だからお前はバカなんだよ! | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

「島崎!お前、重機の担当だよな!これ、検討してくれ!」


そう部下の島崎に書類一式を投げるように手渡した。


島崎は興味深げにその書類を見つめる。


「主任がこんな事をするなんて初めてじゃないですか?四星ですか?あれ・・でも、担当者の名前が違いますが?」


島崎はそう不思議そうな顔をして私を見つめた。


「グダグダ言ってないで言われたら直ぐに動け!お前はお子様か!」


そんな私を見ていた課長が・・


「坂本!そんなに怒るなよ!今日はもう上がった方が良いんじゃないか?二日酔いなんだろ?」


そう諭されるように課長に言われ私は我に返った・・


「あっ・・いや!すまん!島崎!少しイライラしていて・・」


島崎は何時もの私に戻ったと安心したように言った。


「この重機は商談対象になっている商品ですので・・出来るだけ彼から買うように努力します!

でも、主任!四星の担当ともめませんか?この佐々木と言う男が・・」


私はめんどくさそうに島崎に言った。


「それはうちが心配する事ではない!」と


そのまま帰り支度をして私は早退した。


自宅にもう直ぐ着きそうなそんな頃合を狙ったように私の携帯電話が鳴った。


「はい!坂本でございます!」


仕事用の携帯電話である。私は営業用の声に変わる・・


「えっ・・・いや!あの・・友美だけど・・坂本君よね!」


私はなんとなく力が抜けたように答える・・


「何だ!君か・・何か?約束は守ったよ!」


「う・・うん!さっき旦那から連絡を貰って・・お礼を言わないといけないと思って・・」


「別にお礼なんていらないよ!俺は会いたいから会っただけの事だ!昨夜の事とは関係が無い!」


そうぶっきら棒に答える私に少しだけ笑いながら友美は言った。


「変わらないね!君は・・あの頃は全然・・・」と


「何だよ!成長してないと言うことか??」


「えっ・・いや!そうじゃなくって・・変わらず優しいって事・・」


「今言うなよ!あの時、言えよな!それじゃな!契約取れれば良いよな!出来る限りの事はするから・・」


「うん!有難うね!」


それから数日後、島崎が私のデスクに書類をもって現れる、例の重機の件である。


「何だ!四星に決めてくれたのか?」


「ええ・・主任の一押しとあっては!無下にする事はできませんよ!」


そう恩を売るように島崎は私に言った。


これは貸しですよ!彼は無言で私にそう呟いている。まぁ~それはそれで良い。


書類を手渡され私は唖然とする・・


「おい!島崎・・担当者の名前が違うようだが?佐々木じゃないのか?」


「あ~なんか、佐々木さんと連絡を取っていたんですけど、いざ、契約の段階になったら急に担当者が変わりましてね!なんでも四星の期待の人材だそうで・・」


「おまえ・・俺の話を聞いてなかったのか?俺の話を聞いてなかったのか!俺は佐々木と契約をしろと言っただろ」


私の凄い剣幕の怒りように島崎は萎縮してしまった


何度も!何度も「すいません!」と繰り返す・・


「話にならん!俺が連絡をする!もう良い!」


私は電話を持つと四星に電話をした・・


「営業1課の佐々木さんを!山田貿易の坂本と申します!」


「えっ!山田貿易様ですか!し・・少々お待ちを・・」


電話に出た女性は少しだけ動揺しながら電話を保留にした。


「お待たせ致しました!担当の長谷川と申します!坂本主任様ですよね!ご挨拶が遅くなりまして・・」


電話に出た男はそう私に言った・・


「あんた誰だ?私は佐々木君をお願いしたんだが・・」


「いや・・今回の件は全て私が・・」


「何度も言わすなよ!佐々木君を出してくれと私は言ってるんだ・・」


「いや・・だからですね!」


「口答えするな!貴様は何様だ!俺を誰だと思ってるんだ!」


つい、そんな横柄な口調になってしまった事を私は後で非常に後悔をした。


電話に出た男の声は少しだけ震えていた・・・


「も・・申し訳ございません!直ぐに佐々木に・・」


しばらくして電話口に何とも情けない声が聞こえた・・


「さ・・佐々木でございます!この度は・・・」


「佐々木!お前・・俺を馬鹿にしてるのか!ふざけるな!」


深々と震えながら受話器を持って頭を下げている佐々の姿がまるで見えるようであった。


「契約は白紙だ!俺はお前と契約したのに!こんな屈辱は初めてだ!あまり俺を馬鹿にするなよな!」


私はそう佐々木を怒鳴りつけると電話を切った。


佐々木が悪くない事は十分に知っていた。


きっと、上司の命令に違いない!佐々木では大口の契約に不安を感じての担当者の変更であったのだろう!


しかし、それでは私の顔が立たない!友美に対しての私のメンツが立たないのだ・・


「島崎!四星との契約は白紙だ!」


私は投げるように書類を島崎に手渡すとそう怒鳴りながら部屋を後にした・・