加藤は一気に飲み干した。


そしておかわりと適当なつまみを注文する。


「久しぶりだな!お前とこうして飲むのも!若い頃はよく同期の皆で飲みに行ったな!

なんか、寂しいよ!結局、同期で本社に残れたのはお前と俺だけになってしまった。」


加藤はそう呟くように言うとタバコに火をつける。


「まぁ~二人残ったと言っても坂本と俺じゃ~次元が違うけどな!お前は1課で俺は5課だから・・

それも俺は必死に頑張っている!出来れば3課くらいまでには登りつめたいと思ってるんだ!」


オイオイ・・仕事の愚痴かよ!浪花節は他の奴としてくれ!


「お前、結婚しないのか?社内でお前を狙っている女なんか、結構、いるぞ!

それに、今回も結構、大きな契約を成立させたそうじゃないか?結婚しろ!結婚!

男は独身じゃ~半人前だ!」


お前はおっさんか?勘弁してくれ・・


「なんだ!そんな事を話為に俺を誘ったのか?最近、遅いんだろ?家族が待ってるぞ!」


そう私が言うと加藤は少しだけ顔をしかめながら言った。


「帰りたくないんだ・・家に・・」と


「何だよ!俺には結婚しろ!って言いながら自分は家に帰りたくないなんて矛盾してるだろ!それ・・

何かあったのか?」


「ああ・・実はな!嫁さんが浮気をしてるんだ・・」


「浮気?そいつはまた、重い話だな・・でも、そんな事を同じ会社の俺に話しても良いのか?

そんな事が社内で噂になったら、お前の出世に響くだろ!」


「いや・・俺はお前を信じてるから・・そんな奴じゃないって!それに5課の俺をどうこうしてもお前には

何の旨みも無いだろ!でも、浮気相手には旨みがあるんだ!」


加藤の嫁さんは順子と言う加藤より5歳ほど年下である。


所謂、社内恋愛と言う奴で彼は結婚をした。


順子が新卒で入社した時の研修の指導員が私と加藤であった。


その時、加藤が順子に一目ぼれをして、順子が秘書課に配属されてからも頻繁に飲みに行くようになった。


二人が結婚をしたのは今から6年前で所謂、できちゃった婚と言うやつでその時、既に順子のお腹の中には

子供が居たのだ。


「浮気って・・何か証拠でもあるのか?そんなに安易な事で言える事でも無いだろう?」


「ああ・・実はメールを見てしまったんだ!たまたまだったんだ!あいつと俺の携帯は同じ機種でな!

寝ぼけてたまたまあいつの携帯の中身を見てしまった・・

そうしたら、待ち合わせ場所と時間のメールがある男から入っていた。

俺さ!致命的な過ちを犯してしまったんだ・・行ってしまったんだ!その時間にその場所に・・」


「お前・・・それは・・・」


「そうしたら、見慣れた顔のオッサンが立っていた!あいつは嬉しそうにおっさんにキスをして腕を組むと・・

ホテル街に消えて行った・・それと・・」


それと・・加藤はそう言うと次の言葉を言う事を躊躇っているようであった。


しかし、ここまで聞いてしまったら全部聞かないとどうも歯切れが悪い。


「それで?何だ!」


「それでな!そいつの顔を見て今までの疑問が解消されてしまった!」


「疑問?話が回りくどいな!早く言えよ!」


「ああ・・すまん!実はな息子の弘なんだけど、俺とまったく顔を似ていないんだ!小さい時にさほど気にもして居なかったんだけど、最近な!特にそう感じるようになって来たんだ・・

そっくりなんだよ!そのオッサンと・・うり二つなんだ・・息子の顔が・・」


私は話の続きを聞いた事を後悔した。そして、こんな面倒な話を私に持って来た加藤を少しだけ恨んだ。


「それで、その浮気相手だけど・・・」


「ああ・・お前もよく知ってる奴さ!」


「俺がよく知っている・・・男か!」


「ああ・・そいつはな・・」


「まっ・・まて!その名前を聞いたら厄介じゃ事になるんじゃ無いだろうな!


「いや!お前にとっては悪い話では無いと言っただろ!悪い話ではない・・」


「そうか・・それで誰なんだ?」


「ああ・・お前の課の大久保課長だよ!」


大久保・・・まさか?あんな気持ちの悪い男と順子が?


もしも、息子の父親が大久保だとしたら、もう、6年以上も付き合っている事になるじゃないか!


それに順子と大久保の接点が無い!二人が出会うきっかけが無いじゃないか!


「冗談だろ?」


そう私が言うと加藤は真剣な表情で・・「本当だ!」と辛そうに言った。


「証拠も無いのに安易に決め付けてはいけない!息子の顔だってお前の思い込みって事もある。

今は直ぐにDNAで解るらしいぞ!なんだったら信用できる会社を紹介する事も出来る!」


そう私が加藤に言うと


「何回も考えた!息子の髪の毛を何時も財布に入れている!でも怖いんだ!弘が俺の本当の子供で無いと

解るj事が!俺はあいつを愛してる!でも、でもな!最近、俺、あいつを抱いてやれない!

