そんな女の独り言・・ | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

私は久しぶりに2丁目を訪れていた。


この街に初めて来たのは私がまだ、今の会社に入社したばかりの頃であった。


当時の私の上司は何時も口癖のように言っていた。


「営業はオールマイティーでなければいけない!」と


それとこの街に無理やりに連れて来られた意味は未だにわからない。


きっと、お客様の中にはそのような趣味の方も居るから・・そんな意味なのか??


それとも彼の個人的趣味にただ、付き合わされて居ただけなのかも??


私とリリィーは「ルージュ」と看板が出ている一軒のショーパブに入って行った。


ルージュはこの界隈では名の知れた店である。歴史も長い。


そして、私とリリィーが初めて出会ったのも何を隠そうこの店なのだ。


リリィーが今の店を出すまで彼女はこの店で働いていた。


店を辞めてからもチョクチョク来ているようなのできっと、円満退社で辞めたのだろう。


「いらっしゃ~~~い!あら!お珍しい方が一緒ね!リリィ~~~」


店のカウンターでタバコを吹かしながらそう言ったのはこの店の現在のママのキャンデイーである。


年齢不詳、見た目はガテン系!何時も金髪のカツラを付けているが外すとスキンへットで中々、迫力がある!


実は彼女はこの世界に来る前は警視庁の刑事であった。それもマル暴と呼ばれる暴力団専門の・・


「坂本ちゃん!ご無沙汰じゃないの~~もう、!寂しかったわ!」


そう言われながら私はまるで捕獲された野生動物のようにキャンデーに羽交い絞めにされながら手洗い歓迎を受けていた!。


「どうよ?リリィー景気は?」


「まぁ~ボチね!」


「でも、あんたなんか、スポンサーが居るんだから結構、気楽なんでしょ?」


「そうでもないわよ!囲われて女は女で色々とね・・」


はぁ~~!と何とも二人のオカマの重い深いため息が聞こえた。


「そろそろショータイムの準備だから!誰か付ける?」


そんなキャンディーの言葉にリリィは


「いや!彼としっぽりしてるわ!もう、戻って来なくて良いからね!」と笑いながら言った。


「で?あんたどうするの?彼女の事。良さそうな女性じゃない!美人だしさ~そろそろあんたも年貢の納め時じゃないの?」


「なんだ?君にしては随分とお節介な事を言い出すんだな!」


「そうね!私も年をとったのかしらね!昔ならこんな事は言わなかったかもしれない・・

別に結婚なんかしなくても生活に何の支障もないしね!むしろ自由を奪われて障害になるくらいだわ!」


「なら、何でそんな事を急に言い出すんだよ!」


「えっ・・あのね!最近、私、気が付いたのよ!確かに生活には支障は無いけどね!心にはあるって事が!」


「心だって!また、随分と子供な話をしだすんだな!乙女かよ??」


「あら、そう思えない方が本当は子供なのよ!誠はさ~一生独身で居るつもりなの?」


「まぁ・・本当に好きな相手が出来たら結婚しても良いとは思うけどさ~でも、結婚なんか所詮は紙切れだけの世界だろ!別に付き合っているだけで十分じゃないか?」


「あのね!でも・・体はそれで満足するかも知り無いけど・・心はしないのよ!

結婚ってさ!多分、安心をくれる物だと思うの!そう・・一生消えない相手の存在がね!安心を・・」


私は何も言えずに彼女を見つめていた。


きっと、彼女も人には言えない多くの苦しみを背負いながら生きているに違いない。


多くの人間に囲まれていても消えない孤独感・・


自分の未来への不安・・


そして、何時か年老いた時に確実に訪れる死と言う現実に・・


「なぁ~リリィ!誰かを愛する事は罪なのかな・・・」


そんな私の言葉にリリィは微笑みながら・・


「罪ではないわよ!サガよ!」と答えた。


誰が好きなのか正直、解らない。友美が好きなのか?それとも今日子が好きなのか?


本音を言えば・・女を愛すると言う感情自体が私には欠落しているのかもしれない。


軽快な音楽が流れ出しキャンディー達がど派手な衣装を身にまとい中央のステージに登場する。


私はそんな彼女たちを見つめ思うのだ!


いったい、どうすれば良いのだろう?と・・


そんな私にリリィは優しく手を握りながら呟いた。


「あなたは一人じゃないから・・大丈夫だよ!」と


人生は辛すぎて私の手に負えない。