世界の隅っこで愛を叫ぶ! | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

電車に乗り5個目の駅に目的地の工場は立っていた。


電車の窓の景色が何時の間にかビルや店からのどかな田園風景に変化していた。


「次で降りますので・・」


そんな私の言葉に彼女は小さく頷く。


駅を降りて10分程歩くとそんなのどかな風景に不似合いななんとも近代的な工事が姿を現す。


工場に入り担当者から商品の説明を受ける。


彼女はしきりに持参したデジタルカメラで写真を撮り、メモを取っている。


さすがだと思ったのは、彼女のそんな一連の行動にまったく無駄が無い事であった。


やはり、この若さで役職を与えられる人間は違う。私は再び気をしき締めた。


正直、相手は女だから・・とたかを括っていた所が無いわけでは無かった。


適当におだてておけば何とかなる程度の簡単な気持ちを持っていた。


しかし、それは大きなあやまちであった。


「以上ですが、何かご質問はございますか?」


そう工場の担当者が発した言葉から長い旅が始まった・・


今日子の質問は途切れることなく永遠と続いた。


それはどうでも良い事から機能的な事、機械的な構造にいたるまで・・


時計を見ると既に午後の1時を廻っていた。


そして、やっと、今日子が満足げな顔をしたのは午後の2時を少しだけ過ぎた頃であった。


それまで、昼食も食べずに付き合っていた工場の担当社もとんだ災難であったに違いない。


「私ね!妥協って嫌いなんです・・」


工場から出て駅へ向う道を歩きながら今日子は少しだけ時間を気にしながらそう呟いた。


工場のある駅から3つほど修善寺方に行くと伊豆長岡と言う小さな温泉街がある。


私はその温泉街に宿をとっていた。


伊豆長岡温泉。


私は静岡で過ごした3年間をその小さな温泉街で過ごしていた。


駅を降りると昔と変わらない寂れようになんとなく安心感を覚えた。


「お食事はどういたしますか?まぁ・・お食事と言ってもこの辺に食事をする場所は殆どないのですが・・」


そう私が今日子に言うと彼女は別に食事の事等、気にもしていなかったようで・・


「あら、そう言えばお昼を食べて無かったわね!あなた、お腹がすいたでしょ?ごめんなさいね!」と


他人事のように言った。


とりあえず、ホテルに向った。


最近は、なんか「隠れ家的宿」などと呼ばれる宿が流行りだそうで・・


この温泉街で一番、人気のある宿を予約させたのだが、実際に行ってみると何ともみすぼらしい質素な宿で・・


修繕寺にしなかった事を少しだけ後悔した。


「これからのご予定は?」


チェックインをすませ彼女にそう尋ねると今日中に本日のレポートを会社に送らないといけないと言われた。


「ならば、何か御用がございましたらお気軽に内線してください!」と私は告げ自分の部屋に向った。


待機が一番、辛い業務であると久々の待機業務に思い出した。


酒を飲む訳にも何処かに出かける訳にもいかない!


ただ、部屋でボォ~としながら時間を潰す。なんとも暇である。


あまりにも暇で余計な事をやり始めてしまった。


私は携帯電話を取り出すと友美にメールを打ち始めた・・


本当にやらなくても良い、余計な事である。


外の景色が何時の間にか夜に変わっていた。


友美にメールを送った直後ぐらいに突然に内線がなった。


「夕食はどうしますか?」


そう言われ、宿でご用意しております!ご希望のお時間はありますか?その時間にお部屋にお持ちするように

指示をいたしますので・・」


時計を見ると6時を少しだけ過ぎていた。


「そうですか!なら、7時にお願いします!もう少しで終わりそうですので・・」


そう私に告げると彼女は内線を切った。


7時5分前に一度、内線を入れ了解を取ると私は彼女の部屋に向った。


彼女の部屋は俗に言うスイートで部屋が4個もある。


作りも豪華で部屋用の露天風呂まで付いていた。


私の泊まっている部屋とは大違いであった。


「どうですか?終わられましたか?」


そう私が話しかけると、彼女は少しだけ疲れた顔を無理やり笑顔にしながら・・


「ええ・・お蔭様で・・」と言った。


何としても契約を!私は気合を入れながら夕食のテーブルに付くのであった。