サプライズ | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

「ごめんなさいね!食事が運ばれて来る間に少しだけ汗を流させて頂くわ!

せっかく温泉に来たのだが美味しい食事の前にさっぱりしないとね!それにビールが不味くなる。」


そう言いながら今日子は洗面道具を鞄から取り出すと露天風呂に向った。


しばらくすると仲居が料理を運んで来た。


宿はイマイチだが、料理はどれも美味そうなものばかりで、ひとまず安心をする。


浴室のドアが開き浴衣姿の今日子が現れる。


化粧を落としたせいだろうか?なんとなく風呂上りの彼女は昼間の感じとはまるで違い、幼い少女のような感じがした。


「今日は一日、お疲れ様!」


そう言われながら彼女が私のグラスにビールを注ごうとするので私は焦りながらそれを奪い取る。


「いけません!私からお注ぎするのが礼儀ですから・・」


そんな私の言葉に不機嫌そうに彼女は言った。


「もう、仕事は終わりましたら、そう言うの止めませんか?それにその話し方も・・・

私、あまりそう言うの好きじゃなんです!まぁ~仕事の時は仕方が無いけど・・」


そう言われ、その言葉の意味を真剣に考える。


もしかしたら、試されているのかもしれない!いきなり言葉を変えてそんな失礼な奴とは仕事はできない!

なんて言われないだろうか?


私は途端に無口になってしまった。


そんな様子から微妙に何かを感じたのか彼女は・・


「まぁ~別に何でも良いのですけどね!でも、何となく言葉一つで、距離感が生まれるんですよね!」と


仕方なく、私は通常の言葉使いに渋々、直す事にした。


「それじゃ~何に乾杯する?」


そう彼女が言ったので・・


「二人の出会いに・・」と少しだけ臭い台詞を言うと彼女は笑いながら・・


「本当は契約の無事、成立にでしよ!」と言った。


「もぉ~何でも良いよ!とりあえず乾杯!」


私はやけくそ気味でそう叫びながらグラスを鳴らし一気にビールを飲み干した!


「あとは手酌でやるから!本当は誰かについで貰うの好きじゃないんだ!自分のペースで飲めないから!」


「あら、奇遇ね!私もなのよ!」


それから出された料理の話をしたり、お互いの当たり障りのない愚痴を言ったり・・・


料理を全て食べ終わり、何となく飲み足りなくなって焼酎と数本のビールを追加した。


「君は結構、飲めるんだね!」


「あら、男社会で生きて行くにはこの程度のお酒でダウンなんて出来ないわよ!」


顔を真っ赤にしながら今日子がそう言った。


「でも、あなたは殆どの飲んで居ないようだけど・・」


そう、正直、酔っ払うわけにはいかない!なぜなら、私は今、接待をしているのだから。


いくら、壁を無くしてと言われてもそれを忘れる訳にはいかないのだ。


「処で明日の件なんですけど・・」


私は話をはぐらかすかのようにそう言った。


「何かご希望はありますか?なければ私が考えたコースで観光でも!車も借りて来ますので・・」


そうんな私の言葉に彼女はグラスの焼酎を一気の飲み干しながら・・


「くだらない観光名所巡りならお断りよ!期待してるわよ!あなたからのサプライズを!

私をびっくりさせてね!も~~う!飲みなさいよ!今夜は無礼講でね!」


その言葉でまた、頭の中がパニックに陥った。


だから、俺はへたんだよ!特の女の接待は!


男なら適当に美味い物と美味い酒でも飲ませて女を与えておけば事が終わるのに・・


女はそうも行かない。何ともめんどくさい。


しばらくすると急に部屋が静寂に包まれた。


ふと、今日子を見るとなんとも気持ち良さそうに寝息を立てていた。


その寝顔には昼間のなんとも言えない威圧感のあるオーラはまったく無い!


「結構、可愛いな!この子・・・」


私はそう呟くとゆっくりと今日子を抱えベットにつれて行った。


何とか今日一日の私の仕事が終わった・・


しかし、さて、弱った!サプライズね~どうしたものだろう・・


私はそう呟きながら今度は味わうようにビールを飲み干した・・