次の日の朝、私は久々の二日酔いと言うな病魔に犯されていた。
「珍しいな!お前が二日酔いとは・・」
課長が頭痛に苦しみながら真っ青な顔をしてる私に向かいそう呟いた。
そんな話をしてると私のデスクの電話がけたたましくなった。
「受付ですが、主任にお客様が!四星商事の・・」
受付嬢の言葉を最後まで聞かずに
「解った!今から降りるから・・」
そう言って私は受話器を下ろした。
一階のフロワーに降りると多くの人間が営業に会うために順番待ちをしてる。
私は佐々木を探す。
背が高くハンサムでスタイルが良い男・・
そんな勝手な先入観で佐々木を探すが何処にもそんな男は居ない。
仕方が無いので受付に向う。
「悪いが、私の客は・・・」
そう呟く私の横でいかにも頼り無さそうな巨漢の男が私に深々と頭を下げていた。
「佐々木か?お前・・・」
私は確認するかのようにその男に言った。
「本日はお忙しい時間を頂きまして・・・」
佐々木はそんな私の問いの返事の変わりにそう呟くと静かに自分の名刺を差し出した。
周りの順番待ちの営業達が羨ましそうに佐々木を見つめた。
自慢ではないが、それだけ私に会う事が彼らにとって困難であると言う意味だと思う。
お前・・変わったな!
そんな言葉を無理やりに飲み込んだ。
「久しぶりだな!元気そうだね!喫茶店にでも行こうか!」
佐々木はそんな私の言葉に恐縮するように何度も何度も頭を下げた。
何が彼を変えたのか?会社か?それとも世間か??
学生時代、まんまと私から友美と言う女をさらって行ったヒーローは見る影も無く・・
ただのうだつの上がらない営業マンに変わっていた。
「坂本主任様!本日は・・」
「もう止めろよ!佐々木!同級生じゃないか!」
「いや・・・しかし・・でも・・」
そんな受け答えからこの男の能力が解る。
少なくても優秀な営業マンではない。
「それで、話があるんだろ!俺も暇では無いんでね!手短に・・」
別に忙しい訳ではなかった!彼との約束が無ければ休みたいくらいであった。
「当社が御社にお勧めするですね・・」
「だから!その話し方を止めろと言ってるだろ!」
静かな店内に私の怒鳴り声が響き渡る・・
佐々木の顔色が見る見る真っ青になり手と足が同時に震えだした・・
これではまるで私がいじめているみたいである。なんとなく気分が悪い・・
「とりあえず、カタログと見積もりを置いて行けよ!また、連絡するから・・」
偉そうにするつもりはまったく無かったのに体調の不調が私をイラ着かせたのかも知れない。
佐々木は情けなく泣きそうな顔をして震える手で私に書類一式を差し出した。
俺は、こんな男に女を取られたのか?俺はこんな男に今まで劣等感を抱いていたのか・・
友美!お前は俺を選ばないで何でこんな男を選んだんだ!何で・・・
席を立ち会計に向う私に佐々木は何度も何度も「お願いします!」と叫びながら頭を下げていた。
「お前!俺に金を払わす気なのか?」
冷たく私はそう佐々木に言った。
佐々木は焦りながら私の手から伝票をむしり取るように奪い取る。
「き・・気が着きませんで!すいません!」
私は何も言わずそのまま喫茶店を後にした。
何となく何とも言えない悲しみに包まれながら・・