家に帰って嬉しそうに駆け寄ってくるあいつを昔みたいに抱きしめてあげれないんだ!

辛いんだ!それが、あいつを素直に抱きしめてあげれない事が・・

あいつが俺の子供でなく大久保の子供だと思うと辛いんだ!」


加藤はそう言いながらグラスのビールを一気に飲み干した。


「でも、それじゃ~一生、呪縛から逃れる事は出来ないぞ!息子さんも不幸だ!はっきりさせないと!」


そんな私の言葉に加藤は決意したように自分と子供の髪の毛を差し出した。


きちんとした封筒に入れられて居た事から、加藤が初めから、私に託そうと考えていた事が感じられた。


人間は弱いから・・誰かに背中を押してもらいたいと思っているんだ・・


そうだろ!加藤・・そうだよな!


私はその封筒を加藤から受け取った。その時、急に私の携帯が鳴った。


表示を見ると友美からのであった。


「悪い!仕事の電話だ・・」


私は急いで封筒を鞄にしまうと席を離れる・・


俺にはきっと、こいつの悩みを聞いてあげれる資格は無いのかもしれない・・


いや・・きっと、俺には無い。


そんな事を思いながら私は静かに電話を耳にあてた・・

それからと言うもの私は会社が終わると毎晩、浴びるように酒を飲んだ。


忘れたかったのだ・・忘れてはいけない物を忘れたかったのだと思う。


今日子はあれから、数回、私に連絡をよこした。


しかし、友美からの連絡はあれ以来、まったく途絶えてしまった。


人間とは面白い物で追う事が好きならしい・・


手を伸ばせばそこには美しい私を愛してくれる女が居るのにそんな人間には興味が無く・・


手の届かない女を求めるのだ。


酔っ払って自宅に戻る。


部屋の明かりを付ける瞬間が辛かった。


孤独である自分が辛くそして怖かった・・


ふらつく足取りで私は書斎に向かいパソコンの電源を入れた。


こんな時はTVや音楽を聴くよりもネットを見たほうがなんとなく孤独感が忘れられるから・・


メールボックスを何気に開くと先日保存していたあるメールに目が行った。


「絆・メール相談」


あの時は馬鹿馬鹿しいと鼻で笑って見たがなんとなく誰かと話したかった。


自分の事を何にも知らない人間と話をしたかったのだ。


私は絆のホームページにアクセスをすると無意識に入会登録をしていた。


支払いはカードのようであった。


カード番号を入力すると登録完了の返信メールが直ぐに送られて来た。


「独り言」


そんな題名のメールに私は今の心境や悩みを包み隠さず書き込むとそのメールを送信した。


送信のボタンを押した瞬間、不思議な事に少しだけ心が軽くなった気がした。


心の重荷を少しだけメールと言う物で捨てる事が出来たような気がしたのだ。


「誰も愛せないけど愛したい。家庭のある女性を好きになってしまいました。

私はいったいどうすれば良いのでしょうか?」


現実の世界では絶対に他人にはそんな事は言えない。


それは社会からドロップアウトすると言う事だからだ。


別に返事などいらなかった。いや、むしろ、こんな戯言への返事を見る事自体が怖かった。


「そんな恋愛は止めないさい!」


そんな奇麗事な当たり障りの無い返事が来るか、私の事など、何も知らない誰かが適当にわかった様な

私への中傷を書き連ねてくるだけに違いないと思って居たからだ。


私はメールを送ると何時の間にか眠ってしまった・・・


次の日の夜も私は泥酔して自宅に戻った。


また、何気なくパソコンのメールボックスを開く。


絆から返事が来ていた。


私は少しだけ躊躇いがちにその返事のメールを開いた。


これで1000円!この値段が高いか安いかはきっと、受け取った本人しだいなのだと思う。


「恋愛には色々な形があるからね!好きになってしまったものは仕方が無いと思うよ!

それは、世間から見たら非常識な事だと思うしその恋愛によって傷つく人も居る。

でも・・それも仕方が無いって割り切るしかないんじゃないかな・・

無責任な言葉かもしれないし、別に私はあなたの味方でもないけれど・・

どんなに非常識な愛でも大切な愛は存在すると思う。

そして、その愛を貫くのか?それとも引くのはあなた次第だと思います。

でもね!こんな事を言ってはなんだけど・・

お日様の下で堂々と手を繋げる恋をした方があなたの為かもしれないね?

また、メールください!当社は指名制になっております。

もしも私でよろしければ、次回からは私宛にメールを送ってください!


私の名前はベッキーと申します。一応は恋愛の達人でございます(*⌒∇⌒*)テヘ♪


結局は自分の責任なのだ!この道を進むのも、この道を避け違う道に進むのも・・・


なんとなく気が楽になった気がした。


まぁ~あちらも商売だからきっと、そんなに強い否定はしないとは思っていたが・・・


お日様の下を堂々と手を繋いで歩ける恋愛か・・・


なんとなく自分が友美と二人で歩いている姿を想像してみる・・


なんとなく心がポカポカした